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第23回 ─ スタックスの遺産(その2)

ESSENTIALS 魂が震える名盤たち その2

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2007/05/31   12:00
更新
2007/05/31   17:50
ソース
『bounce』 287号(2007/5/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、林 剛

THE EMOTIONS 『So I Can Love You』 Volt(1970)
シカゴ出身のハッチンソン三姉妹による記念すべきファースト・アルバム。ゴスペルという出自を窺わせる逞しい歌唱と瑞々しいハーモニー、そしてアイザック・ヘイズ&デヴィッド・ポーターのキャッチーなサウンドが眩しい。ヒットしたタイトル・ナンバーなど自作曲が多い点にも注目したい。EW&Fと組んだ華やかな時代も当然良いが、〈“Best Of My Love”の人たち〉というだけの認識は厳禁!!
(出嶌)

ISAAC HAYES 『...To Be Continued』 Enterprise(1970)
新生スタックスを活気づけた『Hot Buttered Soul』(69年)以降、R&BチャートでNo.1アルバムを連発していた頃のアイク師匠のソロ作。ジェイ・Zやアシャンティらが用いたバカラック名曲長尺カヴァー“The Look Of Love”、メアリーJ・ブライジ曲で使われた“Ike's Mood”など〈ネタ盤〉としてもお馴染みの本作は、壮大なオーケストレーションとアイクの物憂げな歌がリスナーを異次元に誘う。
(林)

WILLIAM BELL 『Wow.../Bound To Happen』 Stax 
派手さはないものの、レーベルの古参として伸びやかな名唱を残しているこの時期の彼。本作は70年作と69年作を2in1化した重量盤で、リュダクリスの“Growing Pain”などでネタ使いされたヒット・バラード“I Forget To Be Your Lover”がやはり聴きモノだろう。時代性を反映したスライの“Everyday People”や、アルバート・キング“Born Under A Bad Sign”といったカヴァーも興味深い。
(出嶌)

SOUL CHILDREN 『Soul Children/ Best Of Two Worlds』 Stax 
あのJ・ブラックフットことジョン・コルバートを含む男女4人組。これは69年の初作とマッスル・ショールズ録音の2作目(71年)をパッケージした2in1で、続く『Genesis』には及ばないものの、男声/女声入り乱れてのヴォーカル・パフォーマンスは圧巻だ。特にアイザック・ヘイズ=デヴィッド・ポーター作の曲を歌った初作は、ジョンが吠える熱血南部ソウルの見本市。
(林)

JEAN KNIGHT 『Mr. Big Stuff』 Stax(1971)
おデブなヘヴィD&ザ・ボーイズらがネタ使いした、デブ夫を叩く痛快リズム・ナンバーの表題曲を歌って一躍スターとなったジーン・ナイト。これはスタックスから唯一放ったアルバムながら、録音はマラコで行われた。彼女の故郷ニューオーリンズの名手であるワーデル・ケゼルグの制作ということもあって、かの地特有の陽気で軽快なグルーヴが全体を覆っている。明るくハキハキとしたジーンの歌もいい。
(林)

THE BAR-KAYS 『Black Rock』 Stax(1971)
4人のメンバーを飛行機事故で失うも、生き残ったジェイムズ・アレクサンダーを中心に再編されたバーケイズ。これはその〈新生〉後の2作目(通算3作目)で、元テンプリーズのラリー・ドッドソンをヴォーカルに迎えた初の歌入りアルバムとなった。表題がすべてを物語るサイケ&ロックな極彩色のソウル集で、スライやインプレッションズのナンバーにも挑戦。恐れ知らずのパワーに打ちのめされる。
(林)