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インタビュー

PRIMAL

MSCから2発目のソロ・アルバムが登場!

  06年のセカンド・アルバム『新宿 STREET LIFE』によって全国区の評価とセールスをモノにし、いまやジャパニーズ・ヒップホップのアンダーグラウンドな側面を代表する存在となったMSC。その中軸を担うラッパー、PRIMALがソロ・アルバム『眠る男』を完成させた。05年の漢『導~みちしるべ~』に続く、クルーのソロ第2弾。〈MSC第二の男〉と目される(当人にとっては腹立たしい認識のようだが)彼が放つ単独作は、シーンがいま最も待ち望んでいた一枚と言えるだろう。

「MSCは、もともと北新宿にアジトを構えてやってたんですけど、そこを解体して、みんなバラバラに住むようになって。ソロ・アルバムについて考え始めたのはその頃ですね。MSCの『新宿 STREET LIFE』を作ってる時には、〈次はPRIMALだな〉っていう雰囲気がクルーの中にもありました。でも何よりも、ソロを出したいっていう自分の意思が強かったんです」。

  インタールード的な楽曲は一切なし。18曲全てにラップが刻み込まれた濃厚すぎる構成からは、初ソロ作に対する気合がビンビンに感じられる。サンプリングを主体とした統一感のある音像は、メジャー的なプロダクションも取り入れたMSCの『新宿 STREET LIFE』とは一種異なる仕上がりを見せている。

「『新宿 STREET LIFE』は自分の中でも満足できる作品だったんです。だから、目標という意味では意識したけど、違うものを作ってやろうと思ってサンプリング主体になったわけではなくて。音に関して言えば、今回はDEV LARGEさんのトラックがアルバム全体の雰囲気を決めたところがあるかもしれないですね」。

  そのDEV LARGEは本作で3曲を担当。トレード・マークと言える匠のサンプリングさばきで、脂ぎったグルーヴを楽曲に注ぎ込んでいる。またDEV氏同様、かねてから親交の深いMAKI THE MAGICとILLICIT TSUBOI(共にキエるマキュウ)もビートを提供していたりと、アルバムからは、上の世代からの信頼も厚いPRIMALの姿がうかがえる。

「MAKIさんとは遊ばせてもらってますけど、あの人は奥が深すぎて、まだまだわからないことだらけというか(笑)。キエるマキュウは音もすごい好きなんですけど、実はリリック面で影響を受けてますね。まあマキュウは独特すぎるので、真似しようにもできないんですけど(笑)」。

『眠る男』というタイトルに強く表れているように、本作を貫いているのは、メロウでメランコリックな感覚だ。MSCのハードコアで攻撃的な姿勢を支持しているようなリスナーに向けて、こうした〈大人〉な世界観を提示することは、静かながらも挑発的で挑戦的な行為だと思う。

「バンドとのセッションで作った“1week”と“田園都市 -WATASHI REMIX-”なんかは昔から持ってた曲だし、初期のライヴから見てくれている人なら、オレの資質はそんなに変わってないと感じると思うんです。確かに、最近オレらを知った若い子の中には、(本作を聴いて)牙を取られたな、みたいに思うやつもいるかもしれない。でも、こういうヒップホップがあるということを見せたかったし、それはプラスになると思う。とにかく自分を信じて、今しかできないものを作ったという感じですね。捨て曲も未収録曲もなし。全部出し切りましたから」。


PRIMAL『眠る男』
1.武闘宣言(試聴する♪
2.ブッダで休日
3.器用貧乏
4.存在
5.情熱と快楽に生きる今
6.東京 Discovery 2
7.実態
8.とことん病
9.反骨精神
10.Emotional
11.眠る男
12.今を生きる
13.SHADOW
14.My Way
15.川崎 Backing The Day
16.1 week
17.田園都市 -WATASHI REMIX-
18.戒壊

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2007年09月27日 18:00

更新: 2007年09月27日 18:02

文/澤田 大輔