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第40回 ─ オー・ブラザー!

第40回 ─ オー・ブラザー!(2)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2009/07/22   18:00
ソース
『bounce』 312号(2009/7/25)
テキスト
文/林 剛

  また、ジャクソンズというグループは、一度キッズ時代に人気を得た少年グループが、リード・シンガーの声変わりを経て青年になり、大人になっていく過程で、どうやって世の中に自分たちの存在価値をアピールしていくか、その手本を示した先駆者でもあった。実際、兄弟グループではないがニュー・エディションやニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、イマチュアなどが似たような成長を遂げたことは有名な話だろう。そしてもちろん、ジャクソンズに同時代的な影響や刺激を受けたような兄弟グループも70年代後半から80年代にかけて登場している。ジャクソン兄弟の古巣でもあるモータウンから作品を出したデバージやラヴスミスといったヴォーカル・グループ、ジャクソン兄弟同様にキッズ・グループから(メンバーを入れ替えて)セルフ・コンテインド・バンドへと成長を遂げたインヴィジブル・マンズ・バンド、またファンク寄りではあるもののウィルソン3兄弟からなるギャップ・バンドなどなど。直接的にジャクソン兄弟の音楽スタイルを受け継いだわけではないにせよ、その影響は随所に感じられるし、ソウル/R&Bのグループでジャクソン兄弟に影響されていない者など、いるわけがないのだ。

 NYハーレムにあるアポロ・シアターの前でMJの死を悼む人々の光景は、MJをはじめとするジャクソン兄弟の音楽が黒人コミュニティーに根差したものであったことを改めて伝えてくれた。いや、そんな光景を目にしなくても、ジャクソンズを含む秀作の数々に耳を傾ければ、MJがスキャンダルにまみれただけのポップスターでなかったことはよくわかるはずなのだ。Forever, Michael.