トップ > LIVE REPORT:ARGENTINA-TOKYO 2007.12.16 (SUN) @EATS and MEETS Cay

カテゴリ : event 

掲載: 2008年01月16日 21:10

更新: 2008年01月16日 21:10

文/  intoxicate

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intoxicate recordsから、フェルナンド・カブサッキの「The Flower+The Radio」をリリースしたのが、昨年の5月。Impartment、Nature Bliss、East works Entertainment、intoxicateで<アルゼンチン⇔東京>プロジェクトを発足。少しずつですが、途切れることなくシーンの紹介をし、その集大成ともいえるイヴェントを昨年12月16日に開催。
アルゼンチンからはるばるフェルナンド・カブサッキが来日し、勝井祐二、山本精一、芳垣安洋、Buffalo Daughterといった日本のミュージシャンと共演するというだけあって、
会場のCAYはオープン前から長蛇の列。CAYの名物シェフ、森川さんの手によるアルゼンチン料理を食べながら、これまた特別に用意されたアルゼンチンワインを飲んでいるとL?K?OのDJでイヴェント開始。ビートレスな状態がずっと続いたと思ったら、いきなりリズムが飛び出したりする予測不可能なDJで、お客さんも興味津々な感じ。

続いて登場したGROUPは、メランコリックな音でお客さんの胸をわし掴みに。ギターとトランペットによる切ないメロディがタイトなリズムに乗って繰り出される。GROUPのライヴが終了する頃には、既に会場は超満員に。

いよいよ、フェルナンド・カブサッキが登場して、Buffalo Daughter+外山明とのセッション。後ろのほうにいるとステージがほとんど見えないくらいの混雑状況だったのですが、背伸びしてなんとか観ていると、ムーグ山本さんはターンテーブルを、シュガー吉永さんはギター、大野由美子さんはキーボード(ミニムーグか)を演奏している様子。Buffalo Daughter+カブサッキが繰り広げるインプロヴィゼーションに、外山さんのドラムが鋭く切り込んでいくスリリングなパターンが何度も繰り返され、繰り返されるうちにそれがどんどん熱を帯びていきます。繰り返される混沌が破壊され、また再生するといったプロセスを目の当たりにして、脳には即興演奏から生まれる何かが、経験として記憶されていく。その記憶と目の前で繰り広げられる演奏がリンクした瞬間!それがライヴの醍醐味。

そして最後はもちろん、カブサッキと最も交流の深い、勝井祐二、山本精一、芳垣安洋のお三方によるカブサッキとのセッション。山本とカブサッキが弾くギターにかけられたディレイやファズ等のエフェクターの音は幾重にも重なって変化を繰り返し、勝井のヴァイオリンは弧を描くようにそこに吸い込まれ、消えていく。対して芳垣のリズムはまるで混沌とした世界に一定の秩序を与えようとするかのように、ほんの一瞬、曲の断片を浮かび上がらせる。黙々と浮かんでは消えるフレーズが脳裏に刻まれている事を自覚する頃には、まるで目の前に巨大な絵が浮かび上がって来るように、曲の全体像が姿を表す。追い打ちを掛けるように、更に色彩と熱を帯びた音が溢れ出し、我々の肉体に入り込んで脳から突き抜けていった。気が付くと、会場からは割れんばかりの拍手。アンコールも更に素晴らしい演奏で、大盛況のうちにイヴェントは終了。

アルゼンチンと東京、それぞれのミュージシャンが今後どのように交流を続けて、どのような音楽を聴かせてくれるのか、更に大きな期待を抱かせる素晴らしい内容だった。それにしてもラスト、ギターをブン投げて、ステージからドカドカ走り去ってまた戻ってきた山本さん、男前でした。(編集部)