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Sexy Stones

hotspring

連載
360°
公開
2010/10/21   21:58
更新
2010/10/21   21:59
ソース
bounce 325号 (2010年9月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/宮本英夫

 

ロックを知る前の人のきっかけになれたら嬉しい

 

 

バンド名の由来は、彼らの出身地から想像できるそのまんま。大分は別府からやって来た若き4人組は、まさに温泉の如く湧き出る熱いパッションで、70sタイプのヴィンテージ・ロックを嬉々として奏でる純粋な奴らだ。ヴォーカル/ギターのイノクチタカヒロの理想は「72年のストーンズ」だという。なるほど。

「ピンときたのがそのへんなので、いまだにずっと聴いてます。ストーンズ、ラモーンズ、クラッシュ、ザ・フー、日本だとルースターズやRCサクセションとか。メンバーも似たようなのばっかり聴いてるんで、オリジナルも自然とそういうふうになるっていう」(イノクチ、以下同)。

とはいえ、中心メンバーが22~23歳のバンドが出す音がいきなりレトロな音色を帯びるはずもなく、新世代のロックとして自然にヴァージョンアップしてしまっているのがおもしろいところ。ストーンズ風のオーソドックスなリフを使って溌剌としたガレージ感たっぷりの演奏が光る表題曲から始まるEP『ダニエルとメロディ』には、バンドの可能性の大きさがしっかりと凝縮されている。喉にディストーションを埋め込んだように強力なパワーを放つ歌も素晴らしい。

「一発録りで歌もいっしょに録ってあっという間に終わりました。OKラインはみんながカッコイイと思えるかどうか。それがなかったらダメで、それがあれば逆に何でもありって感じ」。

ガツガツとアップテンポの8ビートを刻む“45回転”、シンプルなブルースのコード進行に乗せてフリーキーなギターが吠えるインスト“Night has come”、ライヴ映えしそうな“いかすぜ今夜”。古典的な手法が突然新しいものへとひっくり返る、ロックの歴史に何度もあった不思議な魔法の欠片を、彼らもまた手にしている。この秋には拠点を東京に移すとのことで、今後は各地でもっとライヴを観ることができるだろう。

「中学生ぐらいの人に聴いてほしいですね。ロック好きな人に聴いてもらうのも嬉しいんですけど、ロックを知る前の人にも聴いてほしい。きっかけになれたら嬉しいんで」。