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第63回――永遠のトータル・エクスペリエンス

ESSENTIALS――トータルな名盤を紹介!

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2013/02/01   20:35
更新
2013/02/01   20:35
ソース
bounce 351号(2013年12月25日発行号)
テキスト
ディスクガイド/林 剛

 

GAP BAND 『Gap Band V -Jammin'』 Total Experience/PTG(1983)

レーベルとしてのトータル・エクスペリエンスからはこれが2枚目。制作にはメンバーのロニー・ウィルソンも名を連ね、従来のファンクネスをキープしながらAORっぽさも打ち出してポップにまとめ上げている。“Party Train”は必殺のヘヴィー・ファンク。スティーヴィー・ワンダーがハーモニカ/歌で客演した“Someday”はスティーヴィーへの憧憬溢れる一曲だ。

 

GAP BAND 『Gap Band VI』 Total Experience/BBR(1984)

アラビアン~オリエンタルな雰囲気のインタールードを挿み、重厚なデジタル・ビートで畳み掛ける80年代中期らしい内容。ラップを交えた“Beep A Freak”(R&Bチャート2位)のようにソリッドなミネアポリス風ファンクもあるが、この小気味良さはやはり彼らならではだろう。あきらかに“Outstanding”のセンを狙った“I Found My Baby”にも問答無用で降参。

 

PRIME TIME 『Flying High』 Total Experience/BBR(1984)

レーベルの裏方としても活躍したジミー・ハミルトンを中心とする4人組バンドのデビュー作。後にギャップ・バンドが取り上げる“I Owe It To My Self”のようなミディアムはギャップ直系だが、半数を占めるのはヴォーコーダーなどを使ったエレクトロ・ファンク。トム・トム・クラブみたいな“Spinning”もあり、〈ニューウェイヴ・ソウル〉とでも呼びたくなる一枚だ。

 

YARBROUGH & PEOPLES 『Be A Winner』 otal Experience /BBR(1984)

ダラス出身の男女デュオによる、トータル・エクスペリエンスからは2作目となるサード・アルバム。ここでは片割れのカルヴィン・ヤーブロウがジョナ・エリスらと組んで新機軸を打ち出している。R&Bチャート1位に輝いた“Don't Waste Your Time”に代表されるロック〜テクノ風のファンクが目立つ一方で、ディープに歌い込んだスロウはさすがに濃密だ。

 

PENNYE FORD 『Pennye』 Total Experience/BBR(1984)

シャロン・レッドとは腹違いの妹で、トータル・エクスペリエンス初の女性ソロ・アクトとなったペニー。これがデビュー作で、オリヴァー・スコットやジョナ・エリス、プライム・タイム組による重厚なサウンドに負けないタフで芯のある歌声を聴かせる。後にスナップ!のリードに抜擢される彼女らしいエレクトロ調もあり。ヤーブロウ&ピープルズ提供のバラードも極上。

 

SWITCH 『Am I Still Your Boyfriend?』 Total Experience/BBR(1984)

モータウンからの移籍作にして最終作。フィリップ・イングラムやデバージ兄弟の年長組はすでに抜け、アタラ・ゼイン・ジャイルズらが参加した新編成でのアルバムだが、オリヴァー・スコットやジョナ・エリスらに制作を委ねながらもスウィッチ流儀をキープし、スマートで爽快なソウルを聴かせる。“Switch It Baby”のようなダズ・バンド風の曲がここでも登場。

 

YARBROUGH & PEOPLES 『Guilty』 Total Experience /BBR(1985)

ジョナ・エリスに加え、プライム・タイムのジミー・ハミルトンらがプロデュース/ソングライティングを手掛けた4作目。プライム・タイムとの競作となったパーカッシヴな表題曲を筆頭に、TR-808などのリズム・マシンを使った楽曲はアップからスロウまでSOSバンド風で、ジャム&ルイス的な手法が散見される。なお、この後ふたりは結婚した。

 

GAP BAND 『Gap Band 8』 Total Experience/BBR(1986)

ロニー・シモンズとの8回目のコラボ作。80年代中期らしいドンスコな打ち込みビートのミッド・ファンクもあるが、全体的にメロディアスな楽曲が並び、バラードの“I Can't Live Without Your Love”など、ソロ転向後のチャーリー・ウィルソンを予感させる瞬間も少なくない。プライム・タイム曲のカヴァー“I Owe It To Myself”では先輩バンドとしての余裕を見せつける。

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