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『オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン』

カテゴリ
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公開
2012/02/23   13:44
ソース
intoxicate vol.96(2012年2月20日発行号)
テキスト
text:東端哲也

ミュージカル界に燦然と輝く最高傑作の歴史的祭典をお家で…
〈この夜の調べ〉に何度も耳を傾けて。

昨年の秋頃からTwitter上で「映画館で観た『オペラ座の怪人』が凄かった!」みたいな、つぶやきを何度か目にして「はて? 何を今さら」と思っていたら、後日、それはジョエル・シュマッカー監督による2004年版映画(ジェラルド・バトラー主演)のことなどではなく、初演から25周年を迎えた2011年にロンドンで行われた特別公演の模様を、最新のデジタル映像で臨場感たっぷりに上映したものだと知った。『BBCプロムス』の会場としても知られるロンドンの名門、ロイヤル・アルバート・ホールで10月1日と2日、計3回の公演のためだけに製作されたというこのステージ。トータルで15,000人分のチケットは発売後わずか5時間で完売。英国内250カ所を含む世界各国の1,100スクリーンで衛星生中継された一大イヴェントだったとか。そんな『オペラ座の怪人』史上、最も豪華で最も感動を呼んだ、とも言われる夢の祭典が、今回ブルーレイ&DVDで発売された。

先の映画版でも使用された2万個のスワロフスキー・クリスタルのシャンデリアが登場する冒頭のシーンからして圧巻。きらびやかな装飾を施され、高所に設置されたオーケストラピットから重厚なサウンドが降り注ぐ会場は、物語の舞台である19世紀半ばのパリ・オペラ座の世界そのもの。聴衆は目前で繰り広げられる大スペクタクルを、円形劇場全体で超リアルに体感したに違いないことが、テレビの画面を通しても伝わってくる。

主要キャストも記念公演にふさわしい実力派の布陣。ファントム役のラミン・ラリムルーは1978年イラン生まれのカナダ人で、2007年から演じる同役に新しい生命を吹き込んだと高く評価される、現代ミュージカル・シーンのスター。クリスティーヌ役のシエラ・ボーゲスは1982年生まれのアメリカ人で、伸びやかな低音からコロラトゥーラ風の高音までよく弾む、美しい声(と容姿)の持ち主。ふたりは先ごろプロモーションのために来日を果たし、電通四季劇場[海]で開かれた発売記念上映会などで素晴らしい歌声を披露。WOWOWのエンタメ・ニュース番組『ザ・プライムショー』にゲスト出演したのを拝見したが、特に舞台では特殊メイクと仮面で醜い〈ファントム〉になりきっていたラミンが、甘いマスクの超絶イケメン(!)と判明したのが非常に印象的だった。

ふたりとも番組の中で、しきりに25周年記念公演のステージに立てた喜びを口にしていたが、それもそのはず。カーテンコールには作曲家のアンドリュー・ロイド=ウェバー本人が登場し、美術担当の故マリア・ビョルンソンに讃辞を捧げた後、天才プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュ率いる当日のスタッフを紹介。次にオリジナル・ロンドン・カンパニーの面々と初代ファントムを務めたマイケル・クロフォードが現れ、最後にロイド=ウェバーが「私の音楽の天使」と言って(元妻で)初代クリスティーヌのサラ・ブライトマンをステージに。そしてサラがタイトル曲の《THE PHANTOM OF THE OPERA》を歌い出したかと思うと、コルム・ウィルキンソン(カナダ初演キャスト)、アンソニー・ワーロウ(オーストラリア初演キャスト)、ペーテル・ヨーバック(英国次期キャスト)、ジョン・オーウェン・ジョーンズ(英国現キャスト)と4人のファントムが登場し交互にサラとデュエットを繰り広げる展開に。更には4人で《THE MUSIC OF THE NIGHT》を熱唱し、そこにラミンも加わっての大饗宴。サラ、シエラ、マイケルと手を繋いで全員でグランド・フィーナーレに突入する。この永久保存的に貴重なカーテンコール・コンサートだけでも繰り返して観賞する価値があるかもしれない。

もちろん本編には他にも見所いっぱい。例えば英国ロイヤル・バレエのプリンシパル(※先日の衝撃的な退団発表にシーンは騒然だが)セルゲイ・ポルーニンが華麗なダンスを披露しているのもファンは見逃せないはずだ。

なお、2月22日には『オペラ座の怪人』の続篇ミュージカル『ラヴ・ネヴァー・ダイズ』もブルーレイ&DVDで発売が決定。2010年3月にロンドンで初演された本作品も、もちろんアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲。オリジナルはラミンとシエラのコンビが主役を務めていたが、今回の映像はシドニーで上演されたオーストラリア版を収録したもののようで(今後はこれをベースに世界中の舞台が製作されるらしい)、ファントム役のベン・ルイスがかなりの男前なのでご期待を! 気になる物語は前回から10年後、ファントムはNYへと逃れ、コニー・アイランドの巨大遊園地で舞台を経営。そこにラウルと結婚して息子を授かり、今や歌姫となったクリスティーヌが渡米し、運命がふたりを再会させるというもの。随所に『オペラ座の怪人』のメロディが散りばめられ、ファントムの歌う《TILL I HEAR YOU SING》を始めとする感動的なナンバーもたっぷりなので、こちらも買いだ!

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