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カラヤンの“ニーベルングの指環”全曲24/96最新リマスター・ハイレゾ音源をBDA1枚に収録!

カラヤンのリング

最新リマスターが施された世紀の名盤をブルーレイ・オーディオ・ディスクに収録
《カラヤン/ワーグナー:『ニーベルングの指環』全曲》 デラックス盤

カラヤンが指揮したワーグナー畢生の大作《ニーベルングの指環》は、録音当時のワーグナー歌手を総動員して入念に制作されたアルバムで、その室内楽的な精緻さや磨き込まれた表現によって巨大な作品に新鮮な光を当てたものとして、「ワーグナー演奏史に新たな1ページを記した」との高い評価を得ました。現在でもこの楽劇の一、二を争う名録音である全曲盤を新たにEmil Berliner Studioでリマスタリングし、24-bit / 96kHz HD Audio で1枚のブルーレイ・オーディオ・ディスクに収録。
400ページのハードバック・ブックレットにはオリジナル歌詞+英語対訳+録音セッションに関する詳しいエッセイ(欧文)+貴重なリハーサル&録音風景の写真入り。
(ユニバーサルIMS)

1960年代、「音楽界の帝王」の名を欲しいままにしたカラヤンですが、オペラ・レコードのキャスティングに関しては英EMI、英デッカ専属時代まで、ウォルター・レッグやジョン・カルショウなどレコード会社のプロデューサーの力が強く、時にカラヤンの意に沿わないキャストが入り込むこともあったようです。

カラヤンが自分の望んだキャストでオペラ全曲盤を録音できるようになったのは、まさにこの録音、つまりDGへのワーグナー《ニーベルングの指環》全曲録音の第1弾として1966年に録音された《ワルキューレ》からでした。カラヤンは1967年に創設したザルツブルク復活祭音楽祭の第1回公演に《ワルキューレ》を選び、上演に先立ってほぼ同じキャストで録音を行いました。この後、カラヤンのレコーディングの通例となる、実演の前に録音を行って、実演のリハーサル費用をレコード会社に負担させるプラクティカルなシステムがこうしたことを可能にしました。

フランツ・エンドラー(1937~2002)は「カラヤンの生涯」(高辻知義訳、福武書店)で次のように書きました。

「それまでならば、レコード会社は歌劇場や音楽祭で制作されたものをレコード収録に流用していたのだが、以後は逆にレコード収録のためのセッションで練り上げられたものが舞台における上演の土台になる。そして上演そのものはレコード販売の宣伝のためにも利用されることになるのだった。つまり一種の永久運動が生じるわけで、リハーサル、収録、上演と続いて買い手の興味がかきたてられると、これでまた次のリハーサル、収録、上演……へとつながってゆくのである」

《ワルキューレ》全曲の録音はこのやり方での最初の成功例でした。カラヤンは翌年3月、ザルツブルク復活祭音楽祭で《ワルキューレ》を上演した後、 11月にはニューヨークのメトロポリンタン歌劇場で《ワルキューレ》を指揮したので、この録音は上演を通じてヨーロッパ、アメリカ両方で大きく宣伝された訳です。

また、キャスティングにカラヤンの意思が反映するようになってから明らかになったのは、名作オペラの配役に対するカラヤンのセンスや考え方でした。例えば、この《ワルキューレ》ではジークムントにジョン・ヴィッカース、ジークリンデにグンドラ・ヤノヴィッツ、ブリュンヒルデにレジーヌ・クレスパンを起用するなど、旧来のドイツのワーグナー歌手たちとは一線を画するリリックな歌声の歌手が選ばれました。それまでのワーグナー演奏と言えば、声の大きい英雄的なテノール歌手と、男声に負けない声量をもったソプラノ歌手が、情熱的な歌い回しで北欧神話の巨人たちの世界を表現していた訳ですが、カラヤンにあっては何よりも声そのものの美しさが必要とされ、次いではドラマの心理を描き出す繊細なセリフ回しが求められました。それは、カラヤンがワーグナーのスコアを見て、オーケストラに求めた美意識と同一線上にあるものと感じられます。

音楽評論家の黒田恭一氏(1938~2009)は、この《ワルキューレ》を含むカラヤンによる《ニーベルングの指環》四部作の録音について次のように評しました。

「ここでは、カラヤンによって微妙にコントロールされたオーケストラの、ききてにあたかも室内楽をきいているように思わせるデリケートなひびきをきくことができる。そうすることによって、カラヤンはここで、作品の抒情的な側面をうきぼりにした。」
(「名演奏家レコード・コレクション2001」1979年、音楽之友社刊より)

つまり、カラヤン指揮の《ニーベルングの指環》四部作は、カラヤンのオペラ・レコード作りの転換点となり、ワーグナー演奏史の転換点ともなった、記念碑的な録音なのです。
(タワーレコード)

【収録予定】
楽劇『ラインの黄金』
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ヴォータン)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、ジョゼフィン・ヴィージー(フリッカ)、ゲルハルト・シュトルツェ(ローゲ)、エルヴィン・ヴォールファールト(ミーメ)、マルッティ・タルヴェラ(ファゾルト)、カール・リッダーブッシュ(ファフナー)、オラリア・ドミンゲス(エルダ)、ロバート・カーンズ(ドンナー)、ドナルド・グローブ(フロー)、シモーネ・マンゲルスドルフ(フライア)、他

楽劇『ヴァルキューレ』
レジーヌ・クレスパン(ブリュンヒルデ)、トーマス・ステュアート(ヴォータン)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ジークリンデ)、ジョン・ヴィッカーズ(ジークムント)、マルッティ・タルヴェラ(フンディング)、ジョゼフィン・ヴィージー(フリッカ)、他

楽劇『ジークフリート』
ジェス・トーマス(ジークフリート)、トーマス・ステュアート(さすらい人)、ゲルハルト・シュトルツェ(ミーメ)、ヘルガ・デルネシュ(ブリュンヒルデ)、カール・リッダーブッシュ(ファフナー)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、オラリア・ドミンゲス(エルダ)、キャサリン・ゲイヤー(森の小鳥)

楽劇『神々の黄昏』
ヘルガ・デルネシュ(ブリュンヒルデ)、ヘルゲ・ブリリオート(ジークフリート)、カール・リッダーブッシュ(ハーゲン)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、トーマス・ステュアート(グンター)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(グートルーネ)、クリスタ・ルートヴィヒ(ヴァルトラウテ)、他

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

録音:1966年8、9、12月(ヴァルキューレ)、1967年12月(ラインの黄金)、1968年12月、1969年2月(ジークフリート)、1969年10、12月、1970年1月(神々の黄昏) ベルリン イエス・キリスト教会