ポルノグラフィティ『解放区』タワレコスタッフレビュー
ポルノファンの皆さん、お久しぶりです。
ポルノグラフィティが動き出していることだし私も動き出さないと!と思い立ち「レビューを書かせてください!」と懇願し、「ひとひら」が流れ出すような時間に書いています。CDを買った方は是非聴きながら読んでいただき、まだ買ってない方はこれを参考に買っていただけたら幸いです。
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解放区
19th ライブサーキット“PG wasn't built in a day”にて初披露された曲。
ツアー初日のライブに参加したが、初めて聴く曲に興奮する気持ちを抑えながら、流れてくるメロディや歌詞を一つずつ噛み締めようとする。唯一理解できたことは、この曲はただの応援曲でも恋愛曲でもない、「暗闇肯定曲」なのではないかということ。彼らはダメな自分を肯定してくれる。
とにかくこの曲で一番好きなところは「たとえわずかな一歩でも 進むことだと光の国では言うだろう それさえできない夜はここにおいで」だ。
光の国がどこのことを指しているのか。「ブレス」で歌われている頼んでもないのにやたら背中を押すヒットチャートなのか、ポジティブでいる時の自分自身なのか。それは分からないけど、わずかな一歩でも進めない自分を責めずにいてくれる場所があることの暖かさ、それがこの曲には、ポルノグラフィティにはある。ここにいれば、現実ではしょうもない自分が思う通りにいられる気がする。王冠を被るように、ヘッドホンをつければそこが解放区。 OLD VILLAGER
こういうの、待ってたよ。(タワーレコード みき 2024 3.27)
こちらは18th ライブサーキット”暁”で披露された新曲。ポルノのヘヴィな部分が存分に出ているサウンドで、「ラック」や「リビドー」のようにドロップDの変則チューニングのヘヴィなギターリフから始まる曲。ハードロックに憧れを抱いてきた彼らが大好きなサウンドだろう。こういう曲、彼ら得意なんですよ。
曲はヘヴィでシンプル。そして歌詞は「予定調和のばかしあいで 居心地いいでしょ?」「イライラせずに そういうモンだろって 皆受けいれて うまくやるのさ」といった諦めを感じるような、そんな歌詞。何処か「ラック」と同じ世界観を感じる。
でも最後には「Move on (動き出せよ)」で終わっているのは単に悲観しているのではなく、現実を変えていくには神や仏でなく自分がやらないとね、と言ってアジテートされているような気になる曲。とにかくイントロからもう撃ち抜かれてます。アビが鳴く
G7広島サミットの応援曲。広島県出身の彼らが歌う平和の歌というものにより一層の重みを感じる。打ち込みでのトラックやCメロでボーカルに薄くかけられたオートチューンなど、今までのポルノにはあまり見られない、新しいアプローチ。より一層ギターの音色と歌声、そして歌詞が強調されて聴こえる。曲の雰囲気はイントロから最後までずっと、一人で海を眺めているような寂しさというか物悲しさを感じる。歌詞にもその物悲しさを感じる。
「あの夏を語れるものが一人二人と去って アビの鳴く声だけが千年に響き渡る」 あの夏にあった出来事を実際に体験した人がいなくなり、事実のみを知る人だけになる。 それでも同じことを二度と繰り返さないように、我々が繋いでいくしかない。 「雲や風が流れていくように記憶や感情もずっと同じ姿ではいられはしない」のだから。 そう、例え荒れ狂う嵐の夜だって、水を掻く艪を離してはいけない。嵐の夜なら漕いだって意味はなくて、流れゆくまま身を任せるしかないのに、そんな厳しい時でも艪を離さず自分たちで前に進むしかないのだ。
EPに入ったこの3曲は、通して「自分で思う通りに進むためには、自分たちで切り開いていくしかない」と歌っている気がする。それでも進めなくなった時には、また彼らの音楽を聴きに行けばいい。そこが私たちの解放区なのだから。
THE DAY - From THE FIRST TAKE
ポルノグラフィティのファンならご存知、江口亮氏によるアレンジ。 ファーストテイクならでは、というかもはや生のライブを聴いているかのような感じ。 ちなみにYouTubeではギターソロ前に岡野さんが「晴一行っとけ」とライブのように叫ぶのだが、音源化された折、かなり音が下げられてしまい、かろうじて耳を澄ますとうっすら遠くにいるのが聴こえる。何故ここを下げたのか、担当者に小一時間問い詰めてみたい。
アゲハ蝶 - From THE FIRST TAKE
こちらも江口亮氏によるアレンジ。「アゲハ蝶はガットギターで弾いてもらうのが一番良い」などと思っていた時期も僕にはありました。ただ、このアレンジはとても良い。楽曲が持つラテン感は残りつつ、エレキギターの歪みも入った、新しい感じ。今までもエレキを持ってアゲハ蝶を弾くことは多々あったが、ここまで強い歪みを使ってソロを弾くことはなかった。パンデイロと呼ばれるタンバリンのような楽器が使われているのも聞きどころ。このアレンジを聴いていなければ知らなかった。ポルノは今でも僕らに新しい世界を見せてくれる。
25周年の第一弾シングル「解放区」。初回限定版にはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023のライブ映像も収録しており、ジャケットも可愛いので手元に残しておくことをお勧め!
だだだ第一弾!?
タワレコラバッパー みき
掲載: 2024年03月29日 19:00