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プライオリティ

ディスクガイド―(1)

連載
Discographic
公開
2010/06/17   16:40
更新
2010/06/17   16:49
ソース
bounce 320号 (2010年4月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/出嶌孝次、升本 徹

 

N.W.A 『Straight Outta Compton』 Ruthless(1988)

レーベル運営だけをやるつもりだったイージー・Eを中心に、エレクトロ界の人気者アラビアン・プリンス、人気DJのドクター・ドレー、リリシストのアイス・キューブという4人が集結した、当時のLAにおけるスーパーグループ。この初のアルバムを出す頃にはMCレンとイェラも加入し、各々のキャラを立てる曲構成の巧さ、キューブの妄想力が炸裂した“Fuck The Police”などのセンセーショナルなリリック、劇画的で性急なドレーのビート……と、楽曲もジャケも含めてすべての要素が互いを引き立てることに。プライオリティがヒップホップに味をしめる(?)決定打にもなった。減員をプラスに転化した次作『Niggaz4life』も金字塔だ。*出嶌

EAZY-E 『Eazy-Duz-It』 Ruthless(1988)

いちばんチビがいちばんヤバイというチンピラ幻想を掻き立てる佇まいで登場した、NWAのリーダーの初ソロ作。半端なリアル信仰を嘲笑うかの如く キューブらに完成度の高いリリックを書かせ、素っ頓狂な声でひたすらにキャラを押し出してくるカッコ良さはまさに名優。大傑作だ。*出嶌

EPMD 『Strictly Business』 (1989)

プライオリティはフレッシュ/スリーピング・バッグの配給先としても有名で、EPMDの初作もここから発信。東海岸きってのファンクネスを誇るコン ビであり、クール&ザ・ギャングやザップなどを用いたサンプリング・センスも西海岸サウンドに通じるため違和感はなかったはず。*升本

GETO BOYS 『We Can't Be Stopped』 Rap-A-Lot(1991)

南部最強の老舗レーベル、ラップ・ア・ロットも一時期はプライオリティの元へ。その効果か、本作からはゲトー・ボーイズ最大のヒットとなった “Mind Playing Tricks On Me”を生み、後のスカーフェイスをはじめとしたソロ・ワークスも次々と成功していくことに。*升本

ICE CUBE 『Death Certificate』 (1991)

NWA時代に続き、ソロとしてのキャリアもプライオリティからスタートさせたアイス・キューブは、90年代の同レーベルを代表するアーティストのひ とりで、自身のレーベルであるレンチ・モブ作品も一部は同所からリリースしていた。このソロ2作目は〈生と死〉をテーマにしたコンセプチュアルな作品とし て高く評価され、以降は単なるギャングスタ・ラッパーではなくリリシストとして一目置かれることに。サウンド的にはボム・スクワッドと組んだ前作に比べ、 ファンク系の大胆なネタ使いでグッと西海岸寄りのヘヴィーなものへシフト。古巣NWAと揉めていた時期ということもあって、“No Vaseline”などでは徹底的にディスしている。*升本

MC REN 『Kizz My Black Azz』 Ruthless(1992)

NWA作品でも“If It Ain't Ruff”など印象的な単独曲を聴かせていたレンが、満を持してソロ・デビュー。ミニ・アルバムながらもボブキャットの鋭いビートに乗せて持ち味を発揮している。本作のプラチナム・ヒットを最後にルースレスはプライオリティを離れてメジャー契約へ。*出嶌

SEAGRAM 『Reality Check』 Rap-A-Lot(1992)

96年に惜しくも他界したオークランドの忘れがたきラッパー、シーグラムのアルバムもプライオリティ発。アイズレー・ブラザーズをサンプルした“Birth”やテディ・ペンダーグラスを使った“The Old School”など、G好きにはタマラン良曲ぞろいの超名盤! *升本

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