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第5回 ─ 年間ベストを選出! 〈曽我部アワード2007〉

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2008/01/24   12:00
更新
2008/01/24   17:44
テキスト
文/bounce.com編集部

ご存知〈キング・オブ・メロウロック〉こと曽我部恵一のマンスリー連載! ご自身のお店〈City Country City〉でも素敵な〈手描きPOP〉を作っている曽我部氏が、タワーレコードのPOPを担当。独自のテーマでCD/DVD/書籍をチョイスし、その作品のPOP作りに挑みます。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて展開……というWEB&店舗の連動企画! さて今回のセレクション・テーマは〈曽我部アワード2007〉。

  というわけで、新年一発目の当連載では〈曽我部アワード2007〉を開催! 曽我部氏が選ぶ2007年のベスト作品を、部門別に紹介いたします。

●書籍部門:ECD「いるべき場所」

曽我部「音楽遍歴について自伝っぽく書いてるんですけど、最高でしたね。キラキラ社って劇団で役者を目指してた時代のことも書かれてますけど、ECDさんが役者にならなくて良かったなあって思った(笑)。だって、そこを目指してたら、いまごろ性格俳優みたいな安全なポジションに落ち着いてそうじゃない? そうしたら〈さんピンCAMP〉もなかったかもしれないし。あと、幼少時代のくだりも良かったな。ある子のことがすごい嫌いで、家にいてもその子の嫌なところをずっと考えてた、みたいな話。それって子供にとっての感情の芽生えだと思う」。

●DVD部門:「ULTIMATE MC BATTLE GRAND CHAMPION SHIP 2006」

曽我部「〈ULTIMATE MC BATTLE〉は、いろんな意味で面白い。俺がAC/DCとかに感じているかっこ良さがあるんですよ。AC/DCって、かっこいいし、馬鹿みたいなところもあるし(笑)、そういうのを全部含めてロックなんですよね。いまのロックって、笑えるところがないじゃないですか。それが〈ULTIMATE MC BATTLE〉にはある。夜中に機材車で移動してるときに、グターッとなりながら見てましたね。みんなでフリー・スタイルの練習したりしながら(笑)。素人のラッパーがいっぱい出てくるから、誰も知らない人のファンになったりして、そういうのも楽しい。だから予選の方(「ULTIMATE MC BATTLE 2006 JAPAN TOURS ARCHIVE」)もおすすめですね。両方見て欲しいな」。

●旧譜部門:LOU REED『NEW YORK』

曽我部「久々に聴き直してみたら最高だったのがこのアルバム。年末に部屋の大掃除してる時に聴いたんですけど……やばかったすねえ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは昔から好きだったんだけど、これはリアル・タイムで聴いてたわけではないし、ルー・リード自体、特に追っかけてはないんです。でも改めてこれを聴くと、ルー・リードってやっぱりハンパない人なんだなあというのがわかる」。

●ミックスCD部門:高宮永徹『SILENT DREAM』

曽我部「ミックスCDって、実はオフィシャルじゃないものに面白いのが多いですよね。逆に、楽曲のライセンスを取った正規のものは、こざっぱりとしたものになりがち。でもこれは素晴らしかったなあ。あまりに良かったから高宮さんにメールしましたもん。自分のレーベル(Flower Records)の音源の特別なヴァージョンを使うとか、社長にしかできないミックスで(笑)、良いなあと。移動中のクルマの中でかけてたんですけど、静岡辺りで、空が夕焼けになって、暗くなって、月が出てきて……っていうシチュエーションで流れていて、もう最高にハマッた。ミックスCDってクルマで聴くのに良いですよね。今年は免許取ろうかなあ(笑)」。

●ヒップホップ部門:サイプレス上野とロベルト吉野『ドリーム』

曽我部「上野さんと吉野さんは、いままで横浜クルーが積み上げてきたものを結実させたというか。すごく丁寧に作ってますよね。いま日本でギャングスタ・ラップみたいな部分に乗らずにラップをやるのって結構難しいことだと思うんですけど、彼らはそれを、スチャダラパーとか文系ラップの流れを受け継いでしっかりやってる。あくまでも一般的な人の視点でのラップ。そこが素晴らしい。それでいてMSCとも仲が良かったりして」。

●ダンス・ミュージック部門:M.I.A.『Kala』

曽我部「M.I.A.は、もうばっちりですね。2007年はこれしかないと思うんだけど、なんか評価が低い気がしたなあ。リリースされたとき、あんなに盛り上がってたのに、どうしてだろう? 「AERA」の表紙にまでなったし。ウチの嫁さんも知ってますからね」。

各部門の発表は以上! では、いよいよ年間1位の作品を発表していただきたいのですが……。

●曽我部アワード2007大賞:該当なし

曽我部「2007年は、〈この一枚!〉っていうアルバムがなかったんですよね。だから……該当なし(笑)! もちろん良いものはたくさんあったんだけど、レディオヘッドの『OK Computer』とか小沢健二の『LIFE』みたいな、時代を象徴するようなものがなかった。でも、みんなもそう思ってるんじゃない? 正直にそう言うべきだと思うなあ(笑)」。

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