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KAM

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NEW OPUSコラム
公開
2011/07/08   19:52
更新
2011/07/08   20:32
ソース
bounce 332号(2011年5月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


うずまきの向こうから帰ってきた、あの歌姫を中心とするトリオが2タイトルを同時リリース!



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Sugar Soul、10年ぶりの降臨……ではない。少し前の倖田來未“今すぐ欲しい”やMay J.の“Garden”といったカヴァーがその復活を夢想させてきたのも事実だ。とはいえ、昨年の配信シングル“When The Sun Goes Down”で姿を現し、〈サマソニ〉出演などで話題を撒いたKAMは、アイコSUNと朝本浩文、MC CARDZのトリオである。もちろんSugar Soulとして絶大な人気を誇ったアイコSUNの前線復帰がトピックなのは間違いないが、近年はDR. ECHO-LOGIC名義で活動する朝本の研ぎすまされた重低音と、DJ YUIやGeetekらと音源を残してきたCARDZの頼もしいヴァイブスは、驚くほど変わらない彼女のシャーマニックな歌唱の神秘性をフレッシュに増幅してくれている。

始動から1年を経て届いた初のCD作品は『SPIRITUAL』と『MATERIAL』の2タイトル。駆動輪となるのはいずれも強靭なドラムンベースで、聴き心地の部分だけでいえば、前者にはアートコア風味のソウルフルなトラックやアトモスフェリック系が、『MATERIAL』にはジャンプアップからジャングル、ダブステップが……と強引に大別することもできそうだ。ただ、〈祝祭〉という言葉のなかに内包される崇高な精神性と下世話な享楽性を封入された両者は、背中合わせでひとつのパーティー・ヴァイブを表現しているわけで、どっちから聴いてもその格好良さは共通している。そして、その隔てのなさを3人の個性が証明しているのは言うまでもない。最高のKAMバック、じゃなくこれはKAMの新たなCOMEなのである。



▼文中に登場した作品。
左から、KAMのミニ・アルバム『SPIRITUAL』(ユニバーサル)、KAMのミニ・アルバム『MATERIAL』(ユニバーサル)