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インタビュー

餓鬼レンジャー 『Weapon G』



軽薄で無骨な最強のラップ・グラップラーたちが7年ぶりに再起動!! スキルアップした15年目のリップ・サービスは濃厚にして痛快だ!!



餓鬼レンジャー_A

今度の今度は正真正銘、ホントの話。新曲2曲を収めたベスト・アルバム『Weapon G』を引っ提げて、餓鬼レンジャーがついに復活を果たした。2010年には配信限定で“Japanese Chin〜貝より犬より椅子になりたい〜”を発表しているが、本格的な活動は2005年12月の4作目『GO 4 BROKE』のリリース以来、実に7年ぶりになる。

「この7年はラッパーとしてというよりも、ひとりの人間としての自分に向かい合うことができた時間でした。それは社会に出たことや子供ができたことが大きいんですけど、これまで餓鬼レンジャーが避けてきたようなテーマにも目を向けるようになりましたね」(YOSHI、MC)。

「ソロで活動してみて、ひとりでできることはちっちゃいんだなって単純に思いましたね。もちろん自由にいろいろやれるメリットもあるんですけど、餓鬼レンジャーでしかやれないことが自分にとってデカすぎたというか。そういった意味では、餓鬼レンジャーの存在の大きさを痛感した7年でした」(ポチョムキン、MC)。

「久々に餓鬼レンジャーでライヴをやったとき、〈この気持ち良さはなんだろう〉と思ったんですよね。この7年の間にはいろんな仕事をやってきましたけど、きっと餓鬼レンジャーに飢えていたんだと思います。ふたりとも以前よりラップのキレがハンパなくなってることもあって、前のめりで曲を作りたくなる。なんか生まれ変わった感じがしましたね」(GP、DJ/トラックメイカー)。

一昨年より再開したライヴ活動と並行して作りためていった新曲群から今回のベスト盤で公開されたのは、ミクロな怒りを衝動的にぶちまけていく様がバカバカしくもスリリングな“まずは空手チョップ”と、女の子のヒップと生脚への偏愛を延々と綴った“SHORT PANTS”。ルーズなノリがポップに転化していく餓鬼レンジャーのマジック健在を示すこの2曲は、すでに9割方が出来上がっているというニュー・アルバムの予告編でもある。

「良い意味でなにも成長してないですね(笑)。笑顔で〈くだらねぇ〜〉とか〈バカだな〜〉って言ってくれるのが昔からいちばん嬉しかったりするので」(GP)。

「今回の新曲の多くは弱者視点で作ったようなところがあって。でもそれは虐げられている人たちを励ますメッセージとかではなく、このアホなサウンドで日々のストレスやフラストレーションを忘れさせてやるよ!というアプローチ。聴いてる人たちの悩みを吹っ飛ばすようなバカ騒ぎできる曲を作ることが俺たちの役割なんじゃないかなって思ってます」(YOSHI)。

「新曲はライヴをやりながら作っていったので、その影響が強く出てると思います。聴いていて解放感のあるものがいいですよね。どういうふうに作用してほしいかといったら、やっぱり楽しんでほしいしラクになってほしい。そんなに賢いことができるわけではないけど、逆にそこは強みだと思ってます」(ポチョムキン)。

そう遠くない将来に聴けるであろうニュー・アルバムと『Weapon G』に収録されたクラシックの数々が、新しいジャパニーズ・ヒップホップのリスナー、特にPUNPEEやCHERRY BROWNあたりのファンにどう響くのかは本当に楽しみだ。もともと一般的なBボーイ像からは逸脱していたところがあった餓鬼レンジャーにとって、7年前よりずっと多様性に寛容な現在のシーンは格好のプレイグラウンドとなるに違いない。



▼関連盤を紹介。

左から、餓鬼レンジャーが参加した遊助の2012年作『あの・・涙があるから愛があるんですケド。』(ソニー)、ポチョムキンとYOSHIが客演した446の2012年作『446』(Rudebwoy Funk)、ポチョムキンが作詞で参加したtengal6の2012年作『CITY』(BOOTROCK)

 

▼ポチョムキンが客演した近作。

左から、SKY-HI presents FLOATIN' LABの2012年作『FLOATIN' LAB』(BULL MOOSE)、DJ CO-MAの2012年作『NEOFREEDOM』(GREEN NOTE WORKS)、ROO-TIGERの2013年作『真田虫非行ツアー』(Jet City People)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年06月20日 20:15

更新: 2013年06月20日 20:15

ソース: bounce 355号(2013年5月25日発行)

インタヴュー・文/高橋芳朗

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