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第27回 ─ アレサ・フランクリンに新たな輝きを与えたアリスタ時代と数々のコラボ

ESSENTIALS 80年代の宝石たち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2008/01/24   20:00
ソース
『bounce』 294号(2007/12/25)
テキスト
文/林 剛

『Jump To It』 Arista/BMG JAPAN(1982)
旧知のアリフ・マーディンらと作ったアリスタでの初期2作もまずまずの出来だったが、新しい時代のアレサ像が確立されたのは、プロデューサーにルーサー・ヴァンドロスを迎えた本作からだろう。マーカス・ミラーらルーサー一派によるアーバンなサウンドをバックにアレサも伸び伸びと歌っている。アイズレー・ブラザーズのカヴァーやスモーキー・ロビンソンの書き下ろし曲も話題となった80'sソウル名作だ。

『Get It Right』 Arista/BMG JAPAN(1983)
ふたたびルーサー・ヴァンドロスによる制作盤で、参加メンツも含めて前作『Jump To It』の流れを汲むが、グルーヴィーなサウンドにグッと厚みを増したアーバンな快作だ。後にルーサー本人も歌うことになる表題曲から彼女の息子が書いたラスト・ナンバーまで、艶やかでコッテリとした歌を聴かせる。テンプテーションズのカヴァーやマイケル・ラヴスミスの参加など、デトロイトの繋がりを意識させる場面も。

『Who's Zoomin' Who?』 Arista/BMG JAPAN(1985)
ルーサー制作の2枚に続いて、ナラダ・マイケル・ウォルデンをプロデューサーに起用したアルバム。最新コラボ盤にも収録されたユーリズミックスとの共演曲を含み、幅広い層にアピールした作りになったこともあって、アリスタ時代のポップ・チャートにおける最大のヒット作となった。“Freeway Of Love”を筆頭に、80年代中期らしくビートの強調されたポップ・ソウルがひしめく意欲作だ。

『Aretha』 Arista/BMG JAPAN(1986)
アンディ・ウォーホル製のジャケットが内容を物語るかのようなポップ~ロック風味のアルバム。ふたたびナラダ・マイケル・ウォルデンの制作盤で、冒頭を飾る“Jimmy Lee”をはじめ、ギターで〈歌う〉キース・リチャーズとの“Jumpin' Jack Flash”やジョージ・マイケルとのデュエット“I Knew You Were Waiting(For Me)”の収録で話題となった。ラリー・グラハムとのデュエットもお忘れなく。

『One Lord, One Faith, One Baptism』 Arista/BMG JAPAN(1987)
アトランティック時代の『Amazing Grace』から15年ぶりとなるゴスペル実況盤。父が暴漢に襲われて意識不明になるなか、デトロイトにある父の教会でライヴを行ったという背景も胸を打つが、弟のセシルやジェシー・ジャクソン師の説教を挿みながら、姉妹やメイヴィス・ステイプルズ、マイティ・クラウズ・オブ・ジョイらを交えて神と対話していくような歌唱に魂が震える。嘘のないソウルだ。

『Through The Storm』 Arista/BMG JAPAN(1989)
80年代最後のアルバムとなった本作は、アレサを〈全能の女王〉たらしめたアリフ・マーディンとナラダ・マイケル・ウォルデンを中心に制作された。ジェイムズ・ブラウンとのキング&クイーン対決となったファンク“Gimme Your Love”を筆頭に、ホイットニー・ヒューストン、エルトン・ジョン、フォー・トップスと渡り合っている。まさに嵐のように駆け抜けていく、究極のポップスが展開された力作だ。