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インタビュー

7(seven)──村上“ポンタ”秀一

ポンタの今がつまった、スーパー・グループ第2弾!

「ノー・マイクで、小さな音でいけるかを確認する」ため、今は意識的に小さなライヴ・ハウスを回ろうともしている。意気軒昂。ながら、2011年1月1日に還暦を迎える。

「俺、せいぜい40歳までだと思っていた。日本の業界を見ると、あまりに名前だけで生きている先輩がいて、俺はそう思われるのがやだから、とっとと辞めようってね。ところが、40歳になってもやりたいことはあるし、もっと行けるなあって。お酒とお姉ちゃんを断って、2年。酒をやめてから微妙なコントロールができるようになった」

そんな彼の〈今〉のプロジェクトの一つが、7(seven)。井上鑑(キーボード)、島健(ピアノ)、松原正樹(ギター)、後藤次利(ベース)、斎藤ノブ(パーカッション)、本田俊之(ソプラノ・サックス)……、奏者としてだけでなく、作/編曲家、制作者としても売れっ子の日本音楽シーンの重鎮たちを束ねた、まさにスーパー・グループだ。

「でも、皆、楽器小僧。大先生の顔して普段は街を歩いている彼らをもう一度、楽器小僧に戻してやりたかった。たとえば、(後藤)次利。月に100曲以上も書いているアイツが必死で弾いている。彼からは良くメールがくるんだけど、<貸しスタジオで練習しているんだけど、難しいなー>。もう、みんな可愛いよねー」

とにかく、多忙な面々。当初は企画はしたものの半分あきらめたとか。ながら、スケジュールがやっと合い、同名のスタジオ・ライヴ作を08年にリリース。その後、一回限りで終わらせるのはもったいないとの声がメンバーから相次ぎ、2度のビルボードライブのツアーを敢行。その新作『7(seven) returns』は2度目のツアーの一環、2010年7月12日、13日の東京でのパフォーマンスを収めたものだ。

「今回はメンバーの資質も考えて、MCも入れずにつながった組曲~なんか音絵巻みたいなアルバムにしたかった。俺、こういう曲を書いてくれと、一人一人にちゃんと説明して回ったの。最初からストーリーがあったので、頭のなかには最初から曲順も決まっていた」

さすが当たり前の事が大嫌い。新作はライヴ盤ながら、ほとんど初出の新曲で固められている。例外の2曲は、マイルス・デイヴィス曲(《ワン・フォン・コール》)のカヴァーとデビュー作収録の《ジャム・リポート》。これじゃ、新作を作るのと同じ労力を使っているじゃないか。

「やっぱり、同じことしたくないよね。皆俺の事を解ってくれてて、イメージ通りの曲を書いてきてくれた。この世知辛いなか、皆本気でやってくれるのがありがたい。でも、リハはあんまりしていない。俺が行かなかったとき、あるもん(笑)。でも、皆適応力あるし、自由に行けるからそれでいい」

各々が持つ才や経験が奔放に解き放たれ、それがもう一つ先のステージでがっちり束ねられる様を切り取った、瑞々しくも整合性の高い実況報告。まさに『7(seven) returns』はポンタ印の、我が道を行くジャズ・フュージョン盤となっている。

『「7(seven)returns」リリース記念ライヴ』
1/30(日)【1部】16:00開場/17:30開演
【2部】19:30開場/20:15開演
会場:Blues Alley Japan
http://www.bluesalley.co.jp

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年12月27日 11:43

更新: 2010年12月27日 12:31

ソース: intoxicate vol.89 (2010年12月20日発行)

interview & text : 佐藤英輔