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ジョージ・セル生誕125年記念特集(1897年6月7日 - 1970年7月30日)

カテゴリ : Classical

掲載: 2022年06月07日 00:00

ジョージ・セル

ジョージ・セル(George Szell、1897年6月7日 - 1970年7月30日)は、ハンガリーのブダペストに生まれ、アメリカ合衆国クリーヴランドに没した指揮者、ピアニストです。

ハンガリー人の父と、スロバキア人の母の間に生まれ、幼くしてピアノ演奏に才能を示し1908年1月30日に10歳でモーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調と自作(ピアノとオーケストラのための作品)を弾いてピアニストとしてデビュー。「モーツァルトの再来」と評判をとりました。

次いで16歳でウィーン交響楽団を急病の指揮者に代わって指揮して指揮者としてもデビュー。その後、ベルリン国立歌劇場で指揮者としての修行を開始し、リヒャルト・シュトラウスのアシスタントを経た後、ドイツ各地の歌劇場でキャリアを積みました。

コンサートの指揮でもヨーロッパの名門オーケストラに客演し、名声を得たものの、1939年、オーストラリア・アメリカへの演奏旅行中に第二次世界大戦が勃発したため、帰国をあきらめ、そのままアメリカに定住。NBC交響楽団の客演指揮者として迎えられた後、メトロポリタン歌劇場でも指揮しました。

1946年、クリーヴランド管弦楽団の常任指揮者に就任。決して一流とは言えなかった同楽団をさらに鍛えぬいた結果、程なく全米の「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる第一級のオーケストラのひとつへ成長させ、1957年の初のヨーロッパツアーで世界的な評価を確定させました。1970年5月にはクリーヴランド管弦楽団とともに日本万国博覧会を記念した企画の一環として来日公演を行い、多くの聴衆に感銘を与えましたが、帰国後まもなく癌のため亡くなりました。

幸いなことに、世界最高のアンサンブルと讃えられたクリーヴランド管弦楽団との演奏は、鮮明なステレオによりハイドンから20世紀音楽に至る幅広いレパートリーが録音に残されています。近年、それらの多くが最新リマスターのCD化、SACD化され、演奏・録音のすばらしさにより大評判となっていました。そして、生誕125年に合わせて、彼の弟子のマイケル・チャーリーによる評伝『ジョージ・セル -音楽の生涯-』初翻訳されたことが加わり、彼の芸術に大きな注目が集まっています!
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)


ジョージ・セルと3人の若手指揮者
Michael Charry(評伝の著者), Stephen Foreman, and James Levine(後の大指揮者)

ジョージ・セル おすすめディスク 10点
すべて鮮明なアナログ・ステレオ録音!

モーツァルト:交響曲第28・33・35・39~41番(SACDハイブリッド)

セルはデビュー演奏会でモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き「モーツァルトの再来」と呼ばれて以来、得意のレパートリーにしていていました。いずれも峻厳な美しさに貫かれ、特に後期の交響曲に見られる人生の深い淵を覗き見るような突きつめられた境地が、一部の隙も無駄もなく表現し尽くされています。また「ポストホルン」セレナーデはクリーヴランド管弦楽団の1961年のニューヨークツアーで勝負曲として乗り込み、演奏が終わるやいなや聴衆は大喝采となった、と伝えられています。

ベートーヴェン: 交響曲全集 (2016年DSDリマスター) (SACDハイブリッド)

交響曲は第1番から第9番まで、すべてが古典的な演奏様式で貫かれており、磨きぬかれたアンサンブルと明快なアーティキュレーションで、19世紀以来ベートーヴェン演奏にまとわりついていたロマンの残滓をきっぱりと洗い流しています。その姿勢は第9番の声楽部分まで及んでおり、有名なバリトンの歌いだしなど、まるで芝居気なく几帳面に歌われます。セルはこうした明晰な形式の中に力強い高揚感や音楽の生命力を漲らせ、かつヨーロッパの演奏伝統も確かに感じさせてくれます。評伝によると交響曲第3番「英雄」はセルがキャリアの折々に演奏してきた得意楽曲だったようです。

シューベルト: 交響曲 第9番 「ザ・グレイト」<タワーレコード限定> (SACDハイブリッド)

溢れんばかりのロマンティシズムやリリシズムを古典主義という厳格な枠組に盛り込もうとして葛藤するのがシューベルト作品の本質であり、セルの解釈はその二つの要素を絶妙なバランスで均衡させるところにあります。一つ一つの音符が生き生きと躍動するかのような緻密なダイナミズム、格調の高さ、オーケストラの各パートの綾が見えるような透明感、独自のオーケストレーションの改訂など、いずれも「匠の技」と呼ぶにふさわしい名演です。

ワーグナー:管弦楽曲集 (SACDハイブリッド)

「トリスタン」「タンホイザー」で表出される官能の焔、「マイスタージンガー」で鮮やかなまでに解きほぐされる対位法の妙、「ローエングリン」での清澄で息の長い弦、そして何といってもセルが独自に編曲・構成した「指環」のハイライトにおける立体的な構築性は圧巻。セルは1940年代のメトロポリタン歌劇場における伝説的なワーグナー上演の立役者であり、作品を知り尽くした名匠が精緻に、しかも豪快に描き出すワーグナーは、あらゆる細部に血が通い、クリーヴランド管の有機的な響きが聴く者の心を打ちます。評伝を読むと「マイスタージンガー」前奏曲が、彼の看板レパートリーであったことがわかります。

シューマン:交響曲全集 メンデルスゾーン:交響曲第4番&真夏の夜の夢(SACDハイブリッド)

セルは、19世紀後半から20世紀初頭のシューマン観に則り、オーケストレーションに緻密かつ大胆な改訂を施すことで、各パートがクリアにしかも見事なバランス感を持って浮き彫りにされ、全体の響きに埋没しがちな重要な声部にも光が当てられています。クリーヴランド管を格調高く統御し、透明感のある響きと立体的な構築性を獲得しており、20世紀後半にオーケストラ芸術の頂点を極めたこのコンビの境地を現在に伝える最高の例の一つといえるでしょう。

ブルックナー:交響曲第3番&第8番 (2018年 DSDリマスター) (SACDハイブリッド)

「われわれは3本のジャーマン・トランペットのセットを備えていて、この格別な、柔らかくて豊かな、高い金管の音を必要とするブルックナーのシンフォニーや他の作品に使っている。」(「セル音楽を語る」栗田亮訳、SC XBCR91025解説書より)。セルの厳しい造形力とオーケストラの精緻なコントロール力によって、作品の音符の一つ一つに至るまで吟味されながらも、その表現はあくまでもしなやかで、響きも深く、美しく、ゆるぎない緊張感の中に素晴らしい生命力を内包しています。特に対位法的な書法での完璧なバランスは、まさにこのコンビの独壇場ともいうべき見事さです。

ブラームス:交響曲全集+ブラームス:交響曲第1番(57年録音)(2017年 DSDリマスター)(SACDハイブリッド)

セルならではの厳格で折り目正しい音楽観を反映し、全編にわたって格調の高さが保たれ、主観的感情がむき出しにならず、ブラームスの古典性が浮き彫りにされています。しかも細部の彫琢ぶりはすさまじく、あらゆるフレーズ、リズム、パート間のバランスが完璧に統御され、透明感のある響きと立体的・論理的な構築性を獲得しているさまはまさに壮観。それでいて、交響曲第3番の第3楽章で聴くように、ロマンティックな味わいも見事に表出されてます。

ドヴォルザーク:交響曲 第8番 スラヴ舞曲 第3番・第10番 (SACDハイブリッド)

「“練習魔”と呼びたいほど練習に手を抜かないセルなのに、不思議にドヴォルザークものだけは練習が短く終わった。母親がボヘミアの人だったそうで、母方の血で演奏するからということだろうか。即興的なルバートも一番多かったように思う。楽員もセルのドヴォルザークはいつも楽しみにしていた。」(荒谷俊治氏「神話をつくる人たち」共同通信社刊より)この言葉を実証するのがCDに残された彼のドヴォルザーク演奏です。そのロマンティシズムと抒情の美しさは格別で、セルを知る上で欠かすことが出来ません。

R.シュトラウス:家庭交響曲、ドン・キホーテ ドン・ファン、ティル&死と変容 他(通常CD)

デビュー時代、セルはリヒャルト・シュトラウスの元で指揮者修行を積み、シュトラウスもセルの才能を愛し、まさに愛弟子というべき存在でした。名器クリーヴランド管のヴルトゥオジティを存分に駆使して、シュトラウスならではの複雑なオーケストレーションの綾を立体的に再現するかのようなセルの解釈は、音楽美の純粋な輝きと響きの純度の高さが印象的。さらに克明なまでの情景描写の再現は、まさに各場面が目に浮かぶかのようで、さらに作品に込められたブラック・ユーモアやペーソスまでをも体得しています。

美しく青きドナウ&「こうもり」序曲~ウィンナ・ワルツ名演集 (通常CD)

ハンガリー・オーストリア帝国の残照の中で多感な青春時代を過ごしたセルにとって、ウィーンの音楽ともいうべきシュトラウス一家の作品は自分の血肉ともいうべき親しみのある存在でした。セルの指揮活動50周年を祝って作成されたアルバム「Magic Vienna」にシュトラウスのワルツやポルカが選ばれたのもその証左といえるでしょう。圧倒的な精緻さでクリーヴランド管をコントロールしながらも、あちこちに郷愁に溢れた歌心を覗かせています。ワルツ「春の声」など、オーケストラがスピーカーから飛びだしてきそうな弾力的リズムに驚かされます。ノリノリで珍しく2周回する「常動曲」の最後ではセル自身の言葉「And so forth」(などなど)も聞くことが出来ます。


ジョージ・セルのリハーサル風景
ベートーヴェン:交響曲第5番/クリーヴランド管弦楽団