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ファジル・サイがまったく新しい視点で見た『J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲』

ファジル・サイ

作曲家兼ピアニストのファジル・サイが、まったく新しい視点で見たバッハの傑作!
日本語解説書付(ファジル・サイによる解説の日本語訳、前島秀国 氏による書き下ろし解説を掲載)

名曲中の名曲とJ.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、不眠症に悩む伯爵のために、バッハの弟子ゴルトベルクが演奏したとも言われてある傑作です。チェンバロ(2段鍵盤付きクラヴィチェンバロ)のための作品で、冒頭と最後に置かれたアリアの低音パートに基づく30の変奏は、高度な対位法の技術が凝らされており、変奏曲の歴史における頂点の一つとして知られています。

冒頭のアリアの、穏やかで豊かに装飾された旋律の美しさは、すこぶる印象深いものですが、この作品が構成されている重要なのは、「アリアの低音パートに基づいた変奏曲」という点で、このアリアの低音を示している最初の8小節は、パッサカリアやシャコンヌによく使われた形式になっています。さらに32小節にわたるバスを基礎に、30の変奏が展開するわけですが、各々の変奏曲には、それぞれ新しい素材や手法、固有の雰囲気が盛り込まれていて、個々の魅力とともに有機的に配列されて壮大な全体が形成されています。

ファジル・サイは、この重要な低音パートに目を向けています。バスや内声の大胆な強調、バロック的アゴーギク、ときにはリズムのほんの少しのずらしを加え、メリハリをつけ、右手と左手で強弱の対比を生み出していきます。これはチェンバロでの演奏法では不可能なものですが、あえてピアノで演奏するという意義を問いただしています。左手のバスも突っかかるような強いアクセントで切るような鋭くリズミカルなタッチは即興的で、それぞれの形式的なところから逸脱するかのようなジャズ的にも感じられ、左手の動きを主旋律として聴かせるような弾き方は、これまでになく劇的な緊張感と躍動感が秘められているのが感じられます。これこそ、ファジル・サイの洞察に満ちた見事なバッハの頂点のひとつと言えます。
(ワーナーミュージック・ジャパン)

【曲目】
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988

【演奏】
ファジル・サイ(ピアノ)

【録音】
2022年2月17日~3月3日、
トルコ、イズミル、アフメト・アドナン・サイグン・アーツセンター

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2022年10月14日 12:00