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リクエスト・ライブラリー

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公開
2010/08/18   19:04
更新
2010/08/19   17:33
ソース
intoxicate vol.86 (2010年6月20日発行)
テキスト
text:吉川明利(タワーレコード本社)

全ハリウッドメジャーにリクエストを!

長年、待ち焦がれていた名作『シベールの日曜日』が紀伊國屋書店から発売です。クラシック名画ファンなら紀伊國屋レーベルから何が発売となるか、毎月チェックしていることでしょう。それだけこの会社は何がDVDになっていないかの、マーケットにおける俯瞰と発売要望のリサーチが出来ているのです。よって改めてアンケートをとってリクエストを募ることもないんだろうなぁ、と勝手に思っています。一方、20世紀FOXはアンケートにおける発売希望の数を基準とし「リクエストライブラリー」と称し50年代から70年代の秀作、佳作を第2弾として発売してくれました。では、第3弾はあるのでしょうか?なんとか頑張って発売にこぎつけて欲しいと思います。でも、それ以上に他のハリウッドメジャーの会社はどうなんだ、と思いませんか?

映像業界のある人が嘆いていました。「俺、『くちづけ』って映画大好きなんだよ、まだあのライザ・ミネリが“リザ”って呼ばれていた若い頃の青春映画!DVDにしてくれないかなぁ」。私の記憶が正しければ、この『くちづけ』の権利はパラマウントにありますよね。発売に至らない事情として著作権問題などがあることは充分承知していますが、問題はこうした声がきちんとメーカーに届いているかということですね。多分「発売希望!」と声をあげるとメーカーはすぐにこう言うでしょう。「何枚売れますかね?」と。その瞬間に作品名は消え、売上金額がいくら稼げるかのモノと化すのです。よって希望作品の認知がメーカー内に定着しないのですね。どんだけ1人で騒いでも、1人の発売希望は1枚の販売でしかないです。だから大切なのは同じくそのタイトルの発売を希望する人が、日本国内で何人にいるか予測することですよね。でもそれもメーカーの大切なお仕事でしょう。

実は、とある大手の洋画メーカーがある一定の数量がクリア出来れば(真実は販売数が確約できれば)希望作品をDVD化いたしますよ、という動きをしている。アメリカなどすでにユーザー単位での受注生産が始まっていると聞く。ワーナーブラザースだったら『ピラミッド』『翼よ!あれが巴里の灯だ』『スター誕生!』(バーブラ版)『カリフォルニア・ドールズ』と一定数クリアが簡単な映画がすぐにでも挙げられる。ユニバーサルには『ジーザス・クライスト・スーパースター』、パラマウントなら『ボルサリーノ』がありますよ。洋画が売れなくなってきてしまっていると嘆いてばかりいられないでしょう。せっかくFOXが切り開いた路をハリウッドメジャー各社がもっと大きくしていく方法がないものか考えて欲しい。例えばFOXの「リクエストライブラリー」はレンタルが発売と同時ではなかったため意欲あるレンタル店の不満を買った発売であったことも事実。それならレンタルと販売の垣根を取っ払って、映像業界全体で何枚の基準値(金額でよいのでしょうか?)さえクリアしたら生産、発売としてくれませんか?もう貸してなんぼ、売ってなんぼの時代ではなくなってきていること、わかっていますよね。