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第109回 ─ TOWER RECORDS 30th Anniversary SPECIAL! “FACE THE MUSIC!” @ 新木場STUDIO COAST 2009年10月24日(土)

第109回 ─ TOWER RECORDS 30th Anniversary SPECIAL! “FACE THE MUSIC!” @ 新木場STUDIO COAST 2009年10月24日(土)(2)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2009/11/04   18:00
テキスト
文/鬼頭隆生、土田真弓

■16:40
knotlamp @ 2nd STAGE

  ステージ背後の壁全体が真ん中から両開きになり、赤いバックライトに4人のシルエットが照らし出された瞬間に、オーディンエンスがドッと前方へ押し寄せる。テント内は満員御礼の状態だ。

 「楽しくやっていこうぜ!!」――ヴォーカルのKEITが放ったひと言でフロアはいきなり炎上し、猛スピードで刻まれるギター・リフに負けじとダイヴが続出。さらに、ここにいる全員が歌ってるんじゃないか!?……というほどの大合唱で……テントが震えている!?

  観客の〈Oi〉コールで始まった“LAST TRAIN –新しい朝-”では、「お前らそんなもんなのかーーー!?」というKEITの凄まじい煽りで、ただでさえモッシュ天国(地獄?)となっているフロアがこらえきれずに大爆発! KEITが後方に引けばギター&ベースの2人がサイドからスッと前方に出て、マッチョなプレイで観客の頭上に強力な熱風を吹き込んでくる。


  「(〈2nd STAGE〉なので)ちょっと場所が違うけど、今日、生まれて初めて新木場STUDIO COASTという会場でライヴをやっています! どうもありがとう! 今日、こっちに新しい――〈ネオ新木場STUDIO COAST〉を建設して帰ろうと思うけん、いつか、ここがテントでなく本物(の建物)になるように……あの箱は必要だと思われるようになるぐらいにやるけん、よろしく!」

 ――そんなKEITの決意表明に対して口々に同意するオーディエンス。その後も「今日はダイヴ祭りじゃねえか!? ダイヴ祭りだろ!?」とフロアを焚き付けるKEITとそれに応える観客たち、そして会場のシンガロングに何度も場を預けるメンバー4人……と、両者の間には揺るぎない信頼関係が見えて、非常に感動的だった。その場の全員で得た一体感としては、この日の〈2nd STAGE〉でいちばんだったと思う。*土田

knotlamp セットリスト
1. ずっと何処かに
2. LAST TRAIN -新しい朝-
3. Perfect Holiday
4. What should I do?
5. All may not be real
6. A Star Tribe

■16:50
TRICERATOPS @ 1st STAGE

  凝った演出は特になく、ぶらりと現れたTRICERATOPS。改めて生の演奏を聴き、3ピースのお手本とも言うべきバランスの良さを再確認した。リズム隊はパワフルかつ抜群の安定感を持ち、その上でキャッチーなメロディーと、巧みなコーラスが手を取り合って踊っている。この楽しさこそがトライセラ!

  MCで和田唱はタワレコのタオルで汗を拭きつつ「俺たち、初音源はタワレコの〈bounce records〉から出してたんです! 今日は呼んでもらえて嬉しい!」と挨拶。そして、ここで初めて『NO MUSIC, NO LIFE. SONGS』のリリースを発表! お客さんの大歓声に、タワレコ・スタッフも大喜びだったとか……。そこに提供した新曲“爆音Time”から、“GOING TO THE MOON”“Raspberry”と名曲の連打にSTUDIO COASTが大揺れ! 最後に3人が肩を組み、お辞儀をする姿に、デビュー当時から変わらない彼らの絆を感じた。そういえば、曲ごとにSGやテレキャスター、ムスタングと、嬉しそうにギターを換える和田の姿に、バンド少年の面影も窺えたな……。彼らはその〈変わらなさ〉が本当に頼もしいのだ。*鬼頭

TRICERATOPS セットリスト
1. FUTURE FOLDER
2. Groove Walk
3. I GO WILD
4. MILK&SUGAR
5. 爆音Time
6. Going To The Moon
7. Raspberry

■17:40
UNISON SQUARE GARDEN @ 2nd STAGE


  スマートなヴィジュアルに騙される人が多くいるであろうUNISON SQUARE GARDEN。この日、初めて彼らのパフォーマンスを体験した筆者もそのなかのひとりだったわけだが、一見涼やかな彼らの豹変ぶりに1曲目から度肝を抜かれた。

 〈どれだけ動けば気が済むのか!?〉とツッコミを入れたくなるほどにひとりライオット状態のベーシスト・田淵智也、立ち位置は動かずとも全身を揺らしてギターを弾き、透明感がある声で弾丸のように言葉を叩き付ける斎藤宏介、原始的なパワー・ドラムを見せ付ける鈴木貴雄――〈アグレッシヴってどんな意味?〉と訊かれたら、いま、このステージ上で起こっている有り様がまさにそれだ。

 「タワーレコード30周年本当におめでとうございます! この素晴らしいイヴェントを僕は僕なりに楽しもうと思っています。皆さんも皆さんなりに楽しんでください」

  ……と、斎藤が祝辞を述べたほかは、ほとんどMCなしで突っ走るステージング。キメが多い楽曲を平然とやってのけるほどに3人の息もピッタリで、彼らが放出する熱はフロアの温度を確実に上昇させ、オーディエンスのエキサイトぶりに拍車をかけていた。〈断固として全力を使い切る!〉といった(←イメージだが)気迫のプレイが強烈に胸に刻まれた30分だった。*土田

UNISON SQUARE GARDEN セットリスト
1. カラクリカルカレ
2. ガリレオのショーケース
3. 5分後のスターダスト
4. ライドオンタイム
5. フルカラープログラム
6. マスターボリューム

■18:00
the pillows @ 1st STAGE

  TRICERATOPSの終了直後、ステージ前にお客さんが殺到! 客席が満員電車状態のなか、司会・増子直純が再登場。「次のバンドは完全に戦闘態勢だよ! もう鎧と兜も身に着けてるからな!」という、よくわからない煽りでさらに盛り上がるなか、the pillowsが姿を現した!

  早速“ノンフィクション”でライヴをスタート……と思いきや、曲の途中で音がピタッと止まる。静寂のなか、山中さわおが「the pillowsです」と挨拶、その刹那に演奏再開! これにはワクワクした! 山中は身軽にステップを踏みながら、ガシガシとリフを刻んで声を張り上げる。矢継ぎ早に繰り出されるソリッドなポップンロールに、お客さんは満面の笑顔と、突き上げた無数の拳で応えていた。MCでは山中が「タワレコ30周年おめでとう。the pillowsは20周年、怒髪天は25周年。それを祝って、この曲をカヴァーします」と言い、怒髪天の“小さな約束”を披露! 思わぬプレゼントとなった(特に怒髪天に)。その後も“雨上がりに見た幻”“POISON ROCK'N'ROLL”などで会場は終始大揺れ! 貫禄のステージだった。*鬼頭

the pillows セットリスト
1. ノンフィクション
2. YOUR ORDER
3. I think I can
4. Lemon Drops
5. メロディー
6. 小さな約束
7. I know you
8. 雨上がりに見た幻
9. サード アイ
10. POISON ROCK'N'ROLL

■18:40
毛皮のマリーズ @ 2nd STAGE


  定番のSE〈愛の讃歌〉が響き渡ると一瞬フロア全体が静まり返り、トリを務める4人が登場した途端、反動のように大歓声が巻き起こった。〈ロックをやってる人〉じゃなかったらいっそ何かが間違ってると言いたいほどにロック・ヴォーカリスト然とした佇まいでステージ上を徘徊する志磨遼平の存在感と、爆音でテント内をグワングワンと廻る真性ガレージ・ロックに初っ端からもう、昂揚感が抑えられない。

 「〈STUDIO COAST〉はすごく大きいところだと聞いたので、俺たちをトリにするべきだと言ったら……俺たちはいろんなところでトリをやってるので、毛皮のマリーズをトリにすれば上手くいくというジンクスがあります。だからトリにしたほうがいいですよと言ったら、ちょっと、予想外の展開に……」

  ……という志磨の告白に、フロアからは大喝采! 〈1st STAGE〉のトリを差し置いて集結したオーディエンスらしく、狂騒を楽しもうという空気が観客側にも漲っている。“MAYBE”といったバラードを挟みつつも、凄まじくラウドなパンク・ナンバーを妖しく放射し続けるセットリストと相まって、会場全体がちょっと異常なテンションに達したままで本編はあっという間に終了した。

 アンコールの予定はなかったはず……と思いながらも待ち続けて数分。鳴り止まないハンドクラップに、ふたたび4人が出現!

  「決まりごとを破ることがロックなら、私たちは〈アンコールをしてはいけない〉という決まりごとを破ってみせよう」――と宣言し、披露したのは“ジャーニー”。志磨はマイクを口にくわえて観客の上を立って歩き回ったり、やはり観客に支えられたまま優雅に寝そべってポーズを取ったりと、前方の人たちはさぞや大変だっただろうと思われる傍若無人のパフォーマンスで最後の最後までグラマラスなロックンローラーぶりを発揮。観客の意識をトバしまくって(顔を見ただけでわかる感じ)、MCで語ったジンクスを見事に証明してみせたのだった。*土田

毛皮のマリーズ セットリスト
1. 恋をこえろ
2. 犬ロック
3. ガンマン生きて帰れ
4. MAYBE
5. ビューティフル
6. 愛する or die
7. REBEL SONG
―アンコール―
8. ジャーニー

■19:10
怒髪天 @ 1st STAGE

  いよいよ大トリを飾るのは怒髪天! 先ほどまでタワレコのエプロンを身に着けていた増子直純は、黄色地に赤字のプリントという派手なシャツで登場! 芝居がかった仕草でリーゼントに櫛を入れ、その櫛を客席に投げ入れると、間髪入れずに“GREAT NUMBER”のギター・リフが炸裂する!

  曲中の〈エイヤーサッサ!〉などのコーラス(合いの手?)では全員が声を上げて、STUDIO COASTが一気にお祭り会場に。すでに増子は顔を真っ赤にして絶唱し、バンドは鉄壁のサウンドで畳み掛ける。まさに絶好調!という感で序盤を駆け抜けて、増子のMCが始まった。「このシャツ、いやらしいでしょ。でも、今日はこれ以外になかった」「ピロウズには良い曲がたくさんあるけど、小さなナントカ? あれは特に良いね!」とおどけつつ「山中くんからのリクエストで作った曲です」とラヴソング“武蔵野流星号”を演奏。

  以降は一気呵成のアッパー・チューンを連射! パンキッシュな“NO MUSIC, NO LIFE.”では〈音楽のない人生なんて、お前らのいない新木場みたい!〉なんて替え歌もシャレが利いていた。酒好きのアンセム“酒燃料爆進曲”で演奏は終わったが、鳴りやまぬアンコールにバンドが再登場。増子が「30周年おめでとう!」と祝辞を述べ、尋常じゃない熱さで“サスパズレ”を演奏。そして増子が「俺たちこそ〈NO MUSIC, NO LIFE.〉だ! 音楽ですべてを肯定してるんだよ!」と叫び、なんと背中から客席にダイヴ!! その勇姿、しかと心に焼き付けた! *鬼頭

怒髪天 セットリスト
1. GREAT NUMBER
2. 労働CALLING
3. ロクデナシ
4. 武蔵野流星号
5. 宿六小唄
6. ドンマイ・ビート
7. NO MUSIC, NO LIFE.
8. 酒燃料爆進曲
―アンコール―
9. サスパズレ

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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