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第5回 ─ 永遠の勝者、カートムの栄光

ESSENTIALS――忘れられない名盤たち その1

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2005/05/19   13:00
更新
2005/05/19   14:20
ソース
『bounce』 264号(2005/4/25)
テキスト
文/JAM、出嶌 孝次、林 剛

CURTIS MAYFIELD 『Roots』 Curtom/ビクター(1971)

  他のカーティス名盤に比べるとやや印象が薄いが、スタジオ録音のソロ作では2枚目となる今作も重要。ファンキーな装いのなかにもメロディアスな旋律を持つカーティス印のサウンドが隅々まで敷き詰められ、同胞に意識高揚を促した“Beautiful Brother Of Mine”、ポジティヴな高揚感に満ちた“We Got To Have Peace”といった傑作曲が並ぶ。ブルース曲をやるあたりに彼のシカゴ・ルーツを見る思いも。(林)

LINDA CLIFFORD 『Runaway Love : The Curtom Anthology』 Sequel 

  ディスコ・ブームの到来と共に羽ばたき、カーティスとのデュエット盤を含めて6枚のアルバムを残したカートム最後のスター、リンダ・クリフォード。今作は、カーティスのペンによるデビュー曲(73年)やジェミゴに残したシングルなどの下積み期の楽曲から、“Runaway Love”などのディスコ・ヒットまでを総ざらいしたベスト盤。アイザック・ヘイズ制作の80年作『I'm Yours』も丸ごとボーナス収録。(出嶌)

THE STAPLE SINGERS 『Let's Do It Again』 Curtom/Rhino(1975)

  ジャケットをご覧いただければわかるように、同名映画のサウンドトラックも兼ねてリリースされたものだが、スタックスを後にした彼らがもともと縁の深かったシカゴに戻ってカーティス・メイフィールドのプロデュースで録音した内容には、オリジナル作品集としてのおもしろみも十分。有名なのはやはりタイトル曲だと思うが、同曲に限らずレパートリーは古巣シカゴの息吹に溢れたものばかり。傑作。(JAM)

CURTIS MAYFIELD 『Do It All Night』 Curtom/ビクター(1978)

  ディスコ時代の作品ゆえ、いわゆる〈名盤系〉ガイドでは100%無視される一枚。ジャケもひどい。ただ、時代の要請に応えつつ自身のマナーを貫き通したアレンジの才は凄まじく、そうでなくても8分以上もダイナミズムが持続する表題曲に始まる長尺3連打でKOだ。うっすらしたグルーヴ感がヤバいバラード“In Love, In Love, In Love”に、仄温かいアップ“You Are You Are”など佳曲だらけ。私の耳がおかしいのかね?(出嶌)

MYSTIQUE 『Mystique』 Curtom/Sequel(1977)

  インプレッションズのメンバーだったラルフ・ジョンソンが元ロスト・ジェネレーションのフレッド・サイモンらと結成した4人組。制作陣にはジェリー・バトラーやリッチ・テューホといったシカゴ勢のほか、フィリーからバニー・シグラーも招かれているが、アルバムの全体像にブレはなく、洒落たサウンドと洒脱なハーモニーが全編くまなく響き渡る。カートム屈指の隠れた好盤である。(JAM)

VARIOUS ARTISTS 『The Curtom Story』 Metro 

  ウィンディC~メイフィールド~トーマス~カートムの音源を2枚組にまとめたマルチ・レーベル・ベスト。著名曲はもちろん、メイヴィス・ステイプルズ“Chocolate City”などの入手困難曲や、ジューン・コンクエスト“All I Need”やメイジャー・ランス“Little Young Lover”、フレッド・ウェズリー“House Party”などシングル・オンリーの楽曲がズラリ。アノ人もカートムにいたの?的な発見もあれこれ多いはず。必携。(出嶌)

ED TOWNSEND 『Now』 Curtom/Sequel(1975)


  マーヴィン・ゲイ“Let's Get It On”の共同制作者として名を上げたエド・タウンゼント。その腕を買われ、インプレッションズの70年代作品を手掛けるなどしてカートムに新しい風を吹き込んだ彼は、本ソロ・アルバムの制作も許された。70'sカートムの腕利き連中をバックにセルフ・プロデュースで録音。裏方らしい(?)シブ声でファンキー&ジャジーに揺れる小粋なオヤッさんぶりが味だ。(林)

THE FASCINATIONS 『Out To Getcha!』 Sequel 


  カートムの前身のひとつ=メイフィールドに2年間でシングル5枚(すべてカーティス制作)を残したガールズ4人組、ファシネイションズの編集盤。モータウン風のノーザン・ビートでイキイキ歌う初期もいいし、アレサ・フランクリンの〈貴方だけを愛して〉をモロに模倣した“Hold On”など歌い込みを深めた後期もディープで味わい深い。本作にはダニー・ハサウェイも在籍したメイフィールド・シンガーズのシングル曲も追加収録!!(出嶌)