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第68回――回り続けるスピナーズ

ESSENTIALS――いま入手が容易なスピナーズ盤と、人気メンバーたちのソロ作を紹介! (2)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2013/11/20   00:00
ソース
bounce 360号(2013年10月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛、出嶌孝次


JOHN EDWARDS 『Life, Love And Living』 Atlantic/ワーナー(1976)

結果的に2000年までリードを務めたセントルイス男が、グループ加入の前年に発表していた2枚目のソロ作だ。リゾート感のあるジャケに反して録音はマッスル・ショールズなどで行われ、プロデュースはデヴィッド・ポーターが担当。サム・クックへの憧れを宿した軽やかさとディープな資質を併せ持ったノドが、濃密な南部マナーに映えまくる! *出嶌

 

SPINNERS 『Yesterday, Today & Tomorrow』 Atlantic/ワーナー(1977)

フィリップ在籍期の最終作。ここでもトム・ベル流の優雅なサウンドが展開され、メロウな美バラード“I Found Love(When I Found You)”やフィリップがソフトに歌う流麗でポップな“You're Throwing A Good Love Away”などシャーマン・マーシャル作の曲が光る。次期リードのジョン・エドワーズも登場し、ファンキー・チューンを快唱。*林

 

PHILIPPE WYNNE 『Starting All Over』 Cotillion/ワーナー(1977)

フィリップ脱退後のスピナーズ自体がディスコに接近していくのに対し、壮麗なフィリー・ムードを軽やかに継承したのが、当のフィリップのソロ・デビュー作。地元デトロイトやフィリーを跨いで録音されたセルフ・プロデュース作で、作曲面では俳優のアラン・シック(ロビンの父親!)もサポートしている。スタッフの演奏が光る優雅な逸品だ。*出嶌

 

SPINNERS 『Dancin' And Lovin'』 Atlantic(1979)

マイケル・ゼイガーをプロデューサーに迎えての第1弾は、フォー・シーズンズの名曲をメドレーに組み込んだダンサブルな“Working My Way Back To You/Forgive Me, Girl”など、ポップなディスコ曲が勢い良く飛び出す、いかにも79年産ならではの作品。ジョン・エドワーズの板についたリード・シンガーぶりも清々しく、新しいスピナーズを印象づけた。*林

 

SPINNERS 『Love Trippin'』 Atlantic/ワーナー(1980)

ふたたびマイケル・ゼイガーと組んだ80年代最初のアルバム。前作でのディスコ色は抑えられ、伝統的なソウル・マナーとヴォーカル・グループならではの厚みのあるハーモニーがモダンなサウンドで引き出された本作はダンサーもスロウも逸品揃い。メドレーで歌われる“Cupid”でのジョン・エドワーズのサム・クック信者ぶりにも注目。*林

 

SPINNERS 『Can't Shake This Feelin'』 Atlantic/ワーナー(1981)

制作にジェイムズ・エムトゥーメイとレジー・ルーカスを迎え、アル・マッケイもアレンジなどで参加した一枚。NYサウンド炸裂のアーバンな仕上がりで、フィリー・ソウルの流れを汲むゴージャスな楽曲は、フィリーで花開いたスピナーズと抜群の相性を見せる。デルフォニックス名曲のカヴァーは恩人のトム・ベルに対する敬意だろう。*林

 

PHILIPPE WYNNE 『Soul From Sugar Hill』 Shout!

Pファンク門下で傑作『Wynne Jammin'』を残してシュガー・ヒルへ籍を移したフィリップ。これは遺作となった3作目『Philippe Wynne』(84年)に2曲を加えた同社での全曲集だ。バニー・シグラーらしい成熟したサウンドとの相性は流石に抜群で、ベースを強調したディスコ・ファンクから瀟洒なスロウまで、温かみのある歌唱の素晴らしさが堪能できる。*出嶌