タワー店長によるセレクト・アイテム〈マスターズチョイス〉追悼:坂本龍一
2023年4月21日公開
2023年3月28日、世界が悲しみに包まれた坂本龍一氏の訃報。タワーレコードもこれまで大変お世話になりました。そんな教授への追悼と感謝の意を表し、今回はマスターズチョイス特別編、各マスターが氏の膨大なワークスから今お勧めしたい1枚をピックアップ。様々な趣向のマスターによる様々な教授オススメ盤。心よりご冥福をお祈りすると共に、改めて氏の音楽の広さ、深さをお伝え出来れば幸いです。
ニューウェーヴ、テクノポップ好きとしてはこの一枚。
坂本龍一『千のナイフ』
YMOデビュー前、YMOメンバーを筆頭に第四の男、松武秀樹、ギターに渡辺香津美、カスタネットに山下達郎(!)…等豪華ゲストを迎えた教授のソロアルバム第一弾。当時大きなセールスにはつながらなかったものの、後の教授作品の香りが漂うオリエンタルな空気、ニューウェーヴを感じさせるギター、鮮やかに彩られたポップなメロディは紛れもなくテクノポップの源流。ニューウェーヴ、テクノポップ好きとして、教授の入門にレコメンドしたい大名盤。(渋谷店:武田)
渋谷店:武田 晃
- 店舗名
- 渋谷店
- 名前
- 武田 晃
- 趣味
- 料理とらーめん
- 好きなジャンル
- POST PUNK、INDIE ROCK全般
- 愛聴盤
-
- The Velvet Underground『The Velvet Underground & Nico』
- Joy Division『Unknown Pleasures』
- Felt『毛氈』
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後のYMO作品に影響を与えた過激で革新的なソロ2作目!
坂本龍一『B-2 UNIT』
1980年リリースのソロ2作目。当時の坂本龍一は、YMOの「パブリック・プレッシャー」がオリコン1位を獲得するなどブーム化していた状況に嫌気が差していたと言われ、YMO残留と交換条件で制作された作品。最先端のダブの手法を全編で導入、テクノと融合させたダブ・テクノを生み出した坂本龍一の革新性が伺え、高橋幸宏は「凄い」、細野晴臣も「打ちのめされた」と評価した傑作。ドラムが過激な「differencia」、ポストパンクな「articipation mystique」、ガムラン風ダブ「E-3A」、そしてアフログルーヴを感じながらも無国籍感が漂う名曲「riot in Lagos」など前半だけでもサウンドのカッコ良さに圧倒される。ラストの壮大な終末感を味わえる「the end of europe」まで坂本龍一の音楽家としても気概が充満した、後のYMOの名盤である「BGM」「テクノデリック」につながる重要作。(京都店:藤瀬)
京都店:藤瀬雅文
- 店舗名
- 京都店
- 店長名
- 藤瀬雅文
- 趣味
- おいしいお店探し、歴史探訪
- 好きなジャンル
- ほぼオールジャンル
- 愛聴盤
-
- The 1975『I Like It When You Sleep, For You Are So Beautiful Yet So Unaware of It』
- kiki vivi lily『vivid』
- Duke Ellington『Money Jungle』
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代表的楽曲多数収録のピアノ・トリオ作!
坂本龍一『1996』
ピアノ+チェロ+バイオリンによるトリオ編成の1996年作品。今でもロング・セールスを続けており、米国「Rate Your Music」の『史上最高の日本の音楽アルバム』上位と海外でも人気の名盤。「Merry Christmas Mr.Lawrence」「The Last Emperor」「The Sheltering Sky」といった映画音楽~YMO時代を含む坂本龍一のベスト盤ともいえる代表的な楽曲をリアレンジ。ピアノ三重奏による豊かな表現によって、楽曲の良さをより引き出しています。個人的フェイバリット曲は教授ご自身がCMにも出演した楽曲「1919」。ドラム無し/ピアノ三重奏編成でテクノ的な表現を試みた名曲、初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れません!同一トリオ編成は「THREE」(2012年作品)でも聴けます。(神戸店:安波)
神戸店:安波 教道
- 店舗名
- 神戸店
- 店長名
- 安波 教道
- 趣味
- 映画鑑賞
- 好きなジャンル
- ドリーム・ポップ
- 愛聴盤
-
- 山下達郎『僕の中の少年 2020 Remaster』
- J Dilla『WELCOME 2 DETROIT - THE 20TH ANNIVERSARY EDITION -』
- Steve Hiett『渚にて…』
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坂本龍一さんプロデュースのラップ/ボーカルユニットが残した唯一のアルバム!
GEISHA GIRLS『THE GEISHA GIRLS SHOW 炎のおっさんアワー』
Ken & Shoからなる謎の(?)白塗り芸者風ラップ/ボーカルデュオと、バックバンドにKoume(坂本龍一)、Shungiku(テイ・トウワ)、Katsuno(サトシ・トミイエ)が固めるGEISHA GIRLS唯一のアルバム!とにかく本気度が半端なくアート・リンゼイ、ボアダムズ、ヤン富田、小林克也、佐橋佳幸、小室哲哉といった名前を上げたらキリが無いほど錚々たるクリエイティヴな面々が参加した傑作!本作には大ヒットしたデビューシングルは未収録ではあるものの、その路線を踏襲してブラッシュアップしたような「Blow Your Mind - 森オッサン チョイチョイ キリキリまい」や2ndシングルである坂本龍一さんのノスタルジックな感性が胸を打つ「少年」など、バラエティ豊かで且つクオリティの高さが尋常じゃないエンタメ作品です!(なんばパークス店 山口)
難波店:山口 勝朗
- 店舗名
- 難波店
- 店長名
- 山口 勝朗
- 趣味
- バスフィッシング、山登り
- 好きなジャンル
- ROCK/POP、SOUL/CLUB/RAP
- 愛聴盤
-
- Pavement『Crooked Rain, Crooked Rain』
- Mos Def『Black On Both Sides』
- Massive Attack『Mezzanine』
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緻密な電子音×美しすぎる教授のピアノ。
Alva Noto + Ryuichi Sakamoto『Summvs (reMASTER)(+2/PS/RM)』
ドイツ人サウンドアーティスト、アルヴァ・ノトことカールステン・ ニコライと、世界の坂本のコラボレーション・シリーズ「V.E.R.U.S.(ヴァイルス)」の第5弾にし て最終章となった作品の2022年リマスター盤。再発盤のボーナストラックとして「Monomom」(2021 年12 月デジタル配信のみでリリース)と「Kizuna」 の2曲を新たに収録。両曲は共に、2 人が2019 年に行ったオーストラリア・ツアーのライブ・レコーディング アルバム「TWO Live at Sydney Opera House」(2019 年)に収録されていた同名楽曲のスタジオ録音ヴァー ジョンも聴きどころ。(梅田NU茶屋町店:清水)
梅田NU茶屋町店 :清水 真広
- 店舗名
- 梅田NU茶屋町店
- 店長名
- 清水 真広
- 趣味
- 走るコト
- 好きなジャンル
- ロックなもの
- 愛聴盤
-
- Caribou『Sunddenly』
- OWEN『The Avalanche』
- 藤井風『HELP EVER HURT NEVER』
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天才グールドをこよなく愛した坂本龍一によるセレクション
グレン・グールド『グレン・グールド 坂本龍一セレクション 完全盤』
2008年と2009年に、坂本龍一が天才グレン・グールドの多くの録音のなかから独自の視点でセレクトしたアルバムを、グールドの生誕90年・没後40年であった2022年に4枚のCDで集成したBOXがこちら。加えて、坂本龍一のプロデュースのもとで、ヴァイオリニストの宮本笑里が過去のグールドの音源に時空を超えてコラボした「バッハ~グノー:アヴェ・マリア」も収録!4時間を超える収録時間に、教授が考えるグールドの魅力が詰まった注目盤。(商品開発部 北村)
ディストリビューション&レーベル事業本部:北村晋
- 店舗名
- 商品本部 商品開発部
- 名前
- 北村晋
- 趣味
- 音楽鑑賞、オーディオ、温泉、お酒
- 好きなジャンル
- CLASSIC、JAZZ
- 愛聴盤
-
- SOLTI&VPO『R.STRAUSS:ELEKTRA』
- BERNSTEIN&BPO『MAHLER:SYMPHONY NO.9』
- SINATRA&BASIE『IT MIGHT AS WELL BE SWING』
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正に世界のサカモト!を表す異次元の豪華ゲストが参加のNY移住第1作!
坂本龍一『BEAUTY(SHM-CD/PS/RM)』
アンビエントの巨匠イーノが『NO NEW YORK』を手掛けたように、我らが教授もフリクションやPHEW、TACO等の前衛的な作品にも絡み、中でもNYノーウェイヴの代表格DNAの鬼才アート・リンゼイとは親交を深めていました。そんなNYと共振するアートが多くの作詞を手掛けた教授の89年作『BEAUTY』は、洗練されたビートとアンビエンス、沖縄民謡とストーンズ等のカバーが無国籍に入り乱れる名盤でいつ聴いても新鮮!その他ブライアン・ウィルソン、ロビー・ロバートソン、ロバート・ワイアット、ユッスー・ンドゥールといった異次元すぎる豪華ゲストも参加。正にコスモポリタン、世界のサカモト此処にあり!その音への無邪気さに、最大限の敬意と感謝を贈ります。(オンライン:巻本)
オンライン:巻本 拓也
- 店舗名
- オンライン
- 名前
- 巻本 拓也
- 趣味
- 馬/喫茶
- 好きなジャンル
- サイケ/NY/珍盤
- 愛聴盤
-
- ARTHUR RUSSELL『Love is Overtaking Me』
- MARC RIBOT & THE YOUNG PHILADELPHIANS『Live In Tokyo』
- 汝、我が民に非ズ『つらい思いを抱きしめて』
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多彩で多才な教授のお見立てによるテクノ歌謡作
郷ひろみ『比呂魅卿の犯罪』
教授が残した作品は膨大で、そしてその音楽的背景を反映して、音楽的アプローチもクラシック、フュージョン、アンビエント/ニューエイジ, etc.と非常に多岐にわたる。そんな教授がサウンドプロデューサーとして関わったヒロミの1983年作はテクノ風味な無国籍AOR歌謡作。ヒロミ特有の声を「プラスチック」と評したのは近田春夫だったか、まさにその彼唯一無二のヴォーカルをテクノの力で演出するのは百戦錬磨のYMOファミリーの面々。本作発売の翌月にリリースされたYMO『浮気なぼくら』とあわせて聴いてもらいたい。(オンライン:奥田)
オンライン:奥田 賢悟
- 店舗名
- オンライン
- 名前
- 奥田 賢悟
- 趣味
- 調べもの
- 好きなジャンル
- J-POP
- 愛聴盤
-
- 近田春夫 & ハルヲフォン『電撃的東京』
- 電気グルーヴ『A』
- フィッシュマンズ『LONG SEASON』
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渡辺香津美&坂本龍一共同プロデュースのクロスオーバー期傑作!
渡辺香津美『KYLYN(UHQCD/RM)』
渡辺香津美のギターを主役に坂本龍一、高橋幸宏、矢野顕子も参加した79年の傑作。アナログ盤のB面にあたる5曲目以降にプロデュースも担う教授作の4曲が収録されており、タイトな演奏が素晴らしいA面とは対照的な緩さが心地好い。同時期のアルバム『サマー・ナーヴス』にも通じるが、矢野顕子が歌う和製ソウル「I'll Be There」や渡辺香津美作のバレアリック・チューン「Akasaka Moon」も抗しがたい魅力!(金沢フォーラス店:米山)
金沢フォーラス店:米山 大紀
- 店舗名
- 金沢フォーラス店
- 店長名
- 米山 大紀
- 趣味
- 音楽鑑賞、日本酒
- 好きなジャンル
- ワールド・ミュージック、ハードコア・パンク
- 愛聴盤
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- Los Crudos『Las Injusticias Caen Como Pesadillas(7")』
- Van Dyke Parks『Discover America』
- 早川義夫+佐久間正英+HONZI『I LOVE HONZI バイオリニストHONZIに捧ぐ』
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坂本龍一、キャリアの第一歩。
友部正人『誰もぼくの絵を描けないだろう 』
坂本龍一の初レコーディングと言われる日本のフォーク・レジェンド友部正人の4thアルバム「誰もぼくの絵を描けないだろう 」(’75年作品)。言葉と言葉の連なり/奔流が聴き手を友部正人独特の詩世界に連れていく名盤に坂本龍一は3曲で参加。友部正人の歌に寄り添うように奏でられるそのピアノの旋律はほぼ即興ということだが、深い情感とちょっとした色彩を歌にもたらしていて見事の一言。裏ジャケットには若き日の坂本龍一さんの姿も。(商品本部:狩野)
商品本部:狩野 卓永
- 店舗名
- 商品本部
- 店長名
- 狩野 卓永
- 趣味
- 飲酒
- 好きなジャンル
- ROCK
- 愛聴盤
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- WILCO『BEING THERE』
- THE BAND『南十字星』
- Van Morrison『魂の道のり』
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タグ : マスターズチョイス
掲載: 2023年04月21日 12:00