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第4回:コロラドさん編

決して悪い人ではないって説明しておきますから

連載
アイドルのいる暮らし
公開
2012/08/30   14:30
更新
2012/08/30   14:30
テキスト
文/岡田康宏(サポティスタ)


決して悪い人ではないって説明しておきますから



よくオタバレするしない、とかいう人がいますけど、基本的に僕は隠さないです。全然隠したことがないので。新入社員のときからそうなんですよ。最初に配属になった課で新人歓迎会とかやるじゃないですか。そこでいろいろ話して、何が好きなのとか聞かれると、野球が好きで、音楽鑑賞が好きで、というと、次はどんな音楽が好きなのと聞かれるので、洋楽邦楽取り混ぜていってあれこれ名前を上げても、最後に松本伊代とか言おうものなら、伊代ちゃんのファンなんだって、そこだけで認識されちゃうんですよね。たとえば、エルトン・ジョンとトッド・ラングレンと山下達郎とムーンライダーズと松本伊代が好き、というと、松本伊代だけが残るんですよね、不思議と。そういうのがまた部署内で翌日、パーっと広がるんですよ(笑)。なんでそこだけ切り取られるかな、と思うんですが。ぼくの中では全部一緒のつもりなのに。

だから会社で使える程度のグッズは使っていましたし、もっと後のほうでは会社の机に生写真を飾っていたこともあります。その頃はハロにハマってからなので、清水佐紀ちゃんか中島早貴ちゃんか。ランドセル写真があったから、中島早貴ちゃんか。自分もオープンにしているし、周りも分かっているのだけど、4月に新人が入って来る頃になると、「最初はちょっと我慢して下さいね」とは部下に言われました。「新人がいきなりドン引きしてやめちゃっても困りますから」「私たちが徐々に慣らしていきますから」「決して悪い人ではないって説明しておきますから」って(笑)。

最後の方になると管理職なので、自分自身の仕事というよりも、部下の仕事のチェックやレビューの仕事が中心になってくるので。たとえば平日に真野ちゃんのイベントとかが入ると、社内のスケジューラーに「予約不可」って入れちゃうんですよ。だいたいそうすると今日は何かあるなって、察してくれるので。ただそれでもどうしても今日中に見てくださいという案件は来ますし、そういうときは「お前なぁ」なんて言って半分切れながらも見ますけど(笑)。いちおう、真面目なサラリーマンをやっていました。対会社、対家族で悩んだことはないですし、バレているがゆえに、会社でそれ以上の優先事項があるときは、そこは優先せざるを得ないというか。そこで仮病使ってもバレバレなので(笑)。



体さえ健康だったらまた何かしら働けばいい



もともと入った会社がちょうど成長産業だったこともあって、僕が入った頃は海のものとも山のものともつかない感じだったんですけど、どんどん大きくなっていって。伸びざかりの業界で大きくなるとやれることも増えていって、仕事自体はすごく楽しかったです。ただラスト7、8年は業界的に伸び悩みというか、徐々に下降線の時期に入ったのと、合併をしたことでかなり社風が変わってしまって、今までみたいに好き勝手ができなくなって。

そのときに45歳から55歳くらいまでを主なターゲットに早期退職制度というのができて、今辞めるとこれだけもらえるよと。金額を見たら、えっ、こんなにもらえるのという感じで。家に帰って頭の中で単純計算して、これからいくつまで生きて、ということを考えたらだいたい大丈夫かなと。もともと退職後のことを考えて不動産の投資もしていたので、税理士さんとも相談したら、これなら結構な年齢まで大丈夫ですよ、という答えをもらって。

今はまた違うんですけど、僕らの世代だと22歳で大学を出て60歳くらいまでおよそ40年弱働いて、本人と奥さんと子供2人を大学にいれるくらいまで、4人を養えるような給料をもらえる計算なんですね。ぼくは働いたのは30年だけど1人で使っているから足りて当たり前といえば当たり前なんですよ。結婚したら税金が安くなるとか扶養手当が付くとか多少はあるんですけど、ざっくり計算したら、大丈夫なんじゃないかなと思って。

僕らが社会にでる頃はあまりなかったんですけど、バブルの世代くらいからフリーターになったりだとか、高校大学を出てから、あまり働かずにモラトリアム的な期間を長く続ける人が増えてきて。ぼくは自分がそういう期間がまったくなかったから、そういうのいいなぁって思って。その期間があとになるか先になるかの違いだけだから、もし何かあったら、体さえ健康だったらまた何かしら働けばいいわけだし。それで会社を早期退職して、今みたいな生活をしているという感じです。今はこういう身なので、予算管理はきっちりしないとすぐ底をついてしまうので、結構ブレーキはかけています。予算は月に5万を目処にしていますが、はみ出すときもあります。月間の現場数は15から20くらい。1日に2現場3現場回すこともあるので日数にするとその7掛けくらいになると思います。



スタンディングのライブはきつくなってきました



ほかの人と少し違うとすれば、ぼくはアイドルを応援するという視点では見ていないんですよ。もちろん握手のときに頑張ってねと言ったりはしますけど、向こうはエンターテイナーで僕を楽しませてくれるものなので、買い支えるとか応援するとかいう感覚はあまりないですね。かといってコンサートのとき、地蔵というわけでもなくて、コールするときはコールもするし周りをしらけさせず迷惑をかけず、そういう意味では運営からすると理想的なお客さんだと思います。外でご飯食べるときに、自分では作れないようなおいしいものを食べるからお金を払うわけじゃないですか。美味しいところには何度もリピートすると思うんですけど、じゃあそのお店を応援しているかというとそうは言わないのと一緒で。こちらとしては楽しませてもらっているということですね。

ぼくはもともと全然お金のかからないタイプで、洋服もこらないし、車も免許すら持っていないし、趣味はアイドルと野球くらいで。住宅ローンも一旦は35年ローンで借りたんですけど、繰り上げ繰上げで返済していたら会社を辞める頃には返済が終わっちゃって。住むところがあれば、月これくらい使ったとしても大丈夫かなと。このまま行くと自分の老後は誰も面倒を見てくれないから、だったらそこはしっかりしようと結構シビアには考えています。

会社員時代に後輩と昼飯を食っていると、だいたい話題が子供の話になるんですよ。聞いていると子供ってものすごいお金がかかりますよね。年間数百万単位でかかっていて、もらっている給料はそんなに変わらないというか、役職が僕より下だと僕より少ないわけだから。それは大変だなと。だからよく言われました、いいですね、一人で全部使えてって。子供がいると車を持っていないと不便なので。車もお金がかかりますからね。

恋愛自体は、学生のころも社会人になってから社内も社外もありました。直近は数年前。そのときは一番歳の差があって、20歳近く差がありました。でもタイミングですよね。こっちが結婚したいなってときは向こうがそうでもなかったり、向こうから匂わせてくるときは、仕事がむちゃくちゃ忙しくて、それどころではなかったし。タイミングが合っていたら結婚はしていたと思います。でも今はもう考えていないですね。40代半ばまではまかり間違えばというのはあったんですけど、今はもうないです。今度付き合うとすれば、もう結婚を前提としないお付き合いになるんでしょうが、結婚とかすると、また時間もお金も取られそうじゃないですか。まあ、ないでしょうね。

年齢的に自分の体力が落ちているなという実感があります。以前はクラブイベントの爆音娘。によく行っていて金曜の夜から土曜の朝5時、6時までやっているんですけど、それが45歳を超えてから土曜日一日休んでも回復できないようになって。もうオールのイベントは無理と思って行かなくなりました。今はジムに通っているんですけど、現場が忙しいとジムに行くのが空いちゃって、間を空けると数字にはっきり出ちゃうんですよ。血圧も高いんで医者からは体重を落とせと言われています。

最近はスタンディングのライブは少しきつくなってきました。スタンディングで2回回し+物販とかやられると足がパンパンになります。もうぱすぽ☆やスパガの前の方は怖くて行けないですね。アイドルのコンサートは、昔に比べるとホールのコンサートが減りましたよね。無銭のイベントが多いというのと、スタンディングで詰め込んじゃったほうが効率が良いというのはあるんでしょうけれど。女性ゾーンを置くグループはありますけど、これからはシルバーゾーンも需要が出てくるかもしれませんね。


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