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ブランフォード・マルサリスとカート・エリングが贈る、珠玉のスタンダード集

Branford Marsalis Quartet & Kurt Elling

現代のジャズ・サックス界最高峰ともいえるブランフォード・マルサリスと、当代随一のシンガー、カート・エリングがタッグを組んだ両者にとっての最新作。

ブランフォード・マルサリスと、その最強カルテット・メンバー、ジョーイ・カルデラッツォ(p)、エリック・レヴィス(b)、ジャスティン・フォークナー(d)に、あたかも5つめの楽器としてカート・エリングのボーカルがフィーチャーされ、単なるコラボレーションに留まらない珠玉のアンサンブルでスタンダード・ナンバー、そしてこれからのスタンダードになり得る名曲を奏でる。ふくよかで、そして理知的な音と声の共演だ。

カルテット内の雑談から今作の企画は始まった。バンドにとってのベスト・シンガーを語り合っていたところ、マルサリスが挙げたのがカート・エリングであった。もともと知己であった二人にとってこの企画はごく自然な流れで実現し、ニューオリンズにて1週間のごく短い期間で集中的にレコーディングされた。

選曲は双方によるもので、オスカー・ブラウン「Long as You」、スティング「Practical Arrangement」、ボサノバの人気曲「So Tinha de Ser Com Voce」、ナット・キング・コールの歌唱で知られる「Blue Gardenia」などはマルサリスによる発案。一方、「Blue Velvet」やソニー・ロリンズ「Doxy」などはエリングの発案によるもの。

メンバーに課せられたのは“長くリードを取り過ぎないこと”だけだそうで、5人の個性が小気味よく顔を出す様は実に楽しい。

殊に、共に“歌う”マルサリスのサックスも聴きどころ。メンバー全員が、秀逸な曲のメロディとビートを尊重してプレイしており、親しみやすいスタンダード集でありながら、上等な質感を伴ったアルバムに仕上がっている。

Branford Marsalis Quartet & Kurt Elling / Upward Spiral
収録曲:
01. There's a Boat Dat's Leavin' Soon for New York
02. Blue Gardenia
03. From One Island to Another
04. Practical Arrangement
05. Doxy
06. I'm a Fool to Want You
07. West Virginia Rose
08. So Tinha de Ser Com Voce
09. Momma Said
10. Cassandra Song
11. Blue Velvet
12. TheReturn (Upward Spiral)

Musicians:
Branford Marsalis(Saxophones)
Joey Calderazzo(Piano)
Eric Revis (Bass)
Justin Faulkner (Drums)
Kurt Elling (Voice)

掲載: 2016年04月22日 15:38