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【第18回】――さくら学院

さくら学院

連載
ZOKKON -candy floss pop suite-
公開
2013/03/20   00:00
更新
2013/03/20   00:00
ソース
bounce 353号(2013年3月25日発行)
テキスト
文/ピ〜ス!久保田


花は散る……けど、また咲くんだよ!!



さくら学院_201304_A



今年もまた、桜の季節が——ということで、このたび1年間の集大成となるアルバム『さくら学院 2012年度 〜My Generation〜』を発表したさくら学院についてちょっと語らせていただきましょう。学校生活とクラブ活動をテーマにいろいろな分野で個性を表現していく〈成長期限定!!〉のユニットとして、2010年4月に開校(結成)されたさくら学院は、小学5年生から中学3年生まで、それぞれ子役やCMタレントとしても活躍している12人の生徒(メンバー)で構成。学院での活動は実際の義務教育修了時まで、ファンを〈父兄〉と呼ぶ……なんて聞けば、コンセプト先行型のグループと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、いやいや、それ以上に音楽に対しての意識が非常に高いユニットなんですよね。

まずその楽曲は、日常離れしたハイエナジー感や演じられた幼さ、大人ぶりは皆無。年齢相応の拙さと逞しさを感じさせる、いわゆる等身大のガールズ・ポップといった趣で、さながらカートゥーン音楽のようなラヴリーさとワン・ダイレクションのようなティーン・ポップのチャームを併せ持ったようなものとでも言いましょうか……。

そんな音楽性をさらに豊かにしているのが、〈部活動〉というコンセプト。元Cymbalsの沖井礼二がその血統を継がせたバトン部 Twinklestars、その名の通りメタル・サウンドを探究する重音部 BABYMETAL、ニューウェイヴ・テイストを盛り込んだ科学部 科学究明機構ロヂカ?といったところが単独作品もリリースしている部ですが、それぞれが野心的なサウンドと、清く、正しく、美しい学院生らしさをしっかりと掲げた秀作ばかり。BABYMETALのようなディストーショナルなサウンドにSU-METAL(中元すず香)の礼儀正しいヴォーカル(上手い!)が乗っているところなどは、まさに〈らしさ〉の真骨頂なんじゃないかと思います。あと、大所帯ユニットであるにもかかわらず、生徒諸君の個性的がちゃんと舞台の上で発揮されているところも評価すべきところ。舞台裏のエピソードを珍重しがちな昨今のアイドル・シーンですけど、何をもって学院生の誇りを高めていくのかということが正しく教育されているようです。

さて、そんな彼女たちのアルバム『さくら学院 2012年度 〜My Generation〜』。3年目の〈歩み〉となる本作もまた、音楽への愛と誠意がありったけ込められたチャーミングな楽曲ばかり。歌で世界を巡った昨秋のシングル“WONDERFUL JOURNEY”に始まり、年頃のモヤモヤをファンシーに綴ったギター・ポップ“スリープワンダー”、クッキング部 ミニパティの新曲でチップチューン風のハンバーガー讃歌“ミラクル♪パティフル♪ハンバーガー♪”、帰宅部 sleepieceのイージーゴーインなポップソング“すいみん不足”、宮川弾が書き下ろしたテニス部 Pastel Windのメロウな青春ポップ“スコアボードにラブがある”、科学究明機構ロヂカ?のヘヴンリーでグルーヴィーな新曲“デルタ”、今作をもって学院を卒業する生徒会長・中元すず香の歌唱力が際立つフォーク・ソング調のソロ曲“桜色のアベニュー”……生徒諸君の勤勉さと諸先生方の熱血ぶりが実を結んだ、これはもう、最上級のアイドル・ポップと言えますね。ということで最後に言わせてください……ZOKKON!



▼表題曲をTommy heavenly6とSHINSAKU OKUDAが手掛けた、現体制でのラスト・シングル“My Graduation Toss”(ユニバーサル)。

唐沢美帆が作詞したカップリングの“Magic Melody”はアルバム未収録!