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高品質CD『Blu-spec CD2』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2013/03/07   22:37
ソース
intoxicate vol.102(2013年2月20日発行号)
テキスト
text:高見一樹

初のJAZZ CDリリース。全43タイトル発売

CDというメディアは不思議な存在だ。アナログレコードに終止符を打ち、もっぱら利便性が性差を超えた共感を生み、音楽の聴き手を飛躍的に増やした。音は残念ながら当初、アナログに慣れ親しんだ耳を十分に満足させることはできなかったが、しかし、スーパーオーディオCDなる規格も登場し、光学技術の向上やデジタルオーディオのための環境が整うに従いアナログとは異なる新しい次元の音を表現するまでにいたった。しかしデジタル革命の影響は、記録媒体としてのメディアそのものに及び、その必要性すら脅かすようになった。つまりインターネットを通じた音楽配信インフラの普及によって音楽を 〈物化〉する商慣習自体が疑問視されるようになったのだ。

しかし、いまや絶滅寸前といっても過言ではない時代にあって、CDはいまもメディアとして進化を続け、すでにその出現当初の表現力をはるかにしのぐ豊かさを身につけるにいたった。ここに紹介するBlu-spec CD2は、これまでのCDの製造過程を、Blu-ray Discの技術を導入することで根本から見直し、CDプレイヤーで再生可能なメディアに新たな表現/再現の次元を切り開いた。

レコーディングレベルでの変化ではなく、あくまで音楽を固定/再生する技術レベルでの進化であり、その技術の応用分野は当然ながら、これまで録音された音源、つまり音楽史に残る様々な名盤たちということになる。つまりレコーディングされた音にいっそうちかづき、原音に限りなく忠実にお茶の間空間で再現するための、技術なのである。
そしてこうした技術によっていっそう価値を増すのが、よき録音によってとらえられた名演の輝きなのであり、楽器そのものの良さ、その良さをあますところなく導きだす演奏者の表現力なのだ。

今回、Blu-spec CD2の新規格で紹介されるのが、Eighty Eight's レーベルのカタログである。ある意味新興ジャズレーベルとして活躍し、幸運にも、ビリー・ホリデイの伴奏者であり、トニー・ウィリアムス、ロン・カーターとのトリオ、グレイト・ジャズ・トリオ(Eighty Eight's レーベルでは、ジョン・パティトゥッチ、ジャック・ディショネットで復活)のピアニストとして数々の名盤を残したハンク・ジョーンズの最晩年のタッチを録音したレーベルだ。いま、ジャズのロマンティークのタッチが、新しい響きとして蘇る。 

【リリース一覧】
2013年3月6日発売:15タイトル
2013年3月13日発売:14タイトル
2013年4月3日発売:14タイトル