ウィッシュフル・シンギング
〈奇跡の音響〉東京文化会館小ホールで聴く珠玉のコンサート
昨年、東京文化会館の好評シリーズ「レクチャーコンサート」に代わる新たなシリーズとしてスタートした「プラチナ・ソワレ」。「奇跡の音響」と称えられる649席の小ホールで、現代最高の名手たちが極上の音楽を奏でる。そんな贅沢なひとときが今年も実現する! しかも、昨年は全5回のソワレだったが、今年はマチネ(第2&4回)も含む全6回の「プラチナ・シリーズ」にボリュームアップするというから、ますます楽しみだ!各回の出演者、プログラム、聴きどころを、以下に掻い摘んでご紹介しよう。
第1回には、オランダの女性5重唱アカペラ・アンサンブル、ウイッシュフル・シンギングが登場。バロックからスティーヴ・ライヒのような現代音楽まで幅広いレパートリーを誇る実力派が、シリーズの開幕を華々しく告げる。
続く第2回は、第1回の翌日に行われるが、がらりとテイストを変えて、巨匠ブルーノ=レオナルド・ゲルバーによるピアノ・リサイタル。十八番のベートーヴェンで固めた、オマージュ的なプログラムを予定している。「死ぬまで一人の作曲家しか弾いてはいけないと言われたら、迷うことなくベートーヴェンを選ぶ」と語る彼は、ドイツ的な構築性とフランス的な洗練を備えた独自の演奏スタイルで、まるでベートーヴェンと一体化したような熱演を聴かせてくれることだろう。
第3&4回は、チェロの堤剛と、ピアノのルドルフ・ブッフビンダーが共演。プログラムも豪華で、「チェロの新約聖書」として名高いベートーヴェンのチェロ・ソナタ・ツィクルスだ。日本とオーストリアを代表する両巨匠が、がっぷり四つに組み、全5曲と3曲の変奏曲を燻し銀のような音色で朗々と誠実に歌い上げる。
年を跨いで行われる第5回の出演者は、バリトンの河野克典と、ソプラノの小林沙羅。この日(1月31日)は「歌曲王」シューベルトの誕生日にあたることから、名曲「冬の旅」を歌い比べる。河野がドイツ語版、小林が日本語版を担当し、日本語版は作詞家・松本隆の訳で歌われる。シューベルト・ファンには必聴の公演だ。
そして、シリーズのラストを飾る第6回は、ショーロクラブwithヴォーカリスタスand谷川俊太郎による「武満徹ソングブック・コンサート」。ブラジル音楽をベースにした弦楽トリオ、ショーロクラブの精緻なアンサンブルと、谷川の朗読を含む複数の歌声が、武満の「歌」に新たな命を吹き込む。「幅広い聴き手の知的好奇心を満たす上質なコンサート」をテーマに掲げるこのシリーズの締め括りにふさわしく、同時に今後の新たな扉をも開く、珠玉の一夜をお楽しみに!
LIVE INFORMATION
『Music Weeks in Tokyo 2013 プラチナ・シリーズ』
●第1回 10/18(金)19:00開演 ウィッシュフル・シンギング 奇跡のアカペラ・アンサンブル
●第2回 10/19(土)14:00開演 ブルーノ=レオナルド・ゲルバー ベートーヴェンへのオマージュ
●第3回 11/7(木)19:00開演 ・第4回 11/10(日) 14:00開演 堤剛&ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン チェロ・ソナタ ツィクルス
●第5回 2014年1/31(金)18:30開演 河野克典&小林沙羅 ミュラーと松本隆 2つの「冬の旅」
●第6回 2014年3/8(土)19:00開演 武満徹ソングブック・コンサート
会場:東京文化会館 小ホール
http://www.t-bunka.jp/