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felicity

ディスクガイド(2)

連載
Discographic
公開
2011/08/10   18:00
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
文/金子厚武、土田真弓、宮内 健

 

PLASTICZOOMS 『CHARM』 (2009)

耽美で攻撃的な〈暗黒の波〉が渦巻く初作は、2曲をレーベルの先輩・カジヒデキがプロデュース。4AD作品を想起させるジャケをはじめとしたアートワーク、ゴシックなファッション、ポジティヴ・パンク~インダストリアルなノイズまみれのサウンド、すべてに独自の美学が貫かれている。*土田

 

YOLZ IN THE SKY 『IONIZATION』 (2009)

無機質なハンマー・ビートと無軌道な金切りヴォイスで不穏極まりないダンス・グルーヴを巻き起こす新世代バンドも、2作目はfelicityから。クラウト・ロック×ポスト・パンクな戦慄のダークウェイヴ・サウンドを突き詰めた本作後、ベーシストが脱退。現在はトリオでミニマル道を驀進中。*土田

 

LOVES. 『JM』 (2010)

トラットリアからも作品を発表していた元SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERの日暮愛葉が、ソロ活動と並行して2005年に元downyの秋山隆彦らと結成したスーパー・バンドの3作目。前年にfelicityから出したアコースティックなソロ作『perfect days』から一転して、愛葉の持つノーウェイヴやパンク的な志向性を、秋山や中尾憲太郎、岩谷啓士郎といった手練のメンバーが高い力量を以って再現するというLOVES.ならではの魅力は全開。本作を最後にバンドは活動を休止し、愛葉は新たにTHE GIRLを結成している。なお、愛葉絡みのfelicity作品としては、SEAGULLのDVDやキュレーターを務めたコンピ『Kill your T.V. meets felicity ep』もあり。*金子

▼文中に登場した作品を紹介

日暮愛葉の2009年作『perfect days』(felicity)

 

当真伊都子 『dreamtime』 (2010)

高木正勝の『rehome』(2003年)で披露した儚い美声によって脚光を浴びた彼女は、同作と同じfelicityからソロ・デビュー。ポスト・クラシカルなピアノの弾き語りを自宅録音したという本作を聴いていると、歌と鍵盤の密やかな会話に耳をそば立てているような気持ちになる。*土田

 

NAOITO 『雑食familia』 (2010)

HIFANAらを擁するプロデュース・チーム=GROUNDRIDDIMとのタッグで登場した、KINGDOM★AFROCKSのメンバーの初ソロ作。旅して出会った世界中の土着音楽が、日本の歌謡曲が本来持っている雑食性をもって有機的に結び付くことで生まれた、どこにもないフォークロアな歌。*宮内

 

七尾旅人 『billion voices』 (2010)

2009年を代表するアンセムとなった“Rollin' Rollin'”のヒットや〈百人組手〉と銘打った即興シリーズなどを経て、満を持して発表された2010年作。万華鏡のように変化するサウンドのなかで貫かれる、七尾旅人流のポップイズムが眩しい。felicityの新たな方向性も決定づけた一枚。*宮内