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第38回 ─ レディー・マーマレード

前置きのスペースもない……リイシューの嵐

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2009/03/19   02:00
更新
2009/03/19   18:01
ソース
『bounce』 307号(2009/2/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

  まずは別格的に丁寧なリイシューが続いているダイアナ・ロス。今回はアシュフォード&シンプソンが手掛けた71年作の拡充盤『Surrender -Expanded Edition』(Motown/Hip-O Select)で、ヴァレリー・シンプソンによるデモなども聴けます。

強引に繋ぐと、昨年逝去したデトロイトの名シンガー、ポップコーン・ウィリーの74年作『Extrasensory Perception』(ABC/Dusty Groove America)も、ラモン・ドジャーらが関与した逸品ということでこの流れで聴きたいですね。

モータウンに戻って……スティーヴィー・ワンダーの全作SHM-CD紙ジャケ化をオトナ買いできない人も、64年の『At The Beach』(Motown/ユニバーサル)など日本初CD化や初邦盤化モノには要注意。3月からはマーヴィン・ゲイの全作SHM-CD紙ジャケ化もあるので貯金も必要ですが。


で、マーヴィン……といえばリオン・ウェア。彼絡みの比較的無名な曲を集めた『Leon Ware And Friends』(Expansion)も良品。特にサントラ収録のみだった74年曲“Girl, Girl, Girl”なんかの収録が嬉しい! なお、SHM紙ジャ化(略)ってことでは、ブッカー・T &ザ・MG'sのスタックス後期作もドバッと。

これから1枚って人には、ルーツが表題曲をリメイクしたこともある71年のラスト作『Melting Pot』(Stax/Concord/ユニバーサル)を大推薦。温かいファンキー・ジャムの応酬が、未踏に終わったバンドの最終進化型を想像させます。

 そのまま泥臭いブツへ。ミルトン・ライトの『Spaced』(Alston/Jazzman/Pヴァイン)は77年のマイアミ産らしい味わいです。

違う意味で泥臭いのは、ドールマイトとして人気を博したコメディアン=ルディ・レイ・ムーアで、72年の『This Pussy Belongs To Me』(Decision/Traffic)などがリイシュー。ヒップホップ・ファン向け、というかジャケ買い必至です。

 あとは女性モノ。LAのディープ・シンガー、タイ・カリムの全曲集『The Complete Ty Karim: Los Angeles' Soul Goddess』(Kent/Ace)は爽快なノーザン・ビートに濃い口の歌が映えるマスト盤。リンダ・ルイスのアリスタ~アリオラ時代=フリー・ソウルな90年代には評価の低かった3枚も紙ジャケで登場してまして、ディスコも意識した75年作『Not A Little Girl』なんかはキャッチーで聴き応えがあるし、

単独でのCD化は世界初だという79年作『Hacienda View』(Ariola/BMG JAPAN)にもソウル云々じゃない部分でのおもしろさがある、かも。また、ブラコン期のリイシューも相変わらず多いですが、一気に出る日本発シリーズは次回以降に回して……

こちらではパティ・オースティンの85年作『Gettin' Away With Murder』(Warner Bros./Wounded Bird)を推奨。ジャム&ルイス制作のアーバンな猫ジャケ名品ですにゃ。