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インタビュー

スーパーノア 『雨の惑星、ステレオの向こう』 colla



  滑らかにスライドする変拍子と恐ろしくキャッチーなメロディーで聴き手の昂揚感を豪快に巻き上げるギター・ロック・ナンバー“ギフト”の痛快さに冒頭からノックアウト。さらには流麗なギター・リフと清洌なピアノの調べ、伸びやかな歌声がグイグイと高度を上げながら飛翔するタイトル曲や、鈍色のサイケ感が気怠くのしかかる“最後の車窓から”など、どこを取っても名曲揃いの全7曲――語弊があるかもしれないが、スーパーノアの初の全国流通盤『雨の惑星、ステレオの向こう』は、スタイリッシュさが極力排除されている点が、たまらなくイイ。おとなしそうな見た目とは裏腹に、ステージ上の4人は実体なき何か(カタルシスと言えるかもしれない)に対してがむしゃらに立ち向かう。そのなりふり構わない姿には心を動かされずにいられないし、彼らが発するむせかえるような熱気は、この銀盤にもしっかりと刻み込まれている。

 時代を超越したノスタルジックな歌詞とフォーキーな旋律、新世代バンドらしく連ねられる変拍子や転調。しかし、聴いた感触は流れるように軽やかで自然だ。本人たちは「珍妙」と評しているものの、ライヴで育て上げた精度の高いアレンジには、無尽蔵のポテンシャルが感じられる。本作のなかで響いているのは、京都の地下だけには収まりきらない、堂々とメインストリームを歩んでいくことができるであろう普遍性を湛えたロックンロールである。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年07月08日 18:00

更新: 2009年07月13日 18:48

文/土田 真弓

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