WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.201
アイリーン・ウッズ『イッツ・レイト』(1957)
アイリーン・ウッズ(vo)
ビル・クリフトン(arr,dir)
1956年頃ニューヨーク録音
曲目:
01.イッツ・ア・ブルー・ワールド
02.エヴリタイム
03.ホエン・ユア・ラヴァー・ハズ・ゴーン
04.イフ・アイ・ラヴ・アゲイン
05.縁は異なもの
06.エストレリータ
07.ホワイル・ウィアー・ヤング
08.イフ・ユー・ワー・マイン
09.アイム・オールド・ファッションド
10.ユーア・ブラーゼイ
11.アイ・リメンバー・ユー
12.イッツ・レイト
【アルバム紹介】
1.“シンデレラ・ヴォイス”の持ち主アイリーン・ウッズ
2.生涯唯一のジャズ・ヴォーカル・アルバム
3.弦楽オーケストラやコンボ編成をバックにドリーミーに歌う
10月は女性ジャズ・ヴォーカルの名盤をご紹介してきましたが、今回が最後の1枚です。 “シンデレラ・ヴォイス”アイリーン・ウッズの、ジュビリー・レーベルに残された唯一のジャズ・ヴォーカル・アルバムです。
彼女は1950年のディズニー・アニメ映画『シンデレラ』で、オーディションの際、デモテープを聴いたウォルト・ディズニーに瞬く間に気に入られ、400人近くの候補の中から即座に主役のシンデレラの声優として大抜擢される、という幸運に恵まれた経歴の持ち主です。
本作のバックは、弦楽オーケストラやコンボ編成、楽曲もスタンダード曲などに加え、メキシコの歌曲である“エストレリータ“などを取り上げ、うっとりするようなドリーミーな歌声を聴かせています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ちょっぴりライトでスインギーな“縁は異なもの”。
シンデレラの声をつとめた人、と思ってその歌声を聴くと、ディズニーの世界を彷彿とさせる夢見心地な印象もありつつ、本作は彼女にとって唯一にして本格ジャズ・ヴォーカル作ゆえ、じっくり聴くとその歌のうまさとともに彼女の真価が伝わってきます。
この曲はダイナ・ワシントンのヒットで有名なナンバーですが、元々は1930年代にメキシコの作曲家によって書かれた楽曲で、本作はダイナ・ワシントンがヒットさせた1959年に先立つレコーディングになっているのが興味深いです。
ポップス調のダイナ・ワシントンのバージョンと比べると、ラテン調のイントロで始まり、途中からライトなスイング・ビートによるアレンジでジャズっぽさを前面に出しています。
そんな中をチャーミングかつキュートな歌声で丁寧に歌ってゆきます。
ディズニーの名キャラクターの声を演じたことでその生涯はシンデレラとともにあった彼女ですが、それゆえ2003年にはディズニー・レジェンドに選ばれました。晩年はアルツハイマ―型認知症を患い、2010年7月に81歳で亡くなっています。
ジャズ・ヴォーカルの世界の中では、たった一枚のアルバムを残しただけの幻のシンガーゆえ、本作はある意味レアな一面を持った隠れ名盤といえるでしょう。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年10月28日 10:00