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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.205

ドナルド・バード『ザ・クリーパー』(1981)

DB

ドナルド・バード(tp)
ソニー・レッド(as)
ペッパー・アダムス(bs)
チック・コリア(p)
ミロスラフ・ヴィトウス(b)
ミッキー・ローカー(ds)

1967年10月5日ニュージャージーにて録音

曲目:
01.サンバ・ヤントラ
02.シェルブールの雨傘
03.ブルース・ミディアム・レア
04.ザ・クリーパー
05.チコ・サン
06.アーリー・サンディ・モーニング
07.ブルース・ウェル・ドーン

【アルバム紹介】
1.ブルーノ―ト発掘音源BNLTシリーズのドナルド・バード
2.R&B系クロスオーヴァー路線移行前の本格ジャズ路線の最後にあたるアルバム
3.当時気鋭のチック・コリア、ミロスラフ・ヴィトウスが参加

ブルーノ―トの発掘盤シリーズであるBNLTシリーズの名盤を紹介してきましたが、今回最後に取り上げるのはトランペッターのドナルド・バードのアルバムです。

ドナルド・バードは才気あふれるトランペッターで、モダンジャズ期のハードバップ路線から、70年代になるとR&B系クロスオーヴァー路線で成功した多彩なプレイヤーでした。
本作はバードのキャリアの中では本格ジャズ路線の最後にあたるアルバムでしたが、レコーディングされた当時はリリースされず、1981年になって陽の目を見た一枚です。

メンバーはバリトン・サックスのペッパー・アダムス、アルト・サックスのソニー・レッド、ドラムスのミッキー・ローカーに加え、注目なのは、ピアノがチック・コリア、ベースがミロスラフ・ヴィトウスという、当時気鋭の2人が参加している点です。
楽曲はバード作が3曲(03、06、07)、ソニー・レッド作(04)、チック・コリア作(01、05)とオリジナルで固められ、2曲目のバラードだけはミシェル・ルグラン作曲のミュージカル『シェルブールの雨傘』の主題曲という構成になっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
心を打つメロディーと切ないトランペットの響き“シェルブールの雨傘”。

アルバム全体としては、かなり脱ハードバップによる硬派なジャズやジャズ・ロックを展開していますが、この曲だけはカラーが違い、叙情的な空気感を漂わせるバラード演奏が印象に残ります。
フランスのミュージカル『シェルブールの雨傘』は1964年の作品ですので、本作がレコーディングされた頃は、この曲はまだ新しい部類のヒット・ナンバーだったと思われます。
ここでは2人の管楽器奏者はお休みで、バードひとりによるワン・ホーン・カルテットの編成で演奏されています。まずはチック・コリアのピアノのイントロから始まります。情感たっぷりにバードのトランペットが切ない名旋律を奏でてゆきます。途中から徐々に即興を交えたフレージングへと流れてゆき、一段落するとピアノ・ソロに移ります。そして再びバードに順が回ってきますが、自由な解釈によるソロが続きつつ、チラリと元メロディーもたどり、静かに曲を終えます。
4回続けてBNLTシリーズを紹介してきましたが、どのアルバムにも捨てがたい魅力が備わっており、お蔵入りすることなく世に出ていたら、ジャズ史の中でどんな位置のアルバムになっていたか、そんな想像をしながら聴くとより面白く、興味深く感じられるでしょう。

国内盤CD

 

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2022年11月25日 10:00