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BO NINGENのサイケデリック見世物小屋(第4回)

連載
皿えもん
公開
2011/10/20   21:30
更新
2011/10/20   21:30
テキスト
文/Kohhei(BO NINGEN)

アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! 海外では日本の音楽がどう捉えられているのかを、イギリス在住のBO NINGENの視点でお届けします。今月の担当は、ギターのKohhei!!

 

boningen4-4

 

[ 今月の一枚 ] YOLZ IN THE SKY 『IONIZATION』 felicity

 

BO NINGENの各メンバーによる当連載、今回の僕で1周目が終わるのですが、
音の隙間からどろっとした情念がこぼれ落ちるような流れになっているので
(特に前回がかなりの迫力だったので)、
ここはあえてその流れを切断し、
先輩ですが同時代の、そして最新型の音楽を。

ドラムは乾いた音で持続的なパターンを叩き出すいわゆるハンマー・ビートで、
ノイ!やゼロ・セットなどのジャーマン・ロック勢からの影響を感じさせるし、
激情を冷たい質感の音像に落とし込んだ空気——バンドTシャツに書かれた〈BREMSSTRAHLUNG〉という語がマジに言い得て妙なので、
気になる方は調べてみてください——は、
テレヴィジョン~ソニック・ユースに通じるところがあったり、
特徴的なハイトーン・ヴォイスなど、
部分ごとの既聴感を指摘するのは簡単なんですが、
それが全体になった時、未聴/既聴感が対立せずに同時に存在している。

そうであったかもしれない歴史の突端にある、音楽。
例えば、ノイ!とソニック・ユースとテレヴィジョンが同時代に、
同じ場所で活動していたという歴史があったとして、その時代のいちばんヤバい音。
まあ、実際の影響関係はわからないので、ここに挙げたバンドは僕側のリファレンスですが。

海外盤は出ていないようですが、僕たちのいるロンドンに限って言えば、
彼らがここにいたとすれば、音楽通からパーティー・アニマルからファッショニスタから絵描きまで、
多ジャンルの人々の絶大な支持を得ることは火を見るよりあきらかですね。

クラウト・ロック専門のクラブナイトがあったり、
国営放送でジャーマン・ロックのドキュメンタリーをやったり、
ファクトリー・フロアってバンドが持ち上げられてたり、
10代の子らがシルヴァー・アップルズやカンなんかでグッとあがる状況が数年前から続いているので、
真打ちでしょう。
トランサムやサイキック・パラマウントなんかといっしょにヨーロッパに来てほしいですね。

いろいろ書きましたが僕は本当に単なるファンなので、ただこの音楽を、皆に聴いてほしい。
2009年の作品なのでゼロ年代の終わりと取るか、
2010年代の嚆矢と取るかは人それぞれですが、この作品もすでに2年前。

現在はメンバー編成も変わっているようなので、次のアクションに期待しています。


▼文中に登場した作品

 

 

PROFILE/BO NINGEN

Taigen(ヴォーカル/ベース)、Kohhei(ギター/エコー/ファズ)、Yuki(ギター/エコー/ファズ)、Mon-chan(ドラムス/ポールダンス)から成る、ロンドン在住の日本人男性4人組バンド。2009年、UKのストールンから限定EP『Koroshitai Kimochi』でデビューし、2010年11月にはファースト・アルバム『Bo Ningen』(Stolen/Knew Noise)を発表。現在は欧州を中心にライヴ活動中で、10月26日には7インチ・シングル『Henkan/Jinsei Ichido Kiri』のレコ発イヴェントでファクトリー・フロアとの対バンも! そんな彼らのスケジュールについては、こちらのサイトをご覧ください。

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