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インタビュー

毛皮のマリーズ

ロックの神様も熱狂する異形の4人組バンドが暗黒ロック・アルバムを発表!!

  「いま曲が書けてしょうがないんです。書けないときは、まったく出てこないんですけどね」(志磨遼平、ヴォーカル:以下同)。

 インタビューが始まる直前までメンバーと一緒に作詞をしていた姿を見る限り、現在のバンドの状況はすこぶる良好のようだ。迷いのない音、度重なる絶頂感と昂揚感、しかし不必要に緊張感を強いることなく、時にロマンティックなメロディーの中で身悶える。毛皮のマリーズのロックンロールは劇薬である。唯一の副作用は、その中毒性だ。彼らがこのたび発表した最新ミニ・アルバム『Faust C.D』は、その名もズバリなセカンド・アルバム『マイ・ネーム・イズ・ロマンス』発表後、たった5か月のインターバルで発表された。しかしこの作品、いままでと何かが違う。

 「セカンドの曲は、ファーストを出す頃にはほとんどできていたんです。50年代のアメリカン・ポップスみたいなのが自分のなかでブームで、その方向性でコンセプトを作り、ゲストを呼んで豪華にして、セカンドとして出したんですけど、その作品を録っている最中に、ドバドバ曲が書けるときがきたんです。そのときの曲が、今回のミニ・アルバムですね。だから、ほとんど同時に作っていたんです。ホントは同時発売か、1か月後にはリリースするつもりでいたんですが」。

 本作は、一聴しただけでビリビリとした空気が電流のように伝わってくる。この不気味なオーラは、これまでのマリーズにはなかった要素だ。

 「すべてゼロになったら気持ちいいだろうなぁ、って思う感覚ってないですか? いままで頑張ってきた人、頑張ってこなかった人、全部が振り出しに戻るんですよ。お金持ちも貧乏人も、まったく同じ土俵に並ぶんです。価値観が全部なくなる状態。あるとき、僕はバンドの活動がものすごく遅く感じたんですね。なんか、緊張感がないっていうか。だから〈良くないライヴを一本でもやったら、もう解散しよう〉とメンバーに言ったんです。〈一日でも負けたら解散や!〉って。それがちょうどセカンド・アルバムを録り始める頃だったので、〈これがラスト・アルバムだから、全力で取り組もう〉と。そのテンションをパッケージにできたら、もう恥じるものは何もないなと思ったんです。ちょうどその時期に生まれた曲が今回のミニ・アルバムの曲なので、ある種〈悪魔〉的な感情、〈全部なくなっちまえ!〉というムードがあります。ロバート・ジョンソンやゲーテのように、悪魔と契約して何かを得る。そういうモチベーションですね」。

  彼らにとって、音楽的なモチベーションを支えるものが迷いや怒りや初期衝動でないことは確かである。綿密な計画性と、音楽としてパッケージする意義を、作品ごとにキッチリと見せ、そして聴かせる。しかし、今作には暴力性とメランコリックなメロディーの裏に、あきらかな初期衝動が渦巻いている。

 「珍しく初期衝動なんですよ。まあ、セカンドはポップなのでこのミニ・アルバムでビビらしたろう、という気持ちはありました。ただ、僕の作る曲は、全部理論的に説明できますよ。そうじゃないと嫌なんです。ストーンズもそうなんですよね。だから聴いているとメッチャ気持ち良い」。

 ローリング・ストーンズのようなヴードゥー・ロック、プライマル・スクリームのようなダーティーでミニマルなダンス・ミュージック、バーズのような霧煙るサイケ・サウンド、爆走するハードコア・パンク……。すべての楽曲で音像が屹立し、曲ごとの振り幅も凄まじい。まさに、悪魔に魅入られたかのようにカオス。しかし、本作を吐き出したことにより、彼らは明確な野望が見えたという。志磨は、まるで憑き物が落ちたような顔をしていた。

 「僕は何かのシーンに属しているとか、そういう意識はまったくなかったんですよ。でも気付いたら、〈何とか系〉とか呼ばれていて、そのシーンの一角を担う存在になってしまっているんですよね。関西出身で、東京でバンド結成して、関西ゼロ世代と東京の爆音ブームに片足ずつ突っ込んでいて、出演するライヴハウスが高円寺U.F.O. CLUBと新宿レッドクロスでしょ? 確かに、ものすごくわかりやすい。でもね、そういうのが嫌になった。アングラ・シーンの帝王とかじゃなくて、サクセスしたいんです。もちろん、売れ線やとか、そういうことは考えていません。カッコ悪いことをやっても売れないので、音楽的にもっと良くなると思います。〈音楽って何やろう?〉とか〈人間って何やろう?〉とか、いままでは、余計なことを考えすぎました。もう余計なことはどうだっていい、売れます!!」。

毛皮のマリーズ 『Faust C.D.』
1. おはようミカ(試聴する♪
2. 人生
3. ハートブレイクマン
4. 非・生産的人間
5. ジャーニー(試聴する♪
6. ライデイン(愛と笑いのロード)

▼その他の毛皮のマリーズの作品を紹介

毛皮のマリーズ『Faust C.D.』 タワーレコード・キャンペーン情報!
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毛皮のマリーズ『Faust C.D.』応援店リスト
渋谷店、新宿店、池袋店、福岡店、京都店、仙台店、名古屋近鉄パッセ店、川崎店、浦和店、水戸内原店、岡崎店、若松店、下田店、香椎浜店

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2008年05月15日 18:00

更新: 2008年06月05日 19:03

文/冨田 明宏