WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.210
ゴンサロ・ルバルカバ『ゴンサロ・ルバルカバ・アット・モントルー』(1990)
ゴンサロ・ルバルカバ(p)
チャーリー・ヘイデン(b)
ポール・モチアン(ds)
1990年7月15日、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルにてライヴ録音
曲目:
01.ウェル・ユー・ニードント
02.ヴェラス
03.プロロゴ・コミエンソ
04.ファースト・ソング
05.ワンス・アラウンド・ザ・パーク
06.ジョアン
07.オール・ザ・シングス・ユー・アー
【アルバム紹介】
1.キューバのピアニスト、1990年の世界デビュー盤
2.スイス、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ
3.超絶技巧で聴かせるモンクのナンバー他、圧巻のパフォーマンス
2023年のWEEKEND JAZZ幕開けは1月、2月と8回にわたり90年代の名盤を特集します。 今回は1990年の暮れにリリースされ、その驚異的なテクニックゆえ、一躍注目の的となったピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバの世界デビュー盤を取り上げます。
1963年にキューバに生まれたゴンサロ・ルバルカバは10代半ば頃より地元で音楽活動を開始し、80年代になると自身のグループでのレコーディングなど、本格的にキャリアを積み始めました。ベーシストのチャーリー・ヘイデンによって、その才能を見出され、本作をきっかけとして、インターナショナルな存在に成長してゆき、3度にわたってグラミーも受賞しています。
本作は1990年の夏に行われた世界的に有名なモントルー・ジャズ・フェスティヴァルのライヴ・パフォーマンスとなっており、ベースには恩師であるチャーリー・ヘイデン、ドラムスには名手ポール・モチアンが参加しています。
楽曲は、1曲目にセロニアス・モンクのナンバー、そしてラストにスタンダード名曲となっており、それ以外はゴンサロ・ルバルカバ自身のオリジナル(02、03、06)、ヘイデンのオリジナルで名曲(04)、モチアンのオリジナル(05)という構成になっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
超絶技巧で圧倒するモンクの名曲“ウェル・ユー・ニードント”。
本作が発売された当時、店頭でかけるとまず1曲目であるこの曲が始まりますが、まるで2人のピアニストが連弾しているかのような目まぐるしい音の躍動が圧倒的で、「今かかっているピアノ、誰?」と、かける度に問い合わせが殺到した記憶が蘇ります。1990年当時、テクニカルなピアニストといえばオスカー・ピーターソン、チック・コリアあたりがその中心で、ラテン系ではミシェル・カミロがいて、まだ上原ひろみのようなピアニストはいない時代でした。そんな中でのゴンサロ・ルバルカバの登場はかなりセンセーショナルなものでした。
強い打鍵力、たたみかけるような高速フレージングの連続、打楽器を思わせるパーカッシヴなアプローチの連続に、どこをとってもその新鮮なプレイにキューバのジャズ・ミュージシャンはこんなに凄いんだ、と誰もが驚嘆しました。ルバルカバ自身も自分の持てる音楽性を意の赴くまま、解き放って演奏している、そんな1曲であると言えます。
本アルバムはもう30年以上前のものですが、演奏から伝わるパッションは今聴いてみても非常にヴィヴィッドで、あらためて90年代という時代に生まれたジャズの底力を実感いたします。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年01月06日 10:00