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インタビュー

GENERAL HEAD MOUNTAIN

夜のしじまを切り裂く衝動的なロックンロールで、哀愁に満ちた世界を浮かび上がらせる3ピース・バンド

  まるで胸を掻きむしるような、哀切の響きに満ちたバンドである。宮崎県出身の若き3人組、GENERAL HEAD MOUNTAIN。昨年リリースされた初のフル・アルバム『月かなしブルー』で注目を集めた彼らが、新しいミニ・アルバム『木漏れ日にツキル』を完成させた。全編日本語詞による叙情的な世界観を持ち、衝動に満ちた美しくも激しいバンド・サウンドを奏でる彼ら。中心人物の松尾昭彦(ヴォーカル/ベース)に、その音楽性の由来をじっくりと訊いた。

――まず、バンドが結成されたのはいつ頃のことなんでしょう?

松尾 9年くらい前ですかね。僕がまだ高校生くらいの時で。すごく田舎なんで、することがなくて暇だったんですよ。最初は、Hi-STANDARDとMONGOL 800とブルーハーツのコピーやりましたね。でも曲を覚えるのがイヤになって、自分で作り始めました(笑)。

――GENERAL HEAD MOUNTAINには日本のフォークの影響のようなものも感じるんですけれど、そういうルーツはありました?

松尾 父がそういうのがすごく好きでしたね。意識はしてないですけど、小さい頃から吉田拓郎さん、松山千春さん、井上陽水さん、泉谷しげるさんとかを聴いていて。家で流れてもいたし、歌ってたりもしてましたね。それでこういう曲が書けたんだと思います。

――では、いざバンドを始めようという時には、まずどういう音楽をやろうと思いました?

松尾 とりあえず速い曲がよかったんです。で、英語はイヤだなって思いましたね。何言ってるのかわかんないし、ここ日本じゃんって思ったから日本語で歌うっていう、そんなくらいですね。

――GENERAL HEAD MOUNTAINの曲って、歌詞の情景もテーマも基本的に〈夜〉だと思うんです。自分にとってそういう楽曲が出てくるのは何故だと思います?

松尾 僕は基本的に夜型なんですよ。夜に曲を書いているのが多いというのがいちばんの理由なんですけど。たいがいは夕方の5時か6時に起きて、「とくダネ!」(フジTV系列で平日8:00~9:55に放送中の情報番組)を観て寝るみたいな生活ですね。

――そういえば、音楽を始める前は、野球少年だったという話も聞きましたけど。

松尾 野球はすごく好きでしたね。中学までは一生懸命やってました。でも高校ではやらなかったんですけど。

――野球の世界って健全な、いわば〈昼〉の世界ですよね? そこから、いまみたいな〈夜〉の世界に変わっていったのはどういう経緯があったんでしょう?

松尾 たぶん僕、高校生の時は無理してたんですよ。人に合わせたくないのに合わせたり、ヘラヘラしたりして生きてたんで。それで、「あ、ダルい」と思ったらこうなりました(笑)。基本、僕、人見知りなんですよ。でも、そんなこと言ってたら友達できないなって思って、ヘラヘラして、チャラくしていて。それがパーンって弾けたんですよね。もういいやって思ったんです。

――バンドが始まって、それ以前の自分と変わったことってなんだと思います?

松尾 あんまり変わってないと思いますけど。いつだって性格が曲がっているので。

――アルバムは、どの曲も非常に切羽詰まっている感じですよね。リズムにしてもメロディーにしても言葉にしても、のんびりした心地良いものをめざしていない。それはなぜだと思います?

松尾 そのほうが格好良いと思ってるし、聴きたいと思ってるんですよ。でも、そういう音楽がなかなかなかったので、自分で作っちゃえと思って作ってるんですけど。

――“東京”なんか、その極致ですよね。35秒しかないという。

松尾 それ以上必要ないんですよね。ちゃんと曲として成立してるから35秒なんですよ、僕のなかでは。こういう曲もあっていいんじゃないかって思うんですけど。

――東京という街にはどういうイメージを持ってます?

松尾 いろいろあって、凄いなと思います。音楽もしやすい環境だし、スタジオもライヴハウスもたくさんある。僕はまあ、好きじゃないですけど(笑)。僕、田舎の人なんで、空気が合わないんですよ。

――ちなみに、好きじゃないものって、他にもあります?

松尾 なんだろう……ねちっこい人間関係とか、得意じゃないですね。「俺ら親友だからさ、全部話せよ!」みたいな、そういうのは。引いちゃうんですよね。ありがたいんですけど。

―― 一人でいるほうが心地良い?

松尾 そのほうが楽ですね。でも一人じゃ無理じゃないですか。だからそれなりに頑張ってますけど。

――仮に、自分がソロの名義でやってたらどういう音楽になっていたと思います?

松尾 もっと、広がりのある感じでやってたと思いますね。いまはギューっとしてる音じゃないですか。ひとりなら、もっと大きい世界を描こうとしてた気がします。それはバンドをやってるから思うのかもしれないけれど。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:42

文/柴 那典