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【第10回】――tengal6

連載
ZOKKON -candy floss pop suite-
公開
2012/05/23   00:00
更新
2012/05/23   00:00
ソース
bounce 344号(2012年5月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/ピ〜ス!久保田


6本のマイクが繋いだ絆、その恐るべき集大成がついに到着です!!



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6人組の〈ラップ・アイドル〉ユニット、tengal6。100人を超えるオーディション参加者から選ばれた精鋭たちの経歴や志向は当然のようにさまざま……だけど、共通していたのは、こと〈ラップ〉においては全員がシロウトだったということ。

mei「それまでは普通の人間でした(笑)。いまも……皆さんの前ではアイドルって意識をしてるんですけど、基本は普通です」

yumi「いまは美大の映像学科に通ってます。入ってるゼミも音楽寄りで音楽自体に興味はあるんですけど、ヒップホップにはいままであまり触れてなくて」

erika「地元の大阪ではユニットを組んで歌とかダンス、それこそヒップホップ系のダンスもしてたんで、ダンスめっちゃ踊れるんや!ってオーディション受けたら、ラップって聞いて〈え!?〉って(笑)」

ami「全部がラップの曲だと思わなかったんですよ。歌にちょっとだけラップが入ってるみたいな、安室奈美恵さんみたいな、ああいう感じを想像してたんです(笑)」

mariko「地元の鹿児島でちょこちょこ芸能活動をしてて、20歳で上京したんです。アパレルの専門学校に通ってて、そっちの道に行くかなって思ってたんですけど、ご縁があって。オーディションの時は、〈私、受からなくても応援してますんで!〉って、そのぐらいのスタンスでした(笑)」

ayaka「オーディションで提出した書類にはひたすら好きなアイドルのことを書いたんです(笑)。そのぐらいアイドルが好きなので、最初はフリフリの衣装で可愛らしく歌えるんだって勝手に思ってました(笑)」

2010年秋に顔を合わせ、まっさらゆえの気ままな解釈でスキルを磨き上げながら、貪欲にライヴ活動を展開し、他に類を見ない音楽性とキャラクターを光らせてきた6人。昨年夏のデビュー・ミニ・アルバム『まちがう』ではまだまだノリきれてない部分もあったのが、続くシングル“プチャヘンザ!”ではヒップホップのクールネスとラヴリーなアイドル性が見事なバランスでパッケージされていて……ってことで、今回届いた初のフル・アルバム『CITY』は、ホント待ちに待ったという感じなんです!

erika「マジ、いいっす(笑)。『まちがう』を聴いてくれてた人なら〈どないしたん!?〉って思うほど成長してるはず。自分たちでもすごく満足してるし、本当に心から〈めっちゃイイから聴いて!〉って言えるアルバムが出来ました」

mariko「かなり自分らしさを出して歌えるようになったよね」

mei「ホントにひとりひとりの個性が出てる。歌詞にしろ、歌い方にしろ」

ayaka「歌詞にすごく現れてるんですよ。ライヴを観てもらえたら、例えば〈meiちゃんってリリック通りの元気なコなんだ!〉って、わかってもらえるはずです」

mariko「〈ayakaちゃんはやっぱりカワイイ!〉とかね?」

ayaka「うん(笑)」

yumi「アルバムは……聴いてると泣けてきますね」

erika「そう! 出来上がったアルバムをみんなで聴いてる時に号泣しだして(笑)」

mei「最後の“6本のマイク”になった瞬間に顔がくしゃ〜って(笑)」

yumi「レコーディングに半年ぐらいかかってるので、その間にいろいろあったんです。リーダー(erika)がライヴに出られない時期があったり、そういう想い出とかも詰まってるから、思い出しはじめると……」

ami「そもそも“6本のマイク”のリリックを自分たちで書くところからアルバム制作が始まったんです。だから〈ここから始まったんだなあ〉って」

ROMANTIC PRODUCTIONによる煌びやかでキュートなポップンソウル“perfect☆キラリ”、パーカッシヴでアーバンな泉水マサチェリー(WEEKEND)作の“fallin' night”、okadadaのビートに乗るガールズ・トーク風の掛け合いが楽しい“girl's flowers”、“プチャヘンザ!”でtengal6を覚醒させたtofubeatsがクラウディーなキモチを綴ったスロウな逸品“しってる/しらない”、センチなピアノのリフレインにキュンとくる“bye bye”、そして6人それぞれが想いを綴った“6本のマイク”──。上記の面々以外にも、結成時からの付き合いとなる坪光成樹& kakashiRec.、呂布、Fragmentといった気鋭たちが、彼女たちのカジュアルなキャラクターを輝かせ、聴き手をエンジョイさせてくれる『CITY』。ごく日常的なイヴェントを切り取ったリリックをフレンドリーな言葉捌きで繋いでいく楽曲群は、さながら恋愛ざかり遊びざかりのオンナのコをヒロインにしたショート・ムーヴィーのサントラのよう。

erika「たぶん、アルバムを通して全曲聴いてみてこそわかってもらえる魅力があると思うんですよ。そういう意味ではサントラっぽいかもしれませんね」

mariko「普段の生活が飛躍せずに反映されてる感じはありますね」

mei「日常のなかで〈この歌詞が当てはまる!〉って思ったら歌い出しちゃうし」

ayaka「日常会話がラップになっちゃうこともありますね。やってるうちにそうなるんです(笑)」

erika「いやもう、ウチらラッパーなんで(笑)」

mariko「ビート感が染みついちゃって……かっこよく言うとそういう感じです(笑)」

ライヴが楽しくって、レコーディング作品も最高! 当面ライヴァルは現れそうもないな、うんうん。



▼tengal6の作品。

左から、2011年のミニ・アルバム『まちがう』、同年のシングル“プチャヘンザ!”(共にReleaserush)