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サンボマスター

連載
360°
公開
2011/05/13   21:35
更新
2011/05/13   21:35
ソース
bounce 330号 (2011年3月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/土屋恵介

 

サンボマスターの〈ぬくもり〉がえし! 究極のベスト・アルバムが登場!

 

 

昨年、結成10周年を迎えたサンボマスター。彼らがこれまでブチかまし続けた〈愛と汗と涙の詰まったロックンロール〉をギュッと凝縮した、初のベスト・アルバム『サンボマスター 究極ベスト』をリリースする。

「よくある、寄せ集め的なベスト盤なんか出したくないじゃないですか。まずは会社の人と値段交渉から始めましたよ(笑)。で、通常盤が2枚組で3150円って普通の1枚分の値段、DVD付きの初回盤が3675円ってのが決定して。そこからはやり放題、中身満載にしてやろうと思いましたね(笑)」(山口隆、ヴォーカル/ギター)。

「CDの収録時間ギリギリまで曲入れて。空き時間があったから〈いける!〉と思って新曲まで録っちゃいました(笑)。もう、出し惜しみなしですよ」(近藤洋一、ベース)。

「初回盤のDVDは2時間あって、PVだけじゃなく、ほとんど未公開のライヴ映像で。しかも副音声解説まで入れましたからね(笑)」(木内泰史、ドラムス)。

CDは全34曲収録、約150分という大ヴォリューム。「とにかく、会社の人には0点付けられて、手に取るキッズには100点付けられるもんにしたくてね。ロックンロールの掟に従ったまでですよ(笑)」と山口が語るように、リスナー目線で喜べるアイテムを作ってしまった彼らの心意気が痛快。まさに〈究極〉と言えるベスト・アルバムは「リリース順に曲を並べるんじゃなく、Disc-1には親しみのある曲を入れて、Disc-2は未発表音源も入った、よりディープに楽しめるものにした」(山口)という、彼らの歴史がまるわかりの作品だ。そのなかから、3人が特に印象深いと思う曲を挙げてもらった。

「僕は“熱中時代”です。“美しき人間の日々”のカップリング曲で、人気もあったけど、いままでアルバムに入ってなくてね。でも今回ベストに入ったので、これを機会にライヴでバシッとやりたいですね」(山口)。

「オレは、Disc-2のラストに入れた“あなたといきたい”のライヴ・ヴァージョン。2007年のZEPP TOKYOでのテイクなんですけど、始まりの山ちゃんの弾き語りを、お客さんがいっしょに歌ってくれてるんですよ。この曲をいつかライヴのラストにやりたいと思ってて、それがCDでやれてよかったです」(木内)。

「僕は“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”ですね。ライヴで毎回やってるけど、久々にスタジオ・テイクを聴き直したら新鮮で。まあとにかく、全曲いいですよ(笑)」(近藤)。

気持ちを込めた〈究極ベスト〉の制作を通じて、これまでの楽曲を振り返った彼ら。そこから、改めて学ぶことや感じることも多かったそうだ。

「もうね、“美しき人間の日々”で思いっきしミスってるとこが入ってて、メチャ感動したんです。これを直さず入れてるんだ、コイツらはって(笑)。その振り切ってる感じが誇らしかったですね(笑)」(山口)。

デビューから現在も、彼らはワンテイク一発録りの〈直さない〉レコーディングを行っている。それだけ気合いの入る録音を貫き続けるのも、並大抵のことではない。

「でも、そうしてきて良かったと思いましたね。やっぱり、音の迫力が違うんですよ。パソコンの波形で見ても全然違う。レコーディングの最大の敵は弱気なんです。ライヴがカッコ良くなるためにも、レコーディングはカッコよくやるべきだと思うんです。あと、ギターでも〈もっとイイ音にしよう〉ってある程度を行きすぎると害になるし、スタイルだけでやると、その時点から過去のものになっちゃう。でもね、マインドでやると、ジャンルに限らず音楽は進化していくと思ってるんです。どうしても人様が知ってくれるとスタイルって出来上がっちゃうけど、それをブッ壊したいと思ってましたからね、ずーっと。それをこの10年やれたのが良かったな」(山口)。

リリース後は〈究極ベストツアー〉も行い、ライヴハウスだけでなく、初の東京・C.C.Lemonホールでのライヴも決定。「これだけ収録曲あるから、場所によってやる曲も違う」(近藤)というツアーはかなり楽しみだ。結成から10年経とうが、ひたすら全力で走り続けるサンボマスター。最後に、渾身の〈究極ベスト〉を聴いてくれる人へのメッセージを聞いてみよう。

「作ってて気持ち良かったです。ホームランか三振かわからないけど、振り切った感じがよかった。それがヒップなことだと思ってるんですよ。コイツらやりやがったな!ってもんを感じてもらえたらうれしいです」(山口)。

「〈究極〉という名に恥じないものですね。もっと曲入れてくれと言われても、もう入らないですから(笑)。過去の作品を持ってる人が買ってくれても、絶対損のない内容だと思うので、ぜひタワーレコードで買ってください!」(近藤)。

「作ってく過程で、どんどんすごいものになっていくのが気持ち良かったですね。会社の人も途中から振り切れて、新しいアルバムを作るんだってくらい、オレらの考えに乗ってくれて。ほんと、中身もすごいもんになったし、1人でも多くの人に届いてほしいなと思ってます!」(木内)。

 

▼サンボマスターの作品を紹介。

左から、2003年作『新しき日本語ロックの道と光』、2005年作『サンボマスターは君に語りかける』、2006年作『僕と君の全てをロックンロールと呼べ』、2008年作『音楽の子供はみな歌う』、2010年作『きみのためにつよくなりたい』(すべてソニー)