〈青年期の闇〉を突き詰めた最新作は、ドス黒いグルーヴが渦巻くポスト・パンク・サウンドに翻弄されながらも、聴き終わった後には沈み込むような静寂に包まれて、すべてが無に帰するような――嵐が去った後の静けさのような空気が漂っていた。制作中はひどく擦れていたという本作に対して、先述のインタヴュー中、石井はこうも語っている。
「でも最後には、等身大の闇から救いがある方向にちょっと出ていけるアルバムになったと思うんですよね。ライヴでは、自分をいい方向に持っていけるような気がしてます」。
「今回のアルバムを作ったことで、次はこうしたい、っていう衝動がもう来ちゃってて。いまは次の段階に突入してるというか、また新しいことをちょっとやってるんです」。
彼らはいつでも現在進行形だ。思えば、2作目を象徴する〈PUBLIC NOISE FADE OUT〉という言葉は、ファースト・アルバムがリリースされた直後、昨年の早い段階から彼らの企画イヴェント名としてリスナーに提示されていた（かつファースト・アルバムのリリース・ツアー・タイトルともなった）。さらにツアー・ファイナルでは、本作に収録された楽曲を早くも披露していたという。
今年もすでに、〈Qomolangma Tomato presents〉と冠された新たなイヴェントが行われている。タイトルは〈AN ALLERGY TO THE FUTURE〉。この言葉が次作のキーワードとなるのか現時点では知る由もないが、7月12日の新宿LOFT公演まで続くツアーは、彼らの絶え間ない進化を追う格好のドキュメンタリーとなるだろう。
Qomolangma Tomato タワーレコード渋谷店インストア・ライヴ セットリスト
1. ネタのないパブリック
2. 追い詰められて -青い時間-
3. FIVE SENSES-FIVE MINUTES -自分のしがらみに溺れるな-
4. vote creative sounds -クソみたいな印税-
5. 無気力 -焦らないでどうしたものか-
6. 静寂と壁と闇 -PUBLIC NOISE FADE OUT-
7. through your reality
8. 359°は捨てる -地下街の喫茶店-
ーアンコールー
9. 蒸発のイメージ
▼Qomolangma Tomatoの作品
