新年の幕開けは、初めて尽くしの〈おめでたい〉コンサートで
1999年のリニューアルを機に、意欲的な演目と魅力ある出演者と東京都交響楽団を起用して〈響の森〉コンサートを展開している東京文化会館。シリーズもすでに31回を迎え、7月には山下一史の指揮で、ヴァイオリンの渡辺玲子とチェロの長谷川陽子を華やかに競演させ、重厚なブラームス最後のオーケストラ作品、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲をとりあげた他、ベートーヴェンの交響曲第7番の躍動感あふれる演奏でも好評を博したばかりだ。さて、次回のvol.32は1月3日の〈ニューイヤーコンサート2013〉。日本が誇るマエストロ、大植英次が登場することで既に大いに注目を集めている。欧米のオーケストラで活躍し、昨年まで大阪フィルハーモニー交響楽団で朝比奈隆の後任として音楽監督を務め上げ、街角コンサート〈大阪クラシック〉などのユニークな企画で定評のある大植だが、東京文化会館のステージに立つのは意外にもこれが初めて。しかもインバルを〈プリンシパル・コンダクター〉に迎えて5年目の安定期に突入した都響とも今回が初顔合わせになるということで、さらに話題は必至だ。もちろん来年もヴァラエティに富んだプログラムが盛りだくさん。前半はダブルの〈初めまして〉を意識して、モーツァルト: 歌劇〈魔笛〉序曲、ベートーヴェン:〈エグモント〉序曲、 ラヴェル:ラ・ヴァルスと、祝祭的で荘厳かつ煌びやかな曲目が目白押し。大植自身が弾き振りし、伊藤恵と野原みどりの共演で聴かせるモーツァルト:3台のピアノのための協奏曲も目玉だ。後半は新春にふさわしく、宮城道雄:春の海(大植のピアノと福原友裕の篠笛による編曲版)、岡野貞一:ふるさと、外山雄三:管弦楽のためのラプソディーと邦人作曲家の作品で固めたところも素晴らしい。上野のクラシックの殿堂にて、マエストロの熱い想いが込められた特別なコンサートで、素敵な年明けを!
『東京文化会館《響の森》vol.32「ニューイヤーコンサート2013」』
2013年1/3(木)15:00開演
出演:大植英次(指揮、P)伊藤恵、野原みどり(P)福原友裕(篠笛)東京都交響楽団
曲目: モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲/ベートーヴェン:「エグモント」序曲/モーツァルト:3台のピアノのための協奏曲/ラヴェル:ラ・ヴァルス/宮城道雄:春の海/岡野貞一:ふるさと/外山雄三:管弦楽のためのラプソディー
会場:東京文化会館大ホール
http://www.t-bunka.jp/