モントルー・ジャズ・フェスの歴史を彩る圧倒的な存在感！
ジャズ・ファンだったら一度は行ってみたいスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァル。マイルス・デイヴィスはその生涯の中で計10回の公演を行い、 その威圧的ともいえるオーラを発したステージは今や伝説となっている。その模様を音源化したコンプリートのCD20枚組のボックス・セットが2002年に リリースされ、話題になったが今回リリースのDVDボックスはその映像版ともいえるもの（収録曲等CDボックスとは異なる部分あり）。
初登場の73年の27分以上に渡るパフォーマンスである《Ife》は、マイルスの70年代の映像としても貴重なものであり、ピート・コージー、エムトゥー メイ、マイケル・ヘンダーソンの演奏する姿も見ごたえ十分であり、またちょっとサイケでダークな時代を反映したサウンドの洪水が圧巻だ。この後、11年後 の84年になるまでは一度も出演しておらず、それゆえジョン・スコフィールド、ダリル・ジョーンズ、ロバート・アーヴィングⅢら80年代半ばのマイルス・ バンドの様相も注目に値し、ロック的なアプローチやドラムスがアル・フォスターからヴィンス・ウィルバーンに移り行く様も見てとれる。86年にはギターに ロベン・フォード、キーボードにアダム・ホルツマンを加えたバンドにデヴィッド・サンボーンが参加した《ジャン・ピエール》など夢のようなセッション実現 の瞬間も見られる。88年にはパーカッションのマリリン・マズールの驚異的なプレイがこの時代のマイルス・バンドの別の一面を見せているのが興味深い。ケ ニー・ギャレットやフォーリーらが参加した晩年のバンドのステージなどもたっぷり盛り込まれながら、亡くなる2ヶ月前の91年7月のクインシー・ジョーン ズとのコラボでクインシーの指揮の下、ギル・エヴァンス・オーケストラ、ジョルジュ・グルンツ・コンサート・ジャズ・バンドと共演した一大プロジェクトの 模様も収録。
