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インタビュー

渡辺俊美(Redevelopment)(2)

僕はいまのジャズをやりたい。ヒップホップもジャズだと思う

[ VIDEO 1:44 ] 動画を見る(1)

──『Redevelopment』を企画した動機はどういうところにあるんですか?

僕はここしばらくずっと、モダン・ジャズしか聴いてなかったんです。もちろんCDではいろいろなものを買ってるんですけど、アナログで買うものはほとんどモダンジャズばっかり。で、そういうものをコスプレみたいな感じで再現するんじゃなくて、いまのジャズ、新しいジャズを作りたいなという気持ちがあった。


VIDEO 渡辺俊美インタビュー[1]

TOKYO No.1 SOUL SET(の音楽の作り方)はリミックスだったじゃないですか。たとえば僕のギターのフレーズを一部分だけサビにもっていって、その間にはビッケのラップをいれようとか、じゃあトラックはどういうふうにしよう、みたいな。でも今回は、それとは違って自分のスタンダードというのを自分の中で作りたかった。で、そういう視点に沿ってライブに行ったりすると、あ、オモロいバンドがいっぱいいるなあということに気づいたんです。

ほんとは2年ぐらい前からソロをやりたくて、PE'Zのドラムの子に「手伝ってよ」って話してたんだけど、あれよあれよという間にPE'Zは有名になっちゃって。PE'Zはクールだし、いままでにないバンドです。インストバンドなんだけど、スカパラみたいないい意味でキャバレーっぽいのとは違って、全然水っぽくない。

彼らはヒップホップも好きだったりして、いわゆるジャズ畑ではないんです。テクニックに走るんじゃなくて、ちゃんと全体で完成されている。いまの音楽も許容できて、それであえてジャズをやっているっていうのが、僕はかっこいいと思うんです。

──どうして「ジャズ」ばかり聴くようになったんですか。

4、5年前ぐらいから聴くようになりました。いちど手が動かなくなったことがあって、そのときにいちばんしっくりしたのがモダン・ジャズだったんですね。落ち着くというか。なにを聴いても落ち着かなかったんですけど、でもウェス・モンゴメリの音楽をスタジオで聴いていたら、落ち着いてくるんですね。それで買い集めました。

──『Redevelopment』にコンパイルされている音楽は、ジャズとは言っても、あくまで渡辺さんにとってのジャズですよね。ストレート・アヘッドないわゆるジャズとは違う。

[ VIDEO 1:42 ] 動画を見る(2)

モダン・ジャズは昔のジャズ。僕はいまのジャズをやりたい。ヒップホップも僕はジャズだと思うんです。AメロBメロCメロがあってサビがあってという歌謡曲みたいなのとは違う音楽ということです。

日本人がどうしても乗れないリズムってあるじゃないですか。外国のトライバルな音楽とか。でも、もうそろそろ、この子たちとか慣れてきてるんじゃないかな。それから、いまは楽器できなくても音楽作れちゃうじゃないですか。ターンテーブルとサンプリングで。そういうこともみんなわかってる連中なんですよ。で、あえてアナログでバンドでやっている。一回消化している。それにいいところだけループさせる感覚とか、それにメロディをつけたりとかっていうのは、新しいジャズのかたちじゃないかなと。

──ヒップホップやクラブミュージックを通過している世代ということですね。

ビートルズとかストーンズとかディープ・パープルとかが好きな世代ではないっていうことですね。初めから、ハウス・ミュージックやレゲエやヒップホップを聴いてて、逆に遡るというか、ネタを探していく。逆のパターンだと思うんです。

──なぜいま、同時多発的にマニュアル演奏に向かう若いバンドが多いのだと思いますか。

ヒップホップがコマーシャルになってきているということが背景にあると思うんです。誰でもできるものになってる。ファッションから入ってきちゃってるから、ワルっぽい格好とか。気持ちはわかるんですけど。

──『Redevelopment』は単に1枚のコンピレーション盤ではなくて、イベントなどへの展開も予定しているんですよね。

[ VIDEO 1:46 ] 動画を見る(3)

やっぱり面白いんでね。なかなかこういうの集まらないと思うので、見せたいですよね。事務所の都合で集めたようなイベントじゃないし、ちゃんと自分らで楽しめるようなものが作れるような気がするんですよ。

──音楽だけでなくて、会場内で模擬店をやったりするんでしょう?

カレー屋さんとパン屋さん(笑)。遅くまでやるんで、お腹空くじゃないですか。外にも出られないし。だから1時間ぐらい小腹が持つんであればいいかな、みたいな。パンなら持って踊れるしね。野外イベントみたいなのを屋内でやりたいなと。

こういうことはまずやってみないと。最初から火はダメだ汁物はダメだあれはダメだって言ってたら、結局なんもできなくなって、音楽しか残んないと思うんですよね。でも音楽以外の生活の中から生まれてくるものって、すっごい多いと思うんで、そういうのって大事だと思うんですよね。年がら年中CD聴いてる奴とか、あんまり信用できないですもん、やっぱり。

──渡辺さんのところの服も売ったりするんですよね。

『Redevelopment』オリジナルのやつを製作中です。たいしたものは作んないんですけどね。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2002年05月30日 13:00

更新: 2003年03月07日 19:32

文/bounce.com編集部