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巨人の星 Special Blu-ray BOX 3

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2013/09/10   15:39
ソース
intoxicate vol.105(2013年8月20日発行号)
テキスト
text:高見一樹

切れ味抜群の効果音、大リーグボールはブルーレイでないとね!

スポーツ根性ものアニメの元祖、『巨人の星』ブルーレイ版、第三弾の登場だ。1968年3月30日に放送が開始され、1971年9月18日に、いわゆる第一作(全182話)の放送が終了した。放送が開始された1968年は佐藤栄作内閣で、当時の倉石大臣は現日本国憲法を持っている日本を『妾のようなものだ』と評した。三億円事件があり、小笠原が日本に復帰したが、沖縄はアメリカの統治下だった。放送終了の71年、佐藤内閣から田中角栄内閣への交代の一年前、中国との国交をアメリカが回復し、沖縄返還が一年後にせまっていた。1ドル=308円だった。

そんな時の子供が夢中になったのが、この『巨人の星』である。最高視聴率は36.7%だった。この『巨人の星』の原作を担当した梶原一騎は、他にも『柔道一直線』、『タイガーマスク』、『あしたのジョー』などを手がけている。梶原はいずれの作品においても貧乏な暮らしを血のにじむような努力と恵まれた才能によって克服し、スターの道を駆け上がる選手の姿を描いた。『巨人の星』は、主人公星飛雄馬の少年時代からプロ野球界で成功を納め活躍するまでの半生を描く。当時の野球界は、セントラル野球連盟と太平洋野球連盟の傘下に現在と同じく12球団が群雄割拠している時代だった。高校野球から巨人に入団した星は、大リーグボール一号、二号、三号と、“三つの「魔球」”という新語も生んだ変化球をあみ出し、助っ人外国人もふくむ、ライバル選手と死闘を繰り広げた。今回発売された第三集は、二号をあみ出した後、魔球を打ち砕かんとするライバルとの戦いから始まる。

このシリーズの音楽を手がけ、「おもいこんだら」というフレーズが印象的な主題歌を書き下ろしたのは渡辺岳夫である。映画、ドラマ、アニメ、CMなどなど昭和のブラウン管、スクリーンから流れた音楽の大半を手がけた大作家である。スポ根ものでは他にも『アタックNo1』と劇場版の『あしたのジョー』を手がけている。代表作として『天才バカボン』、『アルプスの少女ハイジ』をあげておきたい。この『巨人の星』の音楽は、主題歌とともに劇伴音楽の傑作といえる。不安の二文字を努力によって希望に書き換えようとする当時の熱い思いが、鮮明な球音とともに蘇る。