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第12回 ─ ホット・ワックス/インヴィクタス

広範囲でリサイクルされてきたサウンドの魅力

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2006/03/30   21:00
更新
2006/03/30   23:34
ソース
『bounce』 274号(2006/3/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

 ホット・ワックス/インヴィクタスのリサイクル例を一口に語るのはなかなか難しい。そのサウンドはアッパーなノーザン・ソウル流儀から70年代モータウンのようなライト・グルーヴまで非常に多岐に渡るからだ。よって、その音源はさまざまな嗜好性の元で俎上に乗せられてきた。

 まず、ヒップホップ界隈で有名なのが、ヘロヘロのヨーデルで知られるパーラメントの“Little Ole Contry Boy”がデ・ラ・ソウル“Potholes In My Lawn”でファニーに使用されていることか。他にもローラ・リー“Crumbs Off The Table”をアイス・キューブが“It's A Man's World”に用いた例なども記憶されるが、使用例の多さではエリックB&ラキム“As The Rhyme Goes On”のほか、SWVやDJカムにも用いられたフリーダ・ペインの“Unhooked Generation”がトップ。この連載にやたら登場する小沢健二の“痛快ウキウキ通り”も同ネタ! 

 フリーダでいえば“We've Gotta Find A Way Back To Love”はBonnie Pinkにカヴァーされた(アレンジはキハラ龍太郎!)し、Love Tambourinesはシングルのジャケでフリーダにオマージュを捧げていた。チェアメン・オブ・ザ・ボードの“All We Need Is Understanding”がTOKYO No.1 SOUL SETの“27 TO 28”で使用され、FREEDOM SUITEは……と、妙に〈渋谷系〉が薫ってくるが、そうした層にもミートするグルーヴィーなヴァイブレーションがホット・ワックス/インヴィクタスの大きな魅力だったことは疑いない。そうした評価軸の元祖たるスタイル・カウンシルがチェアメンの“Hanging On To A Memory”をライヴで披露していたことも付記しておこう。


Bonnie Pinkの編集盤『Bonnie's Kitchen #2』(ワーナー)


TOKYO No.1 SOUL SETのベスト盤『Dusk & Dawn』(スピードスター)


スタイル・カウンシルのライヴ盤『Style Council In Concert』(Polygram)