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第45回――テディよ永遠に

ESSENTIALS 伝説にならない名作たち――(1)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/06/05   23:30
更新
2010/06/05   23:32
ソース
bounce 320号 (2010年4月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次、林 剛

 

HAROLD MELVIN & THE BLUE NOTES 『Harold Melvin & The Blue Notes』 Philadelphia International(1972)

幕開けの“I Miss You”から心を掴まれるファースト・アルバム。だが、内山田洋とクールファイブを例に挙げるまでもなく、早くもハロルドって誰?状態な感じで、テディの際立った熱唱がグループの勢いを牽引しているのはあきらか。作りは“If You Don't Know Me By Now”などのバラードづくし。持ち前の野性味はまだタキシードの下に隠されていた。*出嶌

HAROLD MELVIN & THE BLUE NOTES 『Black & Blue』 Philadelphia International(1973)

キャバレーなどで活動をこなしてきたブルー・ノーツらしく、ミュージカル名曲でスウィンギンに幕を開ける2作目。スロウ・バラードのみだった前作に対し、ここでは“The Love I Lost”のようなフィリー・ダンサーが加わり、テディのダイナミックなヴォーカルがアップでも映えることを証明してみせている。“Satisfaction Guaranteed”の何と男臭いことよ! *林

HAROLD MELVIN & THE BLUE NOTES 『Wake Up Everybody』 Philadelphia International(1975)

現代もその効力を失わない意識高揚ソング(表題曲)の収録でお馴染みの、ブルー・ノーツのPIR最終作。テディの歌の豪快さはやや後退しているものの、レア・グルーヴ文脈で支持される“You Know How To Make Me Feel So Good”などエレガントなミディアムが揃う。後にテルマ・ヒューストン版で大ヒットする“Don't Leave Me This Way”の原曲もここに。*林

TEDDY PENDERGRASS 『Teddy Pendergrass』 Philadelphia International(1977)

グループでのイメージを少し残したソロ・デビュー作。ファンキーかつポジティヴな“You Can't Hide From Yourself”で押しの歌唱を聴かせる姿は同胞を鼓舞する兄貴といった感じか。ジャヒームがネタ使いした“Somebody Told Me”や小洒落た“Be Sure”などの劇的な佳曲群もセクシー度はまだ低め。ジャジーなスロウ“And If I Had”などの名曲も入った、極めて紳士的な70年代ソウルの名盤だ。*出嶌

TEDDY PENDERGRASS 『Life Is A Song Worth Singing』 Philadelphia International(1978)

先にジョニー・マティスが歌っていたトム・ベル&リンダ・クリード作のナンバーを表題曲としたソロ2作目。“Only You”のようなエネルギッシュなアップと“Cold,Cold World”などの優雅なミディアムをバランス良く配し、前作以上にソロ・シンガーとしての顔が見える作品となった。もちろん白眉は求愛ソングの“Close The Door”。これで進むべき道は決まった。*林

TEDDY PENDERGRASS 『Teddy』 Philadelphia International/ソニー(1979)

ジャケから中身の構成まで、本人やレーベルが狙ったイメージにもっとも近いアルバムじゃないか。マーヴィン・ゲイ風の切々とした歌い出しから徐々に息が荒くなっていく感じの“Come Go With Me”でスタートし、性愛スロウの“Turn Off The Lights”で……マーヴィンの妻ジャニスもこうやって寝取られたのか(失礼)。余裕を漂わせた艶のある名唱が満載された、ある種のコンセプト・アルバムだ。*出嶌

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