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インタビュー

髭 『それではみなさん良い旅を!』

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髭のニュー・アルバム『それではみなさん良い旅を!』が届けられた。
レコード会社を移籍し、心機一転発表された今作は、これまで以上に外向き、
上向きな楽曲を揃えながら、作品全体に満ちたマインド・トリップ感がたまらない1枚。
アイゴン加入後初のゼロベースからのアルバム制作となり、様々な新機軸を擁した、
聴き手それぞれを、その時の気分やタイミングで、さまざまな場所へとトランジットさせてくれる作品だ。

「今回は特にアレンジよりは音像や音域、歌が主役になるように心がけた」(須藤寿)


髭にとって1年3ヵ月ぶりのアルバムとなる今作は、大きく分けて4つの新機軸を有している。

①日本コロムビアへの移籍
② アイゴン(會田茂一:ギタリスト、音楽プロデューサー、元EL-MALO。
過去髭の作品にプロデューサーとして関連) を、正式メンバーとして迎えての
ゼロベースからのアルバム作り
③久々となる全曲セルフプロデュース作品
④前作でのほぼ須藤1人の世界観に対し、作曲やインタールードを始め、
他のメンバーの積極的な作品への携わり


まずは新環境とも言える①について。

須藤寿(Vo.&G.)「幸いにも今まで通り好き勝手演らせてもらってます(笑)。
制作や活動に関するストレスも全くないし、チームワークもバッチリですよ」


続いて、②はどうだろう。

「アイゴンさんとは、ライヴを中心にレコーディング等々、この1年ほぼ一緒にいましたからね。
それによる更なる親密度のアップや、あまり説明せずとも、お互い演りたいことを察することが
できるようになったし。とは言え、制作のイニシアティブや最終ジャッジは、相変わらず自分に
委ねてくれましたね」


アイゴンが加わりギターが3本。
正直それらによる濃密で重厚なギターウォールなサウンドを今作では予想していたが、
意外にも感じたのは、ギターを中心に添えながらも、作品全体の風通しの良さだった。


「アイゴンさんが加入することで、逆に僕がヴォーカルに徹しやすくなったかなって。
最近はライヴでも、僕はギターをあまり弾かず、立ちヴォーカルってスタイルが多いんですよ。
ハンドマイクを使って(笑)。今作にしても、僕のギターは要所要所しか入れてないんです」


以前に比べ、外に向かい、ノリやすく、分かりやすい楽曲が増えたのも今作の特徴だろう。


「今、お客さんとコミュニケーションを取りたくて仕方がないんです。
M-1の“それではみなさん良い旅を!”みたいな曲が出来たのもそれらに関連しているだろうし。
なんか、<そっち行くよ>モードなんですよね、今は(笑)」


ソリッドでドライヴ感溢れる曲が増しつつ、アイゴンのテイストであろう、
そこはかとないオルタナ感やザラッとした手触りをブレンドさせた今作。


では、③についてはどうだろう。


「サウンドプロダクツはアイゴンさんをメインに立て、キャッチボールや微調整をしながら
仕上げていきました。なので、微妙なニュアンスや雰囲気の調整もありましたよ。
“魔法の部屋”や“バタフライ”も最初はパンチが効き過ぎて、歌の世界観とのバランスが悪かったんで、
最終的には優しく柔らかく仕上げてもらったし。
“ロンリーボーイの話”にしても、自宅で打ち込んだものを、一度は生ドラムに差し替えてみたんだけど、
どうも元気良すぎたんで、プリプロの打ち込みドラムの音源をそのまま使ったり。
今回は特にアレンジよりは音像や音域、歌が主役になるように心がけましたね。
そうそう、“さよならフェンダー”はアイゴンさんとの最初の共作だったんですが、
ちょうどその頃僕がギターをあまり弾かなくなった時期だったこともあり、
それも微妙に歌詞に表れてるかな(笑)」

この初秋に行われた彼ら初の日比谷野外音楽堂でのライヴの際も、
今作からの楽曲が先行で何曲か披露され、良い意味でどこか今までとは違った、
ネクスト・ドア感を感受したのは、私だけではないはずだ。


そう、今作は旅や次に向かう感じがいっぱいだ。
世界各国や天上、果ては宇宙までを想起させるインタルードも含め、
全体的にマインド・トリップ感もたっぷり。外に向けてのサウンドを揃えながらも、
極めて聴き手の感受性に委ねる曲が多いのもいかにも彼ららしい(笑)。
また、アイゴン作曲の“さよならフェンダー”や“トロピカーナ”、斉藤作曲の“ラブ・ファントム(Let’s go!)”や
“魔法”、各種インタール―ドに加え、宮川が作曲した“バタフライ”、コテイスイのトラメガヴォーカルを
主体に作られた“ガイジン”等々。須藤の歌詞に対する、メンバー各人によるメロディーの付け方も、
より作品にバリエーションをもたらせている。



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最後に④について尋ねてみた。


「今回は他のメンバーにもフォーカスを当てるアルバムにしたかったんです。
自分が彼らの皿の上に乗って、料理してもらいたかったというか。
それが出来たことで、より自由度やバリエーションの幅も広がったし。
今回各所に入っているインタルードにしても、ベースの宮川がほぼ作っていて
以前から彼の作るインストの曲がいいなと思っていたんで、今回<旅>というキーワードが出た時に、
これが入れば、誰の楽曲のどこの世界に行っても、不自然じゃない作品になるなと。
みんなの頭の中を国と考えて、そこを渡り歩くようなアルバムになったら面白いですね」


そう、髭との新しい旅のボーディングは、今、開始された。
チケットはこのニュー・アルバム。それではみなさん良い旅を!!




■New Album……『それではみなさん良い旅を!』 12/7 on sale!

 

01.それではみなさん良い旅を!
02.ウルティン・ペリン
03.さよならフェンダー
04. キッズはだいじょうぶ
05.ラブ・ファントム (Let's go!)
06.奴隷
07.バタフライ
08.ゆらり姫
09.トロピカーナ
10.ロックナンバー
11.ロンリーボーイの話
12.ガイジン
13.魔法
14.魔法の部屋


 

■ LIVE… 髭2012「それではみなさん良い旅を!」TOUR

3/10(土)札幌cube garden
3/18(日)SHIBUYA-AX  
3/20(火・祝)仙台CLUB JUNK BOX 
3/25(日)なんばHatch
4/1(日)福岡DRUMBe-1
4/7(土)名古屋CLUB DIAMOND HALL

■EVENT……

「FM802 ROCK FESTIVAL『RADIO CRAZY』」
12/30(金)インテックス大阪

TOWER RECORDS PRESENTS “higefunkgyaban”
2012/1/25(水) Shibuya O-EAST
出演:髭/在日ファンク/モーモールルギャバン

※詳しくはHPにて。

 

■ PROFILE…髭(ひげ)

斉藤祐樹 (Gt.)、須藤寿 (Vo&Gt.)、宮川トモユキ (Ba.)、川崎“フィリポ”裕利 (Dr.)、佐藤“コテイスイ”康一 (Dr.)、
會田“アイゴン”茂一 (Gt.) の 6人によるトリプル・ギター、ツイン・ドラム、ベース編成のロック・バンド。
05 年5月に『Thank you,Beatles!』でメジャー・デビュー。
サイケデリックかつロマンチックな世界観が多くのファンを魅了している。

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記事内容:TOWER 2011/12/5号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年12月05日 12:00

ソース: 2011/12/5

TEXT:池田スカオ和宏(LUCK’A Inc.)