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第38回 ─ レディー・マーマレード

新旧の縁に支えられた『Back To Now』サウンドの裏側

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2009/03/19   02:00
更新
2009/03/19   18:01
ソース
『bounce』 307号(2009/2/25)
テキスト
文/林 剛

 76年の『Chameleon』以来32年ぶりとなったラベルの再結成アルバム『Back To Now』には、彼女たちの資質に見合った面々が集まっている。先に出たロボ声導入曲“Rollout”はワイクリフらの制作。これは以前パティが客演したワイクリフ自身の“Celebrate”を踏襲したような曲で、雑食感覚を持つ両者らしい顔合わせと言えよう。また、3曲を手掛けたレニー・クラヴィッツとは、ロック感覚のソウルをやるという点で、これも納得の組み合わせ。70年代の雰囲気を見事に再現している。一方、かつてラベルをローラ・ニーロの作品で起用し、パティをフィリー・インターに迎え入れたこともある地元仲間のギャンブル&ハフは、熟達した技で新たなスタンダードを創出。さらに、キット・ランパートが手掛けたコール・ポーター名曲“Miss Otis Regrets”のカヴァーは、70年頃に渡英していたラベルがザ・フーの所属レーベル=トラックに残していた秘蔵音源で、演奏にはニッキー・ホプキンスやザ・フーのキース・ムーンら故人の名もある。この旧曲を公開することで、いまのラベルが30余年前と不変であることを、今回の新作は伝えてもいるのだ。
▼関連盤を紹介。


パティも参加しているワイクリフ・ジョンの2003年作『The Preacher's Son』(J)


レニー・クラヴィッツの2008年作『It Is Time For A Love Revolution』(Virgin)


ザ・フーの71年作『Who's Next』(Track/Polydor)