WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.223
チェット・ベイカー『チェット・ベイカー・イン・ニューヨーク』(1958)
チェット・ベイカー(tp)
ジョニー・グリフィン(ts)
アル・ヘイグ(p)
ポール・チェンバース(b)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
1958年9月、ニューヨークにて録音
曲目(オリジナルLP発売時):
01.フェア・ウェザー
02.ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス
03.ホテル49
04.ソーラー
05.ブルー・ソウツ
06.ホエン・ライツ・アー・ロウ
【アルバム紹介】
1.トランペッター、チェット・ベイカーの東海岸セッションの傑作
2.ヴォーカル曲は無し、トランペッターとしての魅力が存分に発揮された内容
3.名うてのメンバーたちとのカルテット編成orクインテット編成
今回からトランペッターの名盤をご紹介してゆきます。まず最初はチェット・ベイカーのアルバムになります。
チェット・ベイカーといえば、西海岸=ウェストコースト・ジャズのイメージですが、本作の舞台はタイトルを見てわかる通り、東海岸=ニューヨークです。
50年代に西海岸のレーベルで数々のアルバムをリリースしていましたが、50年代終わり頃にニューヨークのレーベルであるリヴァーサイドに移ってレコーディングをした1作です。また、チェット・ベイカーはこの頃ヴォーカリストとしての才能を開花させていながら、ここではトランペットのみのプレイに徹しており、トランペッターとしての魅力が存分に発揮された内容になっています。
メンバーはピアノに名手アル・ヘイグの他、ベース&ドラムスにはポール・チェンバース&フィリー・ジョー・ジョーンズという、この時のマイルス・デイヴィス・クインテットの鉄壁のコンピが参加。そして、3曲(01、03、05)には実力派ハードバッパーのジョニー・グリフィンが加わっており、曲によってカルテット編成とクインテット編成でのチェット・ベイカーを聴くことが出来ます。
楽曲はベニー・ゴルソンの作曲(01、05)、マイルス・デイヴィスの名曲(04)などを含みつつ、スタンダード・ナンバーなどを取り上げています。
チェットのトランペットはどこかウェストコースト・ジャズ風な爽やかさがありながらも、このメンバーならではの硬派な要素が共存した演奏で魅了します。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
クールなハードバップ・ナンバー“フェア・ウェザー”。
タイトルは“晴天”とでも訳すのでしょうか、クールで爽やかな曲調のナンバーで、作曲は名テナー・サックス奏者のベニー・ゴルソンによるものです。
この曲は、本作と同じ1958年の9月にレコーディングされた、名トランペッターのアート・ファーマーの傑作『モダン・アート』に収録されたものが最初のレコーディングとされており、どんないきさつでチェットのアルバムにも収録されたか、その経緯は不明です。
曲は、イントロらしいイントロもなく、テーマ・メロディーで始まり、トランペットとテナー・サックスの2管の和声的な絡みぐあいが爽快さを助長しています。テーマの提示が終わるとソロに移りますが、最初に出てくるチェットの歌心いっぱいのソロは聴きどころになっています。この後、ベース、テナー・サックス、ピアノとソロが回ったあと、トランペットとテナー・サックスのユニゾンによる短いセクションがあり、テーマに回帰し、エンディングをむかえます。
ジャズは夜が似合う音楽ですが、本作はこのジャケットからも伝わる通り、日中の晴れた青空の下で聴くのも悪くないアルバムです。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年04月07日 10:00