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インタビュー

小田和正 『どーも』

 

 

 

『そうかな』から約6年を経て、小田和正の待望の新作が完成した。
<どーも>という問い掛けに、気づくとこちらも<どーも>と応えていそうな、実に心地よい仕上がりだ。
ここにあるのはキャリアからくる重厚さではなく、むしろ瑞々しさ。
3年間にも及ぶレコーディングのことを、本人の言葉を交えて探っていこう。

 

「『どーも』は<ど~もぉ~~っ!!>っていう、「も」を上げて叫ぶイメージで受け取って欲しいんだけど」

  『どーも』の起点となった曲は“今日も どこかで ”だ。08年のツアーに向けて作られた。
同じ年のドーム・ツアーでは“さよならは 言わない”が生まれている。
他にも映画主題歌として準備していた曲があった。
当初09年に予定されていたアルバムとツアーは、さらにじっくり
<曲作りをしたい>という本人の希望で延期される。
2010年にはアルバム作りに拍車がかかる。曲作りに集中し、
多くの時間がレコーディングに費やされる。

 

「最初思っていたのは、それまで準備していた曲がバラードばかりで、
そればかりになっても…、ということだった。そんな時、ドラマのタイアップの話が
あって、軽快なテンポの“グッバイ”が生まれたんだよ」 

 

この曲が出来上がり、温めていた他のアイディアも具体化し、アルバム全体の印象も変化していく。
最終的に収められた10曲は、まさにヴァラエティに富んだものだ。 

 

「3年間という製作期間があったお蔭で、1曲づつじっくり作ることが出来た。
同じ時期に何曲かやってると、どうしてもひとつづつに掛けられる力も何分の一かになるけど、
今回は俺の力が100だとしたら、それぞれを100の力でやれたと思う。このことは大きかったね」

 

  すべての曲を、ひとつづつ「書き切ることが出来た」と小田は言った。
このアルバムの曲達が、それぞれに独立した世界観を持っているのはそのためだろう。

 

 

 

 

  今作はいくつかのグループに分けることが出来る。
冒頭でも紹介した“今日も どこかで ”、さらに今年のツアーに向けて書かれた“やさしい雨 ”は、
まさにステージで歌うことを意識していて、CDとツアーの繋ぐ役割を担った作品だ。
同じくステージではお馴染みで、ファンから音源化の要望か高かった“東京の空”も収録されることとなった。
そして“グッバイ ”や“若葉のひと”、“こたえ”は、ドラマやCM、映画のために書き下ろされた。

 

「“若葉のひと”はコマーシャル(綾瀬はるか出演のマックスファクターのCM)で流れた部分のみ
書いてあったのを、このアルバムのためにフル・サイズの1曲にしたんだ。
でも、まさにそのCFの映像を見ながら詞を書いたところがあって、
そうじゃなければ<コロコロと笑う>なんて表現も出てこなかった。
“こたえ”は「ジーン・ワルツ」という映画の主題歌だったので、脚本を読ませて頂いてから
この映画が伝えたいことはこういうことなんだろうというところから書いた。
ただ、タイアップといっても先方が曲を書くの手伝ってくれるわけじゃないからさ(笑)
大変は大変なんだよ」

 

  これらとは別にノンタイアップの曲があり、そこには小田和正というアーティストの
ルーツと思われる音楽性も顔を出していて興味深い。“君のこと”や“誰れもどんなことも”である。

 

「タイアップということから解き放たれたのはいいんだけど、
じゃあどうやってテーマ見つけるのかってことでもあって、
気がつくと「そうそう、俺はこの感じのサウンドが好きなんだ」みたいなところから入っていってたね。
そういう書き方は今までしてこなかったから新鮮だったし、
しかもそれを、懐古趣味ではなくやれたのも今回の成果なんだろうな」

 

  “君のこと”は小田が音楽を始めた70年代前後に流行していたフォーク・ソングのスタイルを取っている。
イントロで聴こえてくるアコースティック・ギターの響きが清々しい。
しかし聴き進むと、新たなチャレンジから生まれたアレンジが響いている。
小田の言う「懐古趣味ではなく」というのは、そのあたりを指してのことなのだろう。
“誰れも どんなことも”には、かつて曲作りのお手本にもした70年代のシンガー・ソング・ライター、
キャロル・キングなどからの影響が感じられる。
レコーディングも終盤になると、小田は改めて自分のヴォーカルを検証し直して、
ぎりぎりまで様々な楽曲の細かい部分の録り直しなども行ったという。

 

  ところで…。そろそろ肝心なことを知りたいと思わないだろうか?
なぜこのアルバムは『どーも』と名付けられたかだ。
前作も同じ平仮名の『そうかな』だったが、何か関連はあるのだろうか。

 

「『どーも』は<ど~もぉ~~っ!!>っていう、「も」を上げて叫ぶイメージで受け取って欲しいんだけど。
俺はステージに出て行って、まずそう叫ぶことが多いけど、そうして始まった08年のツアーからの
3年で、さまざまな場所に血を通い、このアルバムになったわけだからさ。
そもそも真面目すぎるタイトルは時間が経つと飽きる。とってもいいタイトルなんじゃないでしょうかね」

 

  震災のためにスケジュールが変更されたツアーは5月からスタートする。
仙台で学生時代をおくった小田である。もちろん、一日も早い被災地の復興を願って。

 

 

 

  

 

■NEW ALBUM 『どーも』……now on sale!

SONG LIST

01.君のこと
02.グッバイ (TBS系ドラマ日曜劇場 「獣医ドリトル」主題歌
03.若葉のひと (2009年 「MAXFACTOR」CM曲)
04.hello hello (映画 「ロック ~わんこの島~」主題歌)
05.誰れも どんなことも
06.こたえ (映画 「ジーン・ワルツ」主題歌)
07.やさしい雨 (TBS系 「夢の扉+」テーマ曲)
08.さよならは 言わない (関西テレビ放送開局50周年記念ドラマ 「トライアングル」主題歌)
09.今日も どこかで (フジテレビ系 「めざましテレビ」テーマ・ソング)
10.東京の空

 

■LIVE… 

「明治安田生命 Presents KAZUMASA ODA TOUR 2011どーもどーも~その日が来るまで」

 

5/07(土)、08(日) 長野BIG HAT
5/14(土)、15(日) サンドーム福井
5/21(土)、22(日) 愛媛県武道館
5/28(土)、29(日) 三重県営サンアリーナ
6/03(金)、04(土) スカイホール豊田
6/08(水)、09(木) 横浜文化体育館
6/14(火) 京都会館第一ホール
6/15(水) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
6/18(土)、19(日) 鹿児島アリーナ
6/25(土)、26(日) グランメッセ熊本
7/02(土)、03(日) 沖縄・宜野湾市海浜公園屋外劇場
7/09(土)、10(日) 広島グリーンアリーナ
7/16(土)、17(日) 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
7/23(土) さぬき市野外音楽広場テアトロン
7/29(金)、30(土) 岡山市総合文化体育館
8/09(火)、10(水) 国立代々木競技場第一体育館

and more…その後のスケジュールはHPまで。 

 

 

 

 

■PROFILE…小田和正(おだ かずまさ)

70年にデビューしたオフコースを経て、89年よりソロとして活動。多数のヒット作を産み出し、
07年に発売したアルバム『自己ベスト-2』ではアルバム最年長1位記録を更新し、幅広い層の支持を受け続けている。
今年約6年ぶりとなるアルバムをリリース!!

 

   
記事内容:TOWER 2011/4/20号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年04月25日 14:00

更新: 2011年04月26日 10:30

ソース: 2011/4/20

小貫信昭