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インタビュー

フランク・オーシャンのメロウに爛れた歌世界

 

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ニューオーリンズ出身のフランク・オーシャンは、OFWGKTAで唯一のシンガーだ。2005年にLAの大学に編入し、そこでの音楽活動が彼のキャリアの幕開けとなる。2009年にトリッキー・スチュワートと出会い、ソロ・アーティストとしてデフ・ジャムと契約を交わす好機を得るも、結局デビューすることはなくディールは解消される羽目に。しかし、デフ・ジャム在籍時には本名のクリストファー“ロニー”ブリュー名義でジャスティン・ビーバーやブランディ、ジョン・レジェンドらに楽曲を提供し、ソングライターとしての才能を発揮するのだった。今年に入ってからは、OFWGKTAとしての活躍が脚光を浴びると同時に、ビヨンセの新作『4』に収録された“I Miss You”のソングライティングを担当。ヒップホップ/R&B、そしてマス/コアを隔てることなく注目される存在になった。

OFWGKTAメンバーの作品においては、タイラーの薄気味悪いラップを中和してくれるメロウな歌声ではあるが、その歌詞内容は驚くほど排他的だ。8月にデフ・ジャムから出る『Nostalgia Lite』(今年の2月にフリー配信された『Nostalgia, Ultra』のEP盤)からのリード・シングル“Novacane”では、クスリでトリップしながら快楽に溺れる様が仔細な情景描写を伴って鮮やかに歌われている。生音を重視したトラックに乗せて歌う様子は、さしずめ新世代のネオ・ソウル・シンガーとでもいった風情か。

 

▼フランク・オーシャンの書いた楽曲を含む作品を紹介。

左から、ブランディの2008年作『Human』(KnockOut/Epic)、ジャスティン・ビーバーの2010年作『My Worlds』(Raymond Braun/Island)、ビヨンセのニュー・アルバム『4』(Columbia/ソニー)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年07月27日 17:59

ソース: bounce 334号 (2011年7月25日発行)

文/渡辺志保